朽ちた素敵な壁のように
アパレル業界の常識からするとあり得ないことを、何度もやり通してきた「FACTORY(ファクトリー)」が最近他者とのコラボを少しづつ見せ始めています。「コラボ」というともしかしたら大袈裟なのかもしれませんが、例えば今までであれば自社で制作した生地以外を使用しなかった彼らが、最近「近江晒し」を積極的に使用している。そして今回はその近江晒しに面白い手法の染色を取り入れていて、見てすぐに大興奮だった。
FACTORY 板染パイピングスカート ¥26,400(税込)
見てすぐに連想したのは写真集でしか見たことのない素敵な「壁画」でした。壁画というより、朽ちた姿がかっこいい壁です。板染は「板締め染」などと呼ばれるように、模様のある板に挟み込むことで版画のように染色をする技術で、和装の世界の技術です。今回、アパレル業界で主に染色に携わってきたFACTORYの野村さんが興味を持って取り組んだものがこれであったわけですが、今まで何でも自分たちで行っていた彼らが周りと一緒に何かをやり始めたことには大きな興味を感じます。
板締め染は、動画を拝見しましたが、とても地道な作業が必要な技術です。絞っている箇所は、実際に野村さんが板の中に手を入れてクシャッと絞った状態で板を挟む、、といった手作業の繰り返しです。
このスカートは、裾が黒く縁取られていますが、ここはFACTORYさんのデザインで、縁だけ真っ黒に染めたということです。生地の切り替えなどではありません。
よく見ると、染色のシミのような濃淡は当たり前のようにある商品になりますが、それを含めてとても味のあるものかと思います。スカートのデザイン自体は、パイピングがチラチラ見える通り、少し前にご紹介したパイピングスカートがベースになっています。
サイズは2、3の2サイズ展開で、こちらが2サイズです。
シンプルなものほど合わせやすく、スカートを全面に見せていくスタイリングがおすすめです。真夏はビーサンにTシャツでも絶対に素敵です。
デザインは同じでも素材や色が変わると新鮮に感じることはよくありますが、この染色はその最たるもの。パイピングスカートは昨年の秋冬から販売してきましたが、これを同じものだとは思えません。初めましてな新鮮さです。
全体にブラックで揃えたスタイリング。モノトーンな色構成のスカートですから、モノトーンなものは全て相性が良いでしょうし、夏ですからビビットな色彩のものを合わせるのもおすすめです。相性が良いと思います。鮮やかなブルーとか、レモンイエローとか、、。
FACTORYさんは、アパレル業界の冒険家だと思っています。社長であるお母様にお会いしたことのある人は皆さん同じような感覚が共有できるのではないでしょうか。お母様の勢いに楽しそうに巻き込まれている3兄妹。ぜひもっともっとたくさんのまだ見ぬ誰かと手を合わせ、何か新しいことを楽しんで、生み出して欲しいと願います。