命名エピソード
10月にsonorの展示を行った際に、店頭で販売をしていた「sono4」。数年前に特注企画で販売して以来久し振りに展示で販売したこちら。少し時間が経ちましたが、通信販売でもご紹介をいたします。現在、sono11まで別注で作ってきていますので、sono4と言うと、企画したのは結構前。ですが、自身でもいまだによく使う鞄の一つです。今後こちらの革が使えなくなりつつあるため、今回が最後のご紹介となりそうです。
sono4 リバースボックスバッグ ¥19,800(税込)
出発点は、未晒しの紙袋で持ち手がついていない昔ながらなタイプの袋をレザーバッグで形にしたいというものでした。かなりいい感じになったと思うのですが、ここに至るまでのちょっとしたエピソードが理由で、「リバースボックスバッグ」と名付けました。それは何回目かの打ち合わせの日、、、
実は当初、こんな感じで企画を進めておりました。ところが、園田さんが持参したファーストサンプルの状態が、「ごめんなさい、時間がなくてひっくり返してないんです。」と言いながら、上の完成写真の状態で持参してくれた。もうみた瞬間に全員一致で、そのひっくり返していないやつでやりましょうとなった。少し細かい箇所を修正したりしてできたのがsono4なのです。その時の流れが面白かったので、リバースボックスと名付けました。だから特にリバーシブルではありません。
飾りボタンとして付いたこちらは、真鍮で作ってもらいました。そうです。annaballeの看板も制作してくれた、annabelleでジュエリー作品も扱っている「痩身具LCF」の立川さんに作っていただきました。イメージを伝えたところ、「こんなのどうですか?」って出してきてくれたのがアンティークの朽ちて潰れた釘でした。こちらもまた、見た瞬間に気に入って釘の頭の部分を型抜きして作っていただきました。真鍮ですから経年変化で味が出ますよ。
内側には両サイドにマグネットを付けてもらいました。色々と思い出してきましたが、このマグネットもレザーでくるみ、あんまりマグネットが目立たないようにしたかったのですが、普通に四方を叩くと(縫うと)、使用して物を入れた際に外れやすかったので、マグネットを包んだ革の上の一辺だけを縫い、他は縫わずにパタパタ動くようにした。その結果、いい感じの使用感になりました。
また、持ち手のバンド部分は本体の一番上までは縫わないことにしました。上まで縫うと物を入れた際に四角い形状がクタっとなって大幅に崩れます。物を入れると崩れるのはある程度は仕方がないのですが、できるだけ四角い感じを保つにはどうしたらいいか?考えた結果こうなりました。
一見、持ち手が本体から離れたように見えるのはそのためです。
口の部分は、未晒しの紙袋の感じを出すためにギザギザのカッティングにしています。
内側も両端にはこのような小さなポケットがあります。ペン差しにいいかな、なんて付けてもらいましたが、使い始めたら鍵の束をキーホルダーごと入れておくのにちょうどよかった。
また、使用しているうちにクタッとはしてほしいと思ったので、底板は付けませんでしたが、持ち手のバンドを一周させることで一枚よりもしっかり感は出て、これまたイメージ通りになりました。
肘掛けでもいい。
手に持って下げても地面に着かない。
肩にこのように掛けてもいい。
よくカフェなんかで販売している小さなデイリーバッグがありますが、あれよりほんの少しだけ容量が大きく、縦長であることが特徴です。というか、、シンプルながら特徴だらけの鞄です。持ち手も太くすることで革でしか味わえないようなシワがついて、使うほどに愛着が増してきます。表側はスウェード面を使用していますので、一見スウェードとはわからない仕上げの革ですが、使用していると部分的にスウェードらしい起毛感が現れたりします。色合いにもムラがあります。sonorでの別注商品は、長いものでもう6年以上販売を続けていますので、こうやってあらためてブログを書く機会でもないと「なんでこうしたんだっけ?」なんてことになっていきます。これからも企画した際の頃を思い出して、時々ブログを書いてみようと思います。