暗中模索、塞翁が馬。
ファッショナブルとかファッションという言葉を
最近あらためて意識しています。
というより、気になります。洋服屋なのにおかしな話です。
トレンドの大外(おおそと)を狙ってコアなスタイルを
提案したいと思ってやってきたわけですが、少し刺激が
欲しくなったのかもしれません。
SUSURIの今回のコレクションは、つい先日もご紹介しましたが、
その感覚をとても共有できる内容でした。
今日はSUSURIから楽しい柄物のワンピースを2つご紹介したいと思います。
SUSURI
サシェドレス
Black ¥61,600(税込)
前回はナチュラルな起毛素材とポケットに切り替えのある
素材でご紹介したサシェドレス。クローゼットにかけるサシェから発想された
ドレスのデザインは、ウェスト位置を巾着のようにシュッと絞れるのが特徴です。
ウェスト部分の前面だけが絞れるようになっています。
サシェの袋口のようなネックのデザインが特徴的です。
見えづらいですが、裾が少しコクーンシルエットになるように
切り替えています。ブランド創世記からの「らしさ」を感じます。
生地はリネン100%ですが、60/2(ロクソウ)の平織でややしっかりした
素材感は、秋冬も春も着ていただける3シーズン着られる素材感です。
ブラックにベージュ色の色合いもシックで大人っぽい印象です。
袖のシルエットも変化球。
裾と同じようにシルエットを特徴づけるインカーブが極端についています。
しかも切り替えも入れた大胆なカーブです。
着用した際の全体のフォルムを気にかけてのカーブかと思います。
袖と裾に同じコクーンカーブをつけることで、全体のシルエットの
印象がまとまったドレスです。
以前にも言いましたが、絞れるのが前面だけであることが
「らしさ」を醸します。
ロングコートも似合いますし、、
少しカジュアルにブルゾンを合わせても素敵です。
年齢を重ねても女性らしく、そして個性的に趣味性を共有した
ファッションを続けられる洋服こそが普遍的であると思ってアナベルを
始めました。ファッションは常に身近な存在だと感じながらも、ここ10年は
トレンドファッションをどこか突き放した存在として見ていました。
そして今、トレンドにのったり、合わせたりするということではなく、
10年で培ってきた普遍性を感じる洋服たちを、新しい何かを注入して、
新しいスタイルを見せたいと思ってはいるのです。
暗中模索な変化の今、不安であると同時に楽しいのです。
積極的に取り入れたいと思っているものの一つが柄物です。
SUSURI
ショアラインドレス
Black ¥66,000(税込)
最近のSUSURIさんのコレクションではお馴染みのドレスです。
着用した際のドレス感は素晴らしく、女性らしさと強さも感じる
シルエットではないでしょうか。
柄部分はこちらも最近のSUSURIで見られるバックカットジャカードです。
今回は秋冬シーズンということもあって、コットン、アクリル、ウールの
混合のジャカードです。
バックカットは本来は裏面ということになりますが、
柄の出方や迫力があるため、裏面を正式に表として販売する生地を
バックカットジャカードと言っています。
古くからイタリアの高級なシャツ生地などには見られる手法ですが、
日本では群馬県や栃木県のジャカード織が盛んな一部地域で、
クウォリティーの高いものが作られています。
切り替えがドレス感を決定づけるワンピースです。
インナーにゴーシュのコットンカシミアを合わせれば、
重ね着は無限に広がります。
これだけでも気分の上がるドレス。
切り替えの別布であるコットンシルクが少し光沢感もあって素敵です。
ウェストの切り替えギャザーは横から見るととても映えるポイントです。
全シーズンにご紹介しそびれたゴーシュのブルゾンは、
春秋で重宝するエイトロックスムースのもの。
シャツやワンピースに重ねてオールシーズンで活躍します。
ピタッとしたジャージ素材は、前シーズンながら非常に
今っぽさを感じ得ます。
コートの裾から柄がチラリ。
同じSUSURIのコートを合わせて。
柄物のストールを重ねて。
色々な感覚が交錯する今、まずは柄物にトライしていくのも良い。
派手な色を取り入れるのも良い。今、新しい感覚を手にするために、
ありとあらゆることを試してみるのがいいと、ただただそう思います。
今までの「なし」が「あり」に変わる瞬間が一番楽しい瞬間だから。