annabelle

神は細部に宿る

ASEEDONCLOUDのコートをご紹介するにあたり、通信販売のためにも

商品写真を撮るのですが、このコートに関しては、撮る前から疲れるほど

ディテールの写真が大変であることは明らかでした。

今日はディテールの写真を使ってブログを書いて、スタイリング写真は

通信販売ページでご覧いただければと思います。

ちなみに、、コート一つの商品写真撮影に、なんと1時間かかりました。

ASEEDONCLOUD
Hiraeth trench ¥71,500(税込)

今回のテーマである「騎憶士」たちが代々定番として馬に乗る際に

使い続けるコートをイメージとして作った、防水、暴風のタフなコートです。

トラディショナルな工夫により、長く愛用するに相応しい愛着の湧く仕上がりです。

生地は平織の生地に蝋を染み込ませる古来からの手法で

作られた蝋引きクロスを現代的に継承したパラフィン加工を

施しています。そのため、見た目にはややハードで、シワ感や

部分的に白化した擦れ跡のようなものが初めからございます。

使用するうちに擦れ跡やシワは増してきて、まさにヴィンテージで

見られるような風合いを見ることができる素材です。

バイクや自転車を日常的に乗られるような方にはもってこいの

素材、コートだと思います。もちろんそうでない方も。

襟は気持ち大きめのレギュラーカラーです。

縁取りのようなレールステッチは頑丈さを物語ます。

地襟は共布で、ジグザグステッチがかかり、さらに頑丈さを感じさせます。

襟内側にはボタンが2つ付き、昔ながらな仕様によりフロントの

チンガードが収納されています。

第一次世界大戦を通し、イギリス軍が当時のバーバリィ社に依頼したことで

完成をみたトレンチコートにもこの仕様が採用されています。

平時はこのようにタブを垂らして着用し、、

雨風を凌ぎたい時にはこのように。

袖口も風を凌げるように絞れるようになっています。

右胸にはフラップがあります。

これは今のトレンチコートには大抵付いている、いわばトレンチの

代名詞のような存在ですが、その通称を「ガンフラップ」と言います。

その名の通り、雨の際に拳銃を守るために装着されたフラップで、

戦後、バーバリィ社がデザインディテールとしてそのまま残したため、

今もファッションとしてあるわけです。昔はこのフラップの近辺にD管が

取り付けられ、そこに兵士たちがさまざまなものをぶら下げていたそうです。

このコートは、丁寧に裏地を付けています。地味なことですが、

防寒という意味で大いに役立ちます。ガンフラップがある部分は、

身返し布も含めると、生地が4枚重なっているわけですから。

ボタンは比翼仕立てです。防風、防雨を考えたコートは絶対に比翼です。

通常のボタンフロントではホールから雨風が侵入しますから当然です。

内側には打掛ボタンが2つ付いています。打掛は、長いコートの

打ち合わせがズレないために付いているのですが、同時にこちらも

防風、防雨を兼ねていることになるのです。

このコートの場合、ダブルブレストと同じ程度の打ち合わせが設定されています。

そのため、身幅の半分弱程度の布地が重なるわけです。その部分は、生地が4枚

重なることになるわけです。しかもその中心部分にある比翼に至っては、

布地が6枚重なることになるのです。一見するとコットンで裏地が一枚付いただけの

コートですから、冬には頼りないように感じますが、防風と防雨について

昔ながらの手法で考えられた、トラディショナルなコートです。

そしてデザイナー玉井さんのユーモアが詰まった内側を覗いてみましょう。

まず中央にぶら下がった長い紐が気になりますよね。

これは共布で作ったベルトなんです。ベルトをここに収納することで

何か良いことがあるのか?

こんなことができるようになるんです。

これは昔のトレンチコートにはなかったデザインです。

しかし、貴族が狩を行う際に着用していたハンティングコートに

採用されていた仕様です。両方を知っている玉井さんのリミックスですね。

さらに下に輪っかのように付いている紐があります。

なんでしょう?

