哀愁コート
HAVERSACKがこんなにannabelleに馴染む日が来るとは、バイイングしている僕自身が意外に一番驚いている。何度もブログで書いていますが、HAVERSACKは昔、働きたいと思っていたブランドの一つです。もう20年も前、原宿にあった木造2階建てのビルの細くて急な階段を上がったところにお店があり、20代後半の頃だったか、何度か通っていた。ローデンクロスで作った傘やトレンチコートがかっこよく、今でもディスプレーを思い出せる。
昔からご来店いただいているお客様はご存知かもしれませんが、実はHAVERSACKは開店当初からお取り扱いを始めて、あまりにも販売が難しく、、残念ながら一度はお取り扱い継続を断念したブランドなのです。ところがある日、昔お世話になった業界の大先輩がお店にやって来て、半ば強引に展示会へ行くことになった。お取り扱いをやめてたぶん5年ほど経った頃。「今のHAVERSACKは今後annabelleに必要になってくると思う」と言われ、「本当かな?」とかなり半信半疑で久しぶりに伺った展示会で、「なるほど」と思ってセレクトを再開した。
なんだか一回着なくなって処分しようかな?どうしようかな?なんて思っていたらやたら着るようになった洋服のように、今は本当になくてはならない存在になってきた。大先輩の直感とお節介に感謝です。僕は今50歳ですが、僕より上の年代の昭和なお節介って、かっこいい面もたくさんありますよね。前置きが長くなりましたが、もちろんHAVERSACKのご紹介です。
HAVERSACK ソロテックスリネンツイルコート ¥96,800(税込)
ソロテックス混の天然繊維は、最近世界的に人気が上がり、増えてきている素材らしい。天然繊維を綺麗に丈夫に使用するために、ナイロンなどは昔からよく混紡されて使われてきた素材ですが、ソロテックスも天然繊維にとても馴染みがよく、混紡することで上質感が増して見え、程よく天然素材をサポートするようなしっかり感を出している。ちなみにこの生地はリネン87%、ポリエステル13%で、ポリエステルに用いられた紡績技術の名前がソロテックス。よく高機能素材と間違われますが、高機能素材ではありません。
独特のドッグイヤーのような大きな襟がクラシカルで普遍性を感じます。襟は洋服の顔。こちらに込めたギミックにHAVERSACKらしさが詰め込まれているように感じます。
襟を立てると横長なタブでまずは首元をボタンで留めることができ、大きな取り外し可能なチンガードであご下全体を覆い隠し防寒できる仕様になっている。
後のボタン2つはチンガードとして使わない時に付けておくボタン。でも、撮影ではこの位置のままチンガード使用写真を撮ってしまっています。。
これで使えないことはないのですが、、
こんなふうに手前のボタンを使うのが正解です。(後にボタン2つが余った状態)
襟と大きめの箱ポケットがクラシックなコートを連想させます。
胴裏、袖裏が付いた総裏仕様のコートです。
袖口はタブで多少の調整が可能です。
袖付きはラグランスリーブ。
このコートの一番の特徴はこの極端なシルエット。ウェストラインからの急激なフレアシルエットがかっこよく、布地の分量感もあって素敵な佇まいです。
この感じがとても気に入ったコートです。サイズは2サイズ展開で、155cmの妻が小さい方のサイズ0を着ています。
ベルトは共布を結くデザインで、これもラフさが出てかっこいい。
全部閉めてもかっこいいし、、
全部開けても素敵です。
もちろんこのトレンチらしいスタイルも。
後襟下がりもしっかりついたバックスタイルに哀愁すら感じるコートです。少し綺麗めな装いのコートとしても活躍します。着丈も長すぎず短すぎず。
少し時間が経って、やっぱり良いなって思うものってずっと手放せないものになりますよね。HAVERSACKの追及するクラシックは、そんなニュアンスのものが多いように感じています。「古典」を作っているわけではなくて、あくまでも「今」のものを作っている。ただ5年程度で飽きてしまうようなものではないトラディショナルな機能美を感じさせるデザインが魅力的です。綺麗めなコートをお探しの方に今シーズンおすすめのコートです。