annabelle

異端児(改訂版)

ブログは昨年別注した際に書いたものをほぼそのまま使おうと思います。写真は今年のものを多く採用しておりますので、あらためてご覧ください。

アナベルは僕がパンツ好きということもあって、オープン当初からパンツスタイル中心のお店を目指してきました。当然、いつ来ていただいてもなかなかな量のパンツが並べてあるのですが、並んでいるものの癖が強いのも確かです。「細身のスタンダードなパンツを探しています」と言われるのが最も辛い質問で、ゴーシュのカツラギテーパーパンツを切らしていたら、他に何もありません。そうなんです。お店にたくさん並ぶほとんどが太いパンツか変形パンツです。今日は変形パンツの代表、サルエルパンツをご紹介します。

SP(エシュペー)コットンチノサルエルパンツ
white ¥ 29,700(税込)

以前にコットンリネン素材でご紹介したサルエルパンツがスタイリッシュで素敵すぎて、展示会で見たお気に入りの素材に載せて、for annabelleとして特別に作っていただいたのが昨年のこと。今年は通常ラインナップされているものをセレクトしています。色は、ホワイト、カーキの2色展開。サイズは1(S)、2(M)の2サイズ展開となります。通信販売ページでは、妻が1サイズ、2サイズ両方を穿いていますので、文字部分も確認しながらご覧ください。

ウェストはゴムと紐ですので、ウェストヒップは幅広い方にフィットするパンツだと思います。

脇はノーシームですので、ポケットは僕の好きな切り込みポケットで、ちょっと丸みがあるのも素敵です。

ノーシームで脇線がなく、ドーンとしたワイドシルエットの横姿も大好きなパンツです。

股下の切り替え布は大分量です。

土管のようなワイドパンツに大きなマチ布が挟まったようなデザイン。基本的なサルエルの構造に忠実ですが、着用した際の立体感は全くの別物で、以前にも言いましたが、とってもスタイリッシュでアバンギャルド。

正面から開脚するとこのように。この布が着用すると最初のうちは少しモゴモゴしますが、穿いているうちにだんだんと馴染んで柔らかくなってきます。

ホワイト、カーキの2色展開です。
こちらは、ホワイトのMサイズを穿いています。
正面から見ると一見普通のワイドパンツのようにも見えますね。それもこのパンツのいいところです。

少し動いたり横から見ると、だいたい後ろからちょっとマチ布が除く感じです。おそらく布地が馴染んでくると、この出っ張りが収まってきます。(カーキ2サイズ着用)

あんまり出っ張らない時もあります馴染むと落ち感が出るので馴染むよう、たくさん穿いてお洗濯してくださいね。

こちらもホワイトのMサイズです。カシミアのリブセーターにフリースベストを着ています。

さらにコートを着るとこんな具合。

155cmの妻がMを穿くと、少し大きいような印象ですが、見た目は意外にかっこいい。妻より背の低い方が1サイズを穿くとこんな感じになるのだと思います。

こちらがサイズ1を穿いた感じ。身長160cm以上の方がサイズ2を穿くとこれに近い印象になるのでしょう。ウェストやヒップはあまり違いがわからないのですが、丈は4cm違いますので、身長でサイズを選ぶ感じで良いのではないでしょうか。

素材はしなやかなコットンチノですので、ほぼ一年中着用していただける素材感です。これから寒くなったら、インナーにタイツなどを穿いて真冬は着用してください。きっとブーツとの相性も良いと思いますよ。

シャツ一枚でラフに着てもいい。(昨年の写真で、サイズ2を着用)

タックインをするとよりかっこいい。
最後はカーキのSサイズです。(写真は昨年のもの)

短めのキュロットパンツみたいに穿きたい人は155cmでサイズ1で穿いてこんな感じ。

ヒールに合わせるとまた感じが変わります。(昨年の写真)

コートを重ねて。(昨年の写真)

実は昨年、別注をしたいと思ったきっかけはこの生地でした。「チノ」とデザイナーに言われてから触るとより「チノ」とは思えない滑らかな手触りは、加工を施すことで出来上がったタッチだそうで、その加工のおかげもあって、この何とも言えないベージュが完成したそうです。

僕は展示会場に入ってすぐからこの生地の色が気になって気になって。。触ったらなおさら好きになりました。

ベージュを初めて見た時、一番最初に頭に連想されたのは、高校時代によく遊びに行っていた横田基地の脇にある福生の古着さんでした。今は少しおしゃれな古道具屋やアンティークショップが並びますが、30年ほど前は米軍払い下げのサープラスショップが並んでいて、なんか安くて面白いものがないか、漁っておりました。

このチノのベージュは、その頃の思い出が蘇るような色合いでしたので、何となくネイビーにサンドっぽいキナリのHonneteの大判ショールで、でっかいミリタリーウェアのリメイクバッグを持って、それっぽくスタイリングをしています。(昨年のスタイリング)
サルエルは、みんなが穿くようなスタンダードには間違ってもならないパンツだとわかって販売しています。一生たくさん売れることはないでしょう。しかしどうでしょう。意外に長いことファッションの中に根付いていると思います。僕が初めて「サルエルパンツ」という名を認識したのは、おそらくざっくり20年ほど前、代官山に直営店があった、フラボアというブランドが最初でした。当時も斬新な印象で、もう少し民族的なアプローチでモード感のあるかっこいい提案だったことを覚えています。もちろん僕が覚えているのがそれであって、もっと以前からファッションの世界にあったのだと思います。そもそもが「モン族」の穿いている民族衣装なわけですから。そう考えると、特殊ながら随分長いことファッションの世界に在り続ける異端児の一つなのだと思うのです。トラディショナルな民族服が起源であって、決して流行ることなく長く在り続けるパンツ。そう考えると、なおさらアナベルにあるべきパンツだと思えるのです。

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