annabelle

「なんでわざわざ?」

 数年前から、「大きいけどかっこいい服」が多く見られるようになりました。

ずっと遡っていくと、始まりは2000年くらいのナチュラルウェアブームだったのかも

しれません。当時はどちらかというとユニセックスの延長のような洋服を

スタイリングバランスで賄うようなファッションでした。

それがいつかのタイミングで、そのスタイリングバランスに合わせて

ゆったりしたフォルムにもかかわらずデザインされた洋服が見られるように

なりました。アナベルでもお取り扱いのあるNO CONTROL AIR/FIRMUMは、

カジュアルシーンでは、その先駆者的な存在だったのだと思います。

FIRMUM
コットンポリエステルクルーネック
¥12,650(税込)

1980年台にスポーツウェアブランドが作っていた綿ポリのスウェット

素材は古着などでも多く見られると思いますが、こちらの素材はそれを

進化させたような面白い素材です。表裏糸ともにコットンの、実は二重編み

の素材で、表裏を繋ぐためにポリエステルを使用しています。

パッと見た感じや写真ではスウェット?裏毛?と思うかもしれませんが、

二重編みですから、表裏が同じ見た目です。裏毛のように起毛していませんし、

パイルのような裏目でもありません。それにより、デザインされた洋服の

フォルムがしっかりと出るのが大きな特徴です。

それに、スポーティーな雰囲気や室内着のようなラフすぎる印象が

ありません。

袖が膨らんでいる面白いデザインで、カットソーですが2枚袖です。

縫製仕様でも遊びが感じられ、2本針、3本針、ノーステッチを

所々で使い分けたデザインになっています。

裾も視覚的な遊びが感じられます。

スリットが入った前後差のあるデザインは多く見かけますが、

これはまるで騙し絵のようなデザインです。

背面に膨らみを出すためか、カットソーでわざわざセンター剥ぎに

しています。コレクションブランドや一部の高級Tシャツでは

見られますが、これもあまり見ないデザインです。

しかもこれだけ大きなビッグTEEタイプの洋服では、よほど

フォルムを出したい意図がない限り無意味だと思えるデザインですが、

こちらのカットソーは、素材からデザインの細部に至るまで、

シルエットをはっきり見てほしいという意思を強く感じ取れます。

背面の横ダーツはもはや彼らの代名詞のようなアイコン的存在となりましたが、

このデザインにおいてはアイコン以上の役割を果たしていることは確かでしょう。

騙し絵の種明かしのような裾部分にまで至る3本針ステッチは

本当に独特です。デザインのフォルムそのものも面白いのですが、

細かな仕様の遊びが散りばめられた彼ららしい1着です。

ミントのようなフロスティグレーは、ボリューミーな

ゴーシュのワイドパンツに合わせて。

袖の膨らみから背面の緩やかなカーブまで、しっかりと

シルエットが際立つカットソーに仕上がっています。

裾を切り替えた後付けのように見せかけたデザインは、

今までなかったわけではありませんが、ステッチ幅を大きく

変えることで騙し絵のようになっているのが秀逸で、

デザイナー米永さんのユーモアが感じられます。

muniさんの大判シルクショールを巻いて。

最も特殊なメランジグレーは、多色の糸を生地で染めることで

表現されるナチュラル素材ではあまり見られない面白さがあります。

近くで見るとこんな具合。

ブラックとフロスティグレーがソリッドなのに対して、

メランジグレーだけはその名の通り多色がミックスされた見え方です。

こちらはやや細身の同ブランドのテーパーデニムに合わせています。

もっと細身のパンツにもよく似合いますよ。

最後はブラックです。

横から見るとわかりますが、前後差以上に後ろが下がります。

やや後ろに抜けるデザインです。

ボトムスはFACTORYのバルーンスカート。

実は6年ほど前、バンブーウールという素材で発売していた

アナベルでも大好評のバルーンスカートがFACTORYで存在していたのですが、

一度だけの発売で見る機会がなくなりました。当時かなり力を入れて

販売していただけに残念に思っていたのですが、相当な期間を経て、

素材もすっかり変わり、丈もボリュームもアップしての再登場です。

迫力のあるボリューム感についコンパクトなトップスをあてがいたく

なりますが、あえてボリューム×ボリュームのスタイリング。

FIRMUMのカットソーもボトムスのスカートも、ほぼシーズンレスで

着ていただける素材感です。

「なんでわざわざ?」と思えることが実は面白かったりすることは、

ファッションに限ったことではありません。人って昔からそういう

ところに魅力を感じる生き物です。またそれがデザイナーという

人種の性(さが)なのかもしれません。ある意味合理性を追求する

パターンナーとデザイナーが口論になりがちなのも頷けます。

きっと思考回路が全く違うのです。

今まではパターンもデザインも米永さんが一貫して行ってきた

同ブランドですが、どうやら最近パターンナーが加わった模様。

また少し違った仕上がりが期待できそうで楽しみです。

「なんでわざわざ?」はぜひそのままに。

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