今回のテーマを考えると、「あ!」ってなる用途が思い浮かびますね。

そう、馬に跨る際に足の動きに合わせてコートの裾も広がりやすく、

なおかつ、跨って走り始めてからコートの裾がバタつかないような

デザインになっています。これは元々モーターサイクルコートという

ものが各軍隊にあったのですが、バイクに乗る際に着用していた

軍用コートで採用されていた仕様です。もちろん、紐にはボタンが付いて

いて取り外しは可能です。

昔、古着屋でモーターサイクルコートを購入した際、「なんだこの紐?」と、

調べもしないで要らないから捨ててしまいました。。

今でも若い女の子がたまに着ているのを見ますが、裾から紐が垂れているのを

見ると、ちょっと昔を思い出して笑ってしまします。

さて、、まだあります。

ここはポケットの裏側です。

大きな四角いパッチポケットが付いていますね。

何ででしょう?

これも戦時中の古いトレンチコートを見ると大抵このようになっています。

貫通ポケットと呼ばれる仕様で、昔の軍人は一旦トレンチを着込むと、

さまざまな装備を見に付けるので、内側にしまったものを取り出すのに

わざわざコートを脱いだり、フロント開けたりなんてできませんでした。

そのため、表に見える箱型ポケットは、貫通して中に手が入れられるように

なっていたのです。これによってポケットにかなり長いものをしまうことが

できますし、下にきたジャケットやパンツのポケットからコートを脱がずに

ものを取り出すことができるというわけです。

これも戦後になってからもしばらくはこのままの仕様で作られていたようですが、

今は一部の玉井さんのような凝り性のデザイナーさんが作るだけとなりました。

裏地は、保温性が欲しい背中の部分は薄くても起毛したフランネルチェックが

見た目にも素敵です。袖裏は滑りを重視してキュプラ素材のストライプを。

ベントは、先ほどのモーターサイクルループがしっかり機能するように、

通常よりも少しだけ長めにとってあるように感じます。

ベルトを締めて、ネックガードを閉じると、完全防備となるわけです。

このコートのもう一色がこちらです。

ダークグリーンという色名ですが、すごく良い色。

ちょっとグレーぽくもあり、ブルーぽくもある。

そして素材違いもあるんです。

こちらはウール素材。

見た目は上品な印象で、会社通勤や綺麗めに使いたい方は

こちらの方が向いていると思います。

生地は英国の老舗「MOON社」の生地を使用しています。

縦横で色合いの異なる糸を使ったMOON社お得意の軽くて

少し華やかな色使いが魅力的です。ミックスされた色が散りばめられた

可愛らしいヘリンボーンウールです。

内側の構造は先ほどのものと同様ですが、素材が違います。

こちらはさらに温かく、上半身の背面に中綿キルティングを使っています。

上質なウールの裏地がキルティングです。絶対にあたたかいに決まっています。

さらに先ほど、ディテールのご紹介をしていなかった部分。

これもトレンチコートではお馴染みのデザインですよね。

「雨蓋」と言います。その名の通り、雨が直接コートに

沁み渡ることを防ぐために作られたもの。

コットン素材のもので見るとこんな感じです。

身頃から少し浮いているのがわかりますか?

これがちゃんとした雨蓋仕様です。

ちゃんとしていないやつは、身頃に綺麗に重なっています。

それでは屋根の代わりは果たしませんからいけません。

雨蓋は身頃より少し大きめに作られているのがいい。

ディテールだけでこんなに長話ができる洋服って久しぶりです。

しかし「神は細部に宿る」というように、こういった細かい部分を

しっかり作っているからこそ、一般のお客様がパッと見ても目に留まる

ものになっているのでしょう。当然、お値段も安くはならないわけですが、

せっかくディテールの多い洋服を纏うなら、しっかり本物志向が良いのです。

トレンチコートも一昔前のバーバリィやアクアスキュータムは、何とも

言えない物々しさがありました。僕はああいうのが大好きです。

昔も今も。

さて、スタイリングが全く登場しませんでしたが、、

続きは通信販売画面でどうぞ。

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