annabelle

ジワるブランドです。

おおかたの長期天気予報どおり、ラニーニャが継続中により

今年の冬はやや低気温か厳冬とのこと。

12月の初旬から首都圏で10度以下の日が続いていますから

その通りなのでしょう。現代人はさまざまな技術の発展により、

自然の変化は体感しづらくなってはいますが、日本にはしっかり四季が

ありますし、それに合わせて変化するファッションは、季節を

感じさせる一つの要素となっているのかもしれません。

毎回、オリジナリティ溢れる物語とともにコレクションを行っている

ASEEDONCLOUDの今シーズンのテーマは、つい先日もお話しした通り

「Kiokushi-騎憶士」という、ある時代の遊牧民をイメージした物語。

今日は物語の主人公である「騎憶士」がまとっていたセーターの話。

ASEEDONCLOUD
Kiokushi pull on knit
off white ¥33,000(税込)

またまたオリジナリティあるセーターを作ってくださいました。

色はメーカーでは2色展開でしたが、アナベルではこちらの1色に

絞ってのお取り扱いです。

素材はウールが64%で、コットン、アクリルが18%という3素材で

構成されているため、ウール100%と比べると滑らかで軽いことも

特徴の一つですが、何より柄に奥行きが感じられます。

わかる人にはすぐにわかると思いますが、デザインは玉井さんの好きな

ガンジーセーターがモチーフになっています。ガンジーセーターは

最も起源の古いセーターの一つで、英国やイギリス海峡を中心とした

あのあたりの漁師のために伝統的に編まれていた雨風を凌ぐセーターで、

あまりに頑丈であることから後に英国海軍も採用しています。

この袖の柄の取り方などは、ガンジーセーターへのオマージュでしょう。

昭和の洋服好きでガンジーセーターを着たことがない男性はいないと

思われるほど、90年代には爆発的に人気が出たセーターですが、

あまりにも度詰なウール地のため、元祖ガンジーはシャツを着ていても

それを突き抜けてチクチクするくらいカリカリでした。しかしそのくらいで

ないと、極寒の海で働く男たちの体は守れなかったということでしょう。

時代とともに、カリカリのセーターは必要とされなくなり、ファッションの

中でソフトなウールへの変換をして今もファッションシーンに残り、

一部のファンに愛されるセーターです。

今回はこちらの柄が目を引きますし、その伝統的な漁師のセーターを

モチーフにしたベースに載せた柄は、マジャルという遊牧民族のブラウスの

模様を参考に、オリジナルの編柄に仕上げています。マジャルはハンガリー王国の

元となった遊牧騎馬民族で、その模様は遊牧民であることから、どの地で

何があってもその人物の家系を特定できるように記されたものだったそうです。

フィッシャーマンセーターの編柄にも共通する逸話が残っていますね。

冬の雪柄と、その土地の景色をイメージした柄行きが美しく、

そこに特徴的な遊牧民の民族柄が重なり合い、今回のブランドの

ストーリーを象徴するような絵柄に仕上がっています。

袖口、裾はややブラウジングしたデザインです。

昔のガンジーはこんな着方はまずできませんでしたが、

こちらはソフトで軽いですから、インナーウェアの上に着て

とても温かい1着です。僕がメンズを購入してもう数回着用していますが、

思った以上に保温性があって少し驚きました。コットンが結構入っていますし、

軽さを重視しているので、温かさはそうでもないかな?なんて思っていましたから

余計に「あれ?意外にあったかい。」と感じております。

ウールのコートや防寒性の高そうな見た目のアウターとの相性が

ヴィジュアル的にも良さそうですので、まさにこれからの季節、

巻物やウールのコートと一緒にコーディネートしてほしいセーターです。

横から見るとわかりますが、袖をブラウジングすることで、

女性に歩み寄ったユニセックスデザインとなっているように感じます。

またボトムスはNO CONTROL AIRの裾ゴムアラジンパンツのコーデュロイ。

定番のポリエステルコーデュロイでこのデザインが登場しています。

他の素材で何度もご紹介してきたパンツですが、コーデュロイは

アナベルでは初めてのご紹介です。秋冬ということもあり、おそらくは

感覚の変化もあり、今回はXSもありますが、実はサイズSを中心に

オーダーしています。ちなみにこの写真はXSですので、

これからSサイズの撮影後にご紹介する予定です。

現実の時間軸を超えたところに物語を創造するデザイナー玉井さんの

クリエーションは、少しオタク的要素を孕んだ面白さがあります。

40代、50代の洋服好きは、「あー、あれね。」って共感できながらも

よくよく見ていくと玉井ワールドに引き込まれる。

それはトラディショナルなものへの敬意が込められたまさにオマージュを

感じさせ、同時にしっかりとしたオリジナリティがあるからこそだろう。

今回のセーターも現代の人がユニセックスで楽しめるデザインとしながらも、

そのモチーフとなったガンジーへのリスペクトと捉えられるディテールがある。

そしてオリジナリティのある柄はよく見ていくと、実は今回テーマにしている

遊牧民への憧れやストーリーを十分に連想させる仕上がりになっている。

とても限定的な趣味性のある洋服なだけに、一見すると

「私は好みじゃない」とか「今回はなんか好き」などとそのテーマに

よっても選り好みの出るブランドであるようにも思います。

そのため、2〜3回「好みじゃない」が続くとそのブランドの可能性に蓋をして

しまうこともあるでしょう。もしかすると4回目にものすごい好みなものが

出てくるかもしれない面白さがあると思うのです。

でも一方で、もっとよくよく見ると、、

全部しっかり玉井ワールドな洋服ばかりです。

マニアックな洋服は、少し見ただけでは魅力に近づけません。

自分で着ていても感じますが、なんだかジワジワくるブランドです。

ジワるブランドほど、お気に入りは長くクローゼットに居続けるもの。

気になった方は、ブランドのホームページや今までのコレクションも

ぜひご覧ください。ジワるかもしれませんよ。

ASEEDONCLOUD

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