annabelle

revivre(ル・ヴィーヴル)〜蘇り

20年ほど前、渋谷のファイヤー通りに、某有名セレクトショップが隠れ家的な存在で立ち上げた面白いショップがありました。当時はセレクトショップが「オリジナルブランド」中心のセレクトに移行する最中、そこに対する寂しい気持ちを払拭させるようなお店でした。何回か通っていたある日、入り口のショーケースにアンティークの素敵なスプーンが10本ほど並べられており、「16,000円〜18,000円」と書かれていて、「スプーンにしてはえらく高いな。。」と思って聞いたのが、本日ご紹介する「d’antan」のスプーンバングルとの出会いでした。

<通信販売はこちら>

d’antan バターナイフバングル size1 ¥22,000(税込) size2 ¥24,200(税込)

久しぶりに訪れたd’antanの展示会で、20年も経つとこんなにも種類が増えるものかと驚くと同時に、あの時のスプーンアクセサリーがこんなにも人気で、そして継続されていることに嬉しさも抱きました。こちらはフランスのバターナイフを曲げて作ったバングルになります。

真鍮は後から付け足してデザインされたバングルは経年変化とともにさらに味わいを増していきます。

ちなみにこれが20年ほど前に購入した僕のバングル。冒頭のお話の通り、この頃はスプーンの状態で選んでオーダーするスタイルでした。

脇には模様とイニシャルがある。ベースがフランスのアンティークスプーンであるため、安定供給ができないのが面白いところです。特に最近はスプーンの収穫が激減しており、シーズン内の追加オーダーもお断りされる状況です。。

今回はこの定番のコーヒースプーン、ティースプーンシリーズはオーダーしておりませんが、気になる新作を少しセレクトしております。一つ目は先程のバターナイフ。

d’antan アールスプーンバングル size1¥27,500(税込) size2¥29,700(税込)

20年で1万円ほどお値段は上がっておりますね。正直、これからどんどん上がる気配です。。

僕のものと同じように、イニシャルが刻まれていますね。シルバースプーンは贈答品としてフランスを中心にヨーロッパ各地で流通していたものがほとんどですので、このように相手方のイニシャルが彫られることがポピュラーだったそうです。とりわけお孫さんが生まれた際に、祖父母の世代からお孫さんへ贈られるケースが多かったと聞いています。

巡りめぐって日本でこのように仕立てられることになったのが感慨深いアクセサリーです。ちなみに、20数年もの間フランスのアンティークマーケットでスプーンを収集し続けているd’antanの代表は、フランスで「ミスタースプーン」「スプーンおじさん」として名が通っているそうで、品薄となった今、スプーンが出たら市場に出る前に声が掛かるような存在になっているようです。

こちらは同じシリーズのリングです。ちなみに、スタッフの横やんは僕と同じく20年ほど前にこのスプーンリングシリーズを購入していたようで、今でも愛用しています。真ん中の2つは以前からあるモデルで、両脇が新作になります。

食文化豊かなフランスには、たくさんの種類のカトラリーが存在しています。「いちご専用スプーン」や「ゆでたまご用スプーン」「キャビアスプーン」などなど。。数え切れないほどの専用品に魅力を感じて当然かもしれません。こちらは「マスタードスプーン」を用いて製作されたリングです。

ちなみにd’antanで使用される刻印のほとんどが、1900年代のパリ、「ベル・エポック」と言われ最も華やかなパリを象徴する時代に使用されていた古い刻印をメンテナンスして使用し続けているそうです。道具も古いものを使用することで当時の雰囲気を纏う仕上がりを目指してる。それが、これらのシリーズが「revivre(ル・ヴィーヴル)」と名付けられた所以です。フランス語で「甦らせる」「復活させる」というような意味合いです。

こちらはスプーンの丸い部分を叩いて筒状にしたリングです。新作で一番に目に留まりました。

片側にはクラシックな紋様が施され、もう一方にはd’anatanの刻印が入れられています。

大きなリングですので、お洋服やスタイリングとのバランスもぜひお楽しみください。

 

 

d’antanのバングルは、ずっと現役で活躍し続けてきた僕のお気に入りのアクセサリーの一つです。それゆえに、購入した時のことも、冒頭のお店も記憶に残っているわけですが、残念なことに数年でそのお店は無くなりました。

annabelleをスタートさせてすぐの頃、とってもおしゃれな白髪のご婦人がお店に通ってくれるようになりました。当時アナベルは、今のようにお洋服が充実しておらず、半分売り物、半分什器、備品、、のような店内で、アンティーク蚤の市や骨董市が好きな方にもよくご来店いただいておりました。古着も置いていたりして、「何屋さんですか?」と、週に何度も聞かれていたのが懐かしい。洋服屋らしくなったのはおそらく半年後くらいから。その頃、そのお客様から何度も何度も言われたのが、「なくならないでね」でした。僕もお気に入りのお店に対して同じ思いを抱いたことがあるので、言われてすぐに嬉しい感情に溢れました。そのお客様は相当な「物好き」で、センスも抜群でした。ご主人は古物の収集をされていたようで、時折二人でご来店されて、店内を物色する姿が素敵でした。こんなお客様を満足させながらお店を継続することを目標にしたいと思いました。物好きな人が好きになるお店は往々にしてなくなる傾向にあることは確かです。

d’antanのバングルを見ていると、ついそんなことまで頭をよぎるのです。人間の記憶って面白い。たまに匂いや音も感じることができますから。

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