annabelle

グレートヤーモス

洋服の好みは人それぞれです。僕は好みの幅は広い方ですが、生地に惹かれてしまうケースが多いように感じます。とりわけ見た目ではチェック柄に弱い。マドラスも好きだし、アメリカっぽいタッタソールやバッファローチェックも好き。そして一番惹かれてしまうのはヨーロッパらしい配色のチェックです。

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Yarmo ブロックチェックコート ¥58,300(税込)

ちょっとお値段するな、、と思いつつもまず素直にこの見た目に惹かれました。大好きな色合いのチェックです。ポリエステルの先染めのチェックで、色合いが上品で生地のタッチはふわっと、さらっとした想像以上に薄手な感じ。コートの生地と思うと薄手薄手と言ってもそこそこしっかりしてるでしょ、と思ったら本当にシャツみたいな生地感です。その時点で、「なんか面白そう」と思って見ていましたが、イギリスの伝統的なワーク工場らしい縫製仕様やそれを逆手に取ったデザインにも少し注目したい。

生地は近くで見るとこのようなチェック。ブラウンとネイビーのブロックチェックです。ちょっと黒っぽく見える部分は縦横のネイビーの糸が重なって濃いネイビーになっている部分。

この襟はYarmoの過去のワークコートに何度も見られる、僕も大好きなスタンドカラーデザイン。今趣味で作っている自分用のコートにも、この襟を真似た物を付けています。

このコートはイギリス国内で残っている貴重な英国生産の工場で企画、生産された物ですが、昔からユニフォームを得意として製造している工場なので、やっぱり縫製仕様としてはラフで丈夫な洋服を作るのが得意です。もちろん、デザインによっては折り伏せや裏地付きもありますが、今回のコートはこの上品な薄手の生地をわざとワークな仕様で作っているコートです。縫い合わせはロックミシンと、なんとチェーンステッチ。通常はデニムのような地厚な生地を縫う際に用いるようなステッチです。

袖の縫い合わせも同じデザインで、表から見るとこのようにわかりやすいパッカリングが見て取れます。

身頃の縫い合わせも同じくです。コレクションブランドでも見られる手法ですが、今回は好みのチェックで生地が想像以上に薄いので、インパクトが大きかったのかもしれません。けっこう見てすぐ気に入ってしまいました。

しかもポケットが箱ポケット。ちょっとマニアックだけど、ワークコートやカジュアルなコートだったら片玉縁の幅広のポケットが一般的だし簡単なのでワークっぽい。箱ポケットはスーツやそれに準じたトレンチコートとかステンカラーコートによく使われるポケットで、この太番手の荒々しいステッチでわざわざ箱ポケットにしているところも素敵だなって思ってしまいました。

薄手のコートですが、シャツ生地くらいの感触なので、ロングシャツやシャツワンピを羽織るような感覚で着ていただきたいコートです。

パンツはコットンリネンのFACTORYのパンツ。トップスはゴーシュの半袖シャツです。

太めの袖をふわっとそのまま長めに着て、ボタンを全部閉める感じも好き。今はまだ、インナーに重ね着をしないと朝晩は寒いと思いますが、5月あたりには半袖か薄手の長袖にちょっと羽織る感じで着ていただけるコートです。

シャツみたいに袖捲りもできてしまうので、初夏にちょうどいい軽いコート。旅先にも持ち運びにも便利な軽い羽織です。

春の風に煽られるこの感じが、生地の軽さや薄さを伝えてくれるでしょうか。

ヨーロッパ諸国の多くが国内生産をしなくなり、アジア生産が目立つ中、Yarmoはイギリスのグレートヤーモスにて、100年以上の歴史を持つ老舗工場として頑張っている。日本も国内生産が非常事態ではあるけれど、ヨーロッパに比べるとまだまだ挽回の余地はあるのかもしれません。ファッションも日本独自のストリートファッションが数十年かけて培われてきていて、この文化は世界的にも大きく評価されている。コレクションブランド以外のアナベルでもお取り扱いがあるような小さなデザイナーブランドがまだまだしっかりある。これは国内工場があるおかげなのです。どんな可能性があるかわかりませんが、一部の人たちだけでも、もっと内向きなことを中心に考えても良い時代である気がしています。時代はグローバルなんでしょうが。。

 

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