annabelle

セレクトの妙

自分のクローゼットを眺めていると、30年ほど前に買ったものが意外にまだ現役で活躍していたりする。プリングルのシェエトランドウールのセーターとかガンジーセーター。そしてインバーアランの手編みのセーターにバブアーのハーフコート。シェラの60/40パーカーにキャンバーのパーカー。そして数あるインポートブランドに負けないくらいよく現役で着ている洋服に、前職のブランドに入社した年に購入したチロラーローデンクロスのジャケットがある。ボタンを変えたりはしているが、買った20年前の状態のまま着続けていて、今だにそれを着ていると、男女問わず「それどこの服ですか?」って聞かれます。やっぱりある種かたくなな想いを乗せて作られた洋服は、量産の既製服であっても迫力を纏っている様に感じます。バブアーやシェラデザインなどは、この年になっても買い直そうかな?って思うほど。レディースでは、そういったメンズにあるトラディショナルな空気感をまとった洋服は少ないけれど、女性らしい素敵な印象を十分に感じさせながら、トラディショナルで質実剛健さも併せ持つブランドとして、ベス・ニールセンの作るkhadi&coが挙げられると思います。今日はそのロングジャケットとも、コートともとれるアウターをご紹介いたします。

<通信販売はこちら>

khadi&co ヒマラヤンウールハーフコート ¥118,800(税込)ナチュラル

もう何度もブログ等でご紹介をしておりますが、デザイナーのベス・ニールセンはデンマーク出身の女性で、1978年にインドに渡り、カディーコットンに出会って以来、その魅力を伝え続けているベテランデザイナーです。51歳の僕が5歳の時にすでにデザイナーとしてインドに渡り活躍されていた方が未だ現役でパリにお店を構えて素敵な洋服をたくさん世に送り出していること自体が素敵過ぎますよね。khadi&coというとストールやバッグ、そして名作「star」という名のパンツが有名ですが、僕はコートやジャケット、ベストなども大好きです。一生着ていけそうな迫力を感じます。

ネックはパイピング仕立ての小さめなVネックで、タートルやシャツ&クルーネックも似合います。また巻物もサマになるすっきりとした首元です。

ボタンは共布のくるみボタンを使用しています。

両サイドにポケットがある。

表生地がヒマラヤンウールで裏地が高密度なコットンを用いたキルティング素材です。ウールのコートとしては軽量ですが、しっかり温かいコートです。インナーにセーターを着て、ストールを巻いて真冬にも着ていただけるコートです。

ピンクの総裏仕様にきっと気分があがります。

こちらはYUIさんのコーデュロイのタックパンツに合わせて。インナーにはボトルネックのモヘアセーターを着ています。

野生的な質感のあるウール素材ですが、そのタッチとは裏腹に素材の柔らかさをしっかりと表現したフレアラインが際立つハーフコートです。

羽織る感じで着ていただいてもいい。こうしてみるとロングジャケットみたいですね。

少し小さめのストールをワンポイントで。

袖の長い方は袖口を捲ってもかっこいい。ちなみに妻は平均より3cmほど裄丈が短めです。(70cm弱しかない)

ワンピースやスカートに合わせてもとても素敵です。黒や濃色に合わせても素敵そうなナチュラル色です。

今回はインナーに先日ご紹介したYUIさんのベストを合わせています。モヘアのホワイトを巻いて全体をキナリ〜ホワイトのワントーンでまとめて、小物はブラックで引き締めて。

30年前に自分がよく買っていたお店を今でもたまにのぞいたりします。発信も中身もまったく変わっていると感じるお店もあるし、懐かしさを滲ませながら風格を漂わせているお店もある。しかしどちらもよくよく見ると、変化してる部分と、していない部分がしっかりある。つまり変化した部分が大きいか小さいかの問題で、懐かしさを感じるほうも変化はしているし、全く変わってしまったかの様に見えるお店にも実は変わらずに置いてあるものがある。絶対に意識的にやっていることだから、そういう匙加減がとっても気になります。セレクトのバランスとかスタイリングの提案というのは、ちょっと大袈裟に言うと魔法みたいなところがあるんです。80%くらいセレクトブランドを変えていなくても、時代と共にデザイナーの出してくる洋服のサイズ感やデザインは変わりますし、ほんの20%程度の何かを入れただけで、けっこう見え方もスタイリングも変化して見える。これは個人のワードローブやコーディネートにも言えること。特に「定番」と言われるアイテムを長くカッコよく着続けるには、僕の私見では「今ならではのもの」があることで定番は定番でいられるのだと思います。30年前に買ったセーターを今でも本当によく着ますが、30年前とはコーディネートが全く異なります。でもそういうちょっとした変化をし続けることが、おしゃれを趣味の一つとして長く楽しめるコツの様な気もします。今回のこのコートも、リーバイスあたりのユーズドデニムに合わせてみて、インナーにギンガムチェックのシャツとシェットランドを合わせてもかっこいい。靴は昔ならトリッカーズのカントリーで間違いないのだけど、今の感覚でショートブーツを合わせてもいいし、R.U.のAnonやTheaもかっこいい。色々想像してみますが、このコートは時代を超えて楽しめそうなコートです。

 

 

 

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