擬態語
お店を始めたばかりの頃は、「こんな個人店のネット通販を見てくれる人なんかいるのかな?」と半信半疑で、正直そこでスタイリングを写真で見て、ブログを読んでくださった方が店に足を運んでくれたらいいな、、なんて思って一応通販ページは作っておこう、くらいの感じでした。始めて数年で、「素材の感触を伝える難しさ」を感じ始めました。触れないし、写真の精度にも限界はあるし、見ているモニターによって色合いや写りに多少のムラがある。だから「言葉」が大切だと考え、当時はブログに力を入れて、その中で「擬態語」をたくさん使うように心がけるようにしました。「シャカシャカ」「パリパリ」「しっとり」「カリカリ」「するする」言い出したらキリがありませんが、生地の色や厚み、光沢があるのかないのか、透けるのかどうなのか?などと一緒に、触った時や着た時の感触を必ず「擬態語」で伝えるようにしてきました。今日はその「擬態語」が難しいシリーズのお勧め3種類をご紹介します。
NO CONTROL AIR レーヨンナイロンドルマンシャツ ¥25,300(税込)
素材はレーヨン(ヴィスコース)とナイロンの交織で、洗い加工を繰り返すことで見た目にも解るとおり、細かなシワがたくさん入る高密度で少し光沢感もある素材です。触った感触は少しひんやりしたドライタッチな素材で、手でクシャッと掴んでみると、「シャカシャカ」でもなく「パリパリ」でもない、あえて頑張って表現すると「シャワシャワ」っとした感触です。シャカシャカというほど音はしないし、パリパリというほど硬さのようなものは感じないからです。
ピシッと広げて置くとこんな形です。5角形ですね。これが着るととってもカッコよくて可愛いのです。
細かいことですが、僕はNO CONTROL AIRが時折見せるこの襟のファンです。前立て(ボタンが付いた布)がネックのバインディングを突き抜けるように一番上まできていますよね。そしてトップボタンまで縦穴です。これって意外に珍しいデザインなのですが、アメリカのアウトドア系のネルシャツなどに昔よく見られたディテールで、僕はこの突き出した前立てのネルシャツが好きでした。でもそれは僕の知る限り羽襟のあるシャツばかりで、バンドカラーやましてやノーカラーでは見たことがない。NO CONTROL AIRの米永さんがどこから発想してこのデザインにしているかは聞いたことがないのですが、無骨なイメージだったディテールがこうも印象が変わるものかと、ちょっと勝手にお気に入りにしている襟のデザインです。
ドルマンシャツという名前ですが、ボレロ的な要素も多く、小さな袖口は肘下10cmくらいまで下がったあたりにきます。
裾の形も少し変わっています。ゆったりしながらも、イメージとして裾に向かって少し後ろに抜けながら、あんまり裾が幅広のまま大きく開きっぱなしになるよりは、窄まって収まるような印象を受けるデザインです。米永さんのデザインは、基本的にゆったりしたものばかりですが、かなり細かいところに注力した洋服であることがわかります。
ほとんどアイコンと化した横ダーツは健在です。
色は下からカフェオレ、グレー、ブラックの3色展開です。
まずはカフェオレ。パンツはHAVERSACKのシルク混のチェックのパンツ。盛夏展で登場したパンツとしてはしっかりした生地感ですが、真夏の1ヶ月だけを除いて秋までいろいろとスタイリングしてもらいたいパンツです。
風通しのいいシャツブラウス。
そして大きく作った後ろ身頃の溜まりがなんともかっこいい。
前身頃は小さいので、正面から見たところとちょっと脇から見た感じが全然違うお洋服です。おしゃれすぎる。
グレーは羽織としても着てみました。タンクトップに羽織っていれば、ゆったりしていることもあって汗染み問題はどこかへ消えてなくなります。
真夏の羽織としてもいかがでしょう。
実はパンツもありますので、こんなセットアップが出来てしまいます。やっぱり今年はセットアップに惹かれます。
タックインをしてもさらに素敵です。
