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式典-shikiten-⑩

アナベルでお取り扱いしているブランドの中で、パタンナー出身のデザイナーさんが数人おりますが、彼らは言い方は違えど同じようなことをとても重要視しています。それは人が着て動きやすい構造を当たり前に、普通に作るということ。その普通のレベルを突き詰めること。買う側の立場で考えたら、「当たり前だろ」と思うかもしれませんが、実はアパレル全体で見たら当たり前とも言えない話です。僕の実家のお隣は、最近までご高齢の夫婦で切り盛りしていた縫製工場で、僕が子供の頃には数名の縫子さんを抱えて誰もが知る有名ブランドの高級服を縫っていましたが、時代が変わり、晩年はアパレルブランドの安価な製品を多く手掛けておりました。僕がメーカーに勤めているのを知っていたこともあり、かなり具体的に愚痴をこぼしておりました。パターン通りに裁断したら縫えなかったとか、、メーカーの担当者が商品を把握していないとか。。昔、トップブランドの仕事をこなしていたご夫婦だっただけに、当時の生産現場の変動に戸惑いがあったこともあるとは思いますが、一番シンプルに変わったのは、縫製現場にデザイナーが来なくなったということ。

僕はデザイナーのお仕事はしたことがありませんが、バイヤーとして商品を見るとき、商品とデザイナーとパタンナーの距離が近ければ近いほどあらゆる面で精度の高いものができると考えています。そういった面で、ゴーシュというブランドは、毎シーズン「すごいな。。」と惚れ直す製品を作っているブランドです。(デザイン性やその時の気分でバイイングする量などは変わりますが、それはまた別な話で)

ゴーシュ ストレッチフォーマルジャケット ¥48,400(税込)

先ほどお話ししていた、ものつくりの距離感が、商品の「味」とか「深み」とかそれぞれのブランドの「癖」のようなものを放つ秘訣だと思っています。そのように展示会をまわって商品を見ていて、初めてのブランドでも何か引っ掛かるものがあるときには、立ち止まって作り手の話を聞いてみようかなんて思うわけです。ゴーシュもそんな感じで地方営業中にあるお店に置いてあるのをたまたま見て、知ることになり、独立した際には絶対にこのブランドだけは扱いたいと思っていたものです。

 

 

ポケットはゴーシュの象徴的なデザインとも言えるシャツポケット。結構いろいろな洋服にシャツポケットを採用していますから、きっと好きなんだと思います。

フロントはこのように一つのフックで留める仕様です。

一重で内側はパイピングのデザイン。名前に「ストレッチ」とありますが、ゴムが入っているわけではなく、ナチュラルストレッチと言って、生地の性質上、斜めに引っ張ると結構な伸縮性がある素材ということです。着用していただくとそのストレッチ性はわかると思います。

ブラックもあったのですが、今回は店頭で完売していしまいましたので、ネイビーだけのご紹介となります。

ネイビーはダークネイビーです。ブラックと並べるとわかるような色。

色がわかりにくいかもしれませんね。申し訳ない。しかし室内で見ていると、並んでいても一瞬わからないほどのお色です。

インナーには同じくゴーシュのコットンカシミアのクルーネックの方を着ています。色はライトベージュ。

とても綺麗なストレートシルエットです。

こちらはジャケットが完売してしまったので、NO CONTROL AIRのものを合わせていますが、ボトムスはゴーシュのストレッチフォーマルパンツのブラックです。とても色が近いですし、厚みが少し異なりますが素性もほぼ同じような素材です。

ゴーシュのパンツの方が少しだけ薄手で柔らかい感じ。しかし違和感はありません。

このセットも候補にしてください。

ゴーシュのパンツはカジュアルにTシャツなんかを合わせても素敵です。こちらはブラックです。

現在、式典でメインで並んでいるNO CONTROL AIRのデザイナーとゴーシュのデザイナーは旧知の仲。お互い全く売れていなかった時代から惹かれあっていたそうで、売れないことをいいことに、ゴーシュの洋服を大阪でNO CONTROL AIRが販売し、NO CONTROL AIRの洋服をゴーシュが東京で販売するという楽しい企画もやりたい放題だったそう。

僕はゴーシュとNO CONTROL AIRを同じお店に並べて売るのが一つの目標でもありました。アナベル開店当初、ゴーシュだけのお取り扱いにしたのは、当時のファッションの流れでNO CONTROL AIRをどこまで販売できるかに自信が持てなかったから。「かっこいいなー」なんて言いながら、NO CONTROL AIRのLOOKを勝手に印刷して並べて楽しんでいたのはオープンの1年ほど前。洋服業界のエリートとも言える道を歩んできたゴーシュのお二人と、洋服業界の異端児とも言えるNO CONTROL AIRの米永さんが出会って惹かれあったのはきっと必然なんだと思います。人はやっぱり自分にないものを求めたり憧れたりする生き物です。僕がバイヤーとして、この2つのブランドを一緒に並べるお店にしたいと感じたのも必然なんだろうと今も思います。あらためて、並んでいる2つのブランドの洋服を見比べたりしてみてくださいね。

 

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