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真夏のカディ

少し前に、「quitan(キタン)」をご紹介の際に「khadi(カディ)」の素晴らしさを少しお伝えしたと思います。僕自身も夏に最も心地良い素材は何かを問われた時、リネンや化繊のクールマックスなども頭に浮かびつつ、一つを選ぶとなるとカディを選ぶと思います。もちろんカディも現在は様々なものが日本国内に流通しているように見ていますので、全てのものをよしとするところではありません。今日ご紹介するのは、1970年代に世界に先立ってカディをファッション業界に広めてきたデザイナー、ベス・ニールセンによるブランド「khadi&co」の上質なカディコットンの素敵なお洋服です。

khadi&co SARA ¥39,600(税込) パウダー

まず色についてですが、今回アナベルでは「パウダー」という色名で全て記載しております。これは本国のブランドが商品の下げ札に記載している色名です。しかし日本の代理店が展示会の際に記載した色名がピンクでした。そのため他店では同じ色がピンクという色名で販売しているケースがあることをご了承ください。

このSARAというデザインはもう何年も前から定番的存在として日本で紹介されているブラウスです。アナベルでもブランド取扱からほぼ毎年ご紹介してきました。ショート丈でブワッとしたフォルムで、様々なボトムスに相性の良いどなたにもお勧めしたくなる普遍性を感じるブラウスです。

フロントの開きは広く、タックで程よい丸みを持ちながらとても女性らしい雰囲気を持たせた素敵なデザインです。

ここからは今年は在庫のないホワイトの写真でのご紹介です。かなりゆったりとしたバストに対して立体的なカーブをつけたシャープな袖が付いているのがこのSARAの特徴です。ほぼジャケットのような袖付けと言って良いと思います。

フロントのボタンは華奢な貝ボタンを細いループで留めています。全体の雰囲気を決定づける、とてもセンスのいいフロントデザインだなと個人的には大好きなポイントです。通常のホールボタンでは出ない華奢さが出ています。

大きな身幅の分量をトップスのタックで吸収する形での自然なAラインが美しい。

糸の継ぎ目やランダムさを多少感じさせる伝統的なインドカディです。洗うほどにしなやかな心地良さを増していきます。夏に心地良い素材を求める全ての方にお勧めできるコットンです。

ワイドストレートパンツに合わせて。前開きが広いデザインですので、インナーは少し覗く程度です。

横から見るといかに袖がすっきりしているかがお分かりかと思います。とてもシンプルですがとても思考を凝らした特殊なデザインです。通常のシャツやブラウスの概念とは異なり、見た目はブラウスですが、洋服としてはジャケットに近いと思います。

背面の大分量のタックギャザーが軽やかに膨らみを持たせた素敵な後ろ姿です。

こちらはホワイトですが、今シーズンの販売はございません。(他のデザインも同様)スタイリングの参考にご覧いただければと思います。

少し肩線が後ろに抜けたあたりで収まりの良いデザインです。

ふんわりとしながらもショート丈でワイドパンツをはじめ様々なボトムスによく似合います。

khadi & co VANTEプリーツシャツジャケット ¥48,400(税込) パウダー

一見、とてもシンプルな、少しコンサバティブにも感じるタックのあるシャツブラウスですが、着てみると真夏の最高の羽織として、または袖の短いジャケットとして、ありそうでなかなか良いものが見つからない素敵なお洋服であると感じます。個人的には今シーズンのkhadi & coで最も好きなデザインでした。

惹かれたポイントの一つがこの襟のデザインです。ワンピースカラーで、いわゆる開襟シャツやアロハシャツなどと同じ類です。パッと見で感じるコンサバティブでトラディショナルな印象からは少し意表をつかれる襟周りのデザインです。

返して見える裏側もとても綺麗なお洋服です。

袖付けの角度に合わせるように丸みをつけている肩ヨークの切り替えに、デザイナーのバランス感覚の繊細さやこだわりを感じます。女性が着た時にキリッとした緊張感と柔らかさを同時に感じさせるかっこよさがあります。

たくさんのピンタックに埋もれるようにある比翼ボタン。わずかに大きなボタンからは、シャツブラウスであると同時にジャケットや羽織としても見てもらいたいデザイナーの意思を感じとります。

裾は紐で絞ることができるため、ボトムスに合わせたバランスをある程度取ることができるのは嬉しポイントです。

また背面にも施されたタックも着た時に洋服そのものに立体感や膨らみを持たせる大きなポイントです。

少し絞るとワイドパンツにブラウジングして小柄でもスラリと見えるバランスで着ることができます。

タックインをしたような見た目ですがタックインはしていません。またこの分量感はどのくらい絞るかで加減できます。

またタックがあることで強調されるブラウジングシルエットがまた美しい。

開襟のようなデザインは実は外してみるとわかるのですが、このように開襟にはなりません。これもまた繊細なこだわりを感じて好感を持つポイントです。

そして個人的にかっこいいと思った最大のポイントはこの開けた時の雰囲気でした。シャツブラウスを開けて着るのとは明らかに違う、しかしジャケットでもなく、そして羽織という幅広い概念にも当てはまらない一種独特の迫力をもった印象です。70年代から第一線で活躍し続けている大ベテランでしか表現できない、テンションのあがる洋服だと感じます。

今回は真っ白でスタイリングしましたが、デニムやブラックなど、幅広く取り入れてもらいたいお洋服です。また想像に容易いとは思いますが、スカートやジャンパースカート、サロペットなどにも使いやすいバランスのデザインです。

khadi & co INDOLI(ロングシャツ) ¥52,800(税込)パウダー

こちらは最もインドの服装文化を踏襲したデザインで、ある意味カディであることに全く違和感を感じないシャツデザインです。極端に長い袖もブランドの特徴の一つで、他のお洋服にもよく見られます。ポケットの仕様やステッチワーク、また所々に見られるハンドステッチにも注目です。

小さなネックに長いスリットが美しい佇まい。

全体にすっきりとしたシルエットをつくるお洋服で、袖下のマチや一体化したサイドの切り替えで分量をとっています。

サイドには大きなスリット

ポケットは前後どちらにも手が入る仕様です。

好みの分かれるオリエンタルな印象のデザインです。誰にでも似合うものでないことは承知で、小ぶりな襟ですっきりしたチュニックをお探しの方やこの手のデザインがお好みの方にぜひお勧めしたいと思います。このデザインにこの生地の組み合わせが最高です。

ポケットはモスクを連想する形のステッチが効いたデザインです。

またキュッとした小さな襟が得意でない方には、ボタンを外して着ることも提案したいお洋服です。うっすらと見えるかと思いますが、実はフロントヨークのある部分的に二重になったデザインです。そのためこれだけ深いスリットにもかかわらず、ボタンを開けてダラッとなることがありません。それもおすすめのポイントの一つです。

むしろ外した際のバンドカラーがアクセサリーのように首元を彩っているかのようにも見えてきます。

基本的にはとてもすっきりとしたデザインでボリュームはありません。しかし裾周りは細くはありませんし、スリットがあって動きやすいデザインです。ボトムスにフレアワイドなどを合わせても素敵だと思いますし、スカートも形によっては似合うと思います。

khadi&coはカジュアルなブランドとしては高級な部類に入ってくると思いますが、細々とでも長くご紹介を続けたいと思わせる迫力を持ち合わせた端正で繊細でこだわりを感じることができるブランドです。様々なコレクションがある中で、最もシンプルなカディを用いたシリーズから、3種のトップスをお勧めしたいと思います。真夏の定番として長く愛用していただきたいお洋服です。

 

 

 

 

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