小物を変化させることでその場その場に合わせて使いましょう。
ブラックは昨日ご紹介したNativeVillageのミリターリーダーツパンツに合わせて。
タックイン。けっこうゆとりがありますので、一回裾を入れてからバンザイをしてこの感じです。
全体に現れる丸みとブラウジングが本当にかっこいい。
NO CONTROL AIR レーヨンナイロンアラジンパンツ ¥29,150(税込)
こちらが先ほど登場したパンツです。名前は数年前にもご紹介してきた「アラジンパンツ」と同名ですが、デザインは異なります。かなり凝った作りになっております。
ウェストはいつものシャーリングギャザーと紐でタックインがカッコよく決まるデザインで好評です。
そしてこちらも大好評のポケット布メッシュ。洗濯の際、ポケットの中だけ乾かないこと、梅雨時期なんかは特にありますよね?その心配無用です。速乾です。
そしてちょっと変わった裾のデザイン。裾が切り替わっていると思いきや、実は本体と繋がったパターンで作られています。ギャザーも切り替わった半分だけに入っており、その分見た目にも影響しています。
こちらはカフェオレの透け感がパンツとしては気になったとのことで、もともとカフェオレはなく、2色展開です。
シンプルにコンパクトなカットソーを合わせてグレー。
従来の裾ゴムのアラジンパンツより率直にスタイリッシュな印象です。
ブラックはquitanの素敵すぎるカットオフのブラウスに合わせて。サンダルもよく似合っています。
軽いけど少しドレープ感も出るような腰のある素材感です。シャワシャワしています。
NO CONTROL AIR レーヨンナイロン半袖フレアシャツ ¥28,050(税込)
最後はこちらです。すごく気に入った素材でしたので、3種類オーダーいたしました。こちらは半袖に見えて、7分袖です。これこそものすごく後身を大きく作っています。また前後差をうまく作ることで全体にフレアラインに仕立てている。
こちらはバンドカラーですね。トップボタンも横穴。
袖付けはすごく前に振ったように見えています。でも後ろ身頃が大きすぎることでの錯覚かな?
こちらも裾の収まりに独特なカーブと前後差を付けています。
トップスは3色展開です。
先ほどのドルマンシャツと比べると着丈は長めでロングシャツと言える長さです。こちらのボトムスは平均的なデニムサイズ。TRAVAIL MANUELの定番の5ポケットパンツのホワイトデニムです。
シャツのサイズ感がわかりやすく伝わるでしょうか。大きいのですが、素材の質感もあって、いい感じに落ち感が出て横に広がる感じがありませんので、標準的なパンツに合わせてもカッコよく着ていただけます。
こちらも羽織りましょう。ちょっとロング丈の羽織。
ワイドパンツにインナーはコンパクトにしてスタイリング。パンツはSPの新型パンツです。とってもおしゃれ。
おしりがすっぽりと隠れるような着丈の羽織シャツ。
グレーはSUSURIのパンツに合わせて。ちょっと緑みのあるグレーは、ベージュ系によく似合います。
タックインも素敵です。袖捲りをしても良さそうです。
こちらはフレアラインが特徴なので、タックインするとそれがなくなりますが、これはこれでかっこいい。
このパンツ、実は後ろがとっても可愛いのです。
最後にブラックはなんだかやっぱり今シーズン多めのブラック×ブラックです。パンツは先ほどのSPの新型。
大きめなシャツにストレートワイドパンツって、なんとなく抵抗感ありますが、すごくいい。
写真では伝わりきらない光沢感も素敵な素材は、天然素材の素朴な印象と交わることで、全体に相乗効果が生まれているように感じるブラック×ブラックです。
これからも「擬態語」を味方につけて、できる限り素材感もお伝えしていきたいと思います。今回の生地は、シャカシャカでもなくパリパリでもなく、「シャワシャワ」です。果たして手に取った方々は、「シャワシャワ」感じてくれるのか?ぜひ店頭でも触ってみてくださいね。