正月のお餅のように
皆様、あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
新年は、寒い寒いと言いながらどうしても「春」を意識します。衣替えなんていう言葉があるために、洋服は季節の変わり目に一気にする印象があるかもしれませんが、きっとお洋服が好きな人や洋服屋さんは、そんなことはないと知っています。昔は一人が所持するお洋服が今のように多くなかったから、季節に応じて押入れと箪笥を使って整理して入れ替えていたのだと思いますが、今は季節の移り変わりを埋めるようにさまざまなお洋服があり、一人が所持するお洋服の量も昔とは全く違います。小さな変化を感じなながら、衣替えも徐々に徐々に。今日は秋冬に入荷したFIRMUMのパンツをご紹介します。
FIRMUM ワイドギャバジンウールパンツ ¥36,850(税込)
パンツで3万円を超えると少し高いな、、って感じる人もいらっしゃいます。しかし梳毛のウールでこの打ち込みのギャバジンなら仕方ないと思える適正な価格かとは思います。コットンと比べて、ウールやリネンは高い。再生ウールを使うとコストは抑えられますが、質感は劣ります。ピュアウールで手洗いができるウールのパンツですから、初めカリカリとした質感が少しづつ上質な毛羽を放ちウールらしさを覗かせるのだと思います。
ウェストはいつも通りのゴムと紐。タックインもよく似合うデザインです。
サイドポケット
裾はダブル仕立てです。こんなに太くて短いデザインにダブルというのが彼ららしいパンツです。
サイドフォルム
バックスタイル
丈は短いので、真冬にくるぶしを温めたい方には不向きかもしれませんが、そこは季節の移り変わりを楽しみながら、スタイリングにも工夫を取り入れたいところです。
ヒップポケットはいつものように凝った比翼布が面白い。
ギャバジンは高密度な綾織の一種で、タテ・ヨコ3cm四方程度でおよそ300本ほどの打ち込み本数のある素材です。バーバリィ社が天然素材でも雨を弾くようにと開発した素材であるため、コートに使用されるコットンの60/2(ロクソウ)、80/2(ハッソウ)クラスだと、通称でその生地のことをバーバリィ素材と呼んだりします。コチラはそれを梳毛のウールで織り上げた素材ということです。梳毛ですから見た目はふわふわした起毛感はなく、秋口や春先にも使いやすいパンツです。特に、寒さの残る春先にはとても活躍が期待されます。
ブラック、ネイビー、グレーの3色展開。
グレーはGASAのセーターに合わせて同系色でシンプルにスタイリング。セーターのレースデザインがアクセントになって、シンプルな中にもエッジが効いた印象です。
真冬はブーツに合わせると足首も隠れてかっこいい。
全体のボリューム感はかなりのもの。
ブラックはモノトーンで。
パリンとしたウールパンツにフカフカした無双仕立てのジャケットを合わせたバランスです。オールブラックを和ませるようなフワフワの白いカシミア。
ジャケットのインナーは薄手でも温かい、コチラもカシミアのセーター。
よく見ると足元にも温かいカシミアのレギンスをインナーに。
こちらはネイビーです。ネイビーはミックスレッドのカシミアに合わせて。足元は春は意識して薄手の白いソックスで。
小さめのカシミアストールも春に使いやすい。この上に春物のアウターを合わせるのが3月上旬頃だと思います。もちろんそれだけでは寒いので、そんな時に活躍するのが先ほど登場したようなジャケットでしょう。薄手のカシミア、その上にジャケット、一番上に春のコート。そして、暖かくなるにつれて内側に着ているものを変えてゆき、4月初旬のお花見の季節あたりまでは穿いて欲しい。
そうなるとこの丈も嬉しい長さ。梳毛のウールで高密度だからこその光沢感もかっこいい。1月は端境期の始まりの季節。お正月明けのお餅は、食べて食べて、食べまくって、いつの間にか食べなくなる。店にも目立つところに並ばなくなる。お洋服も似たようなところがあって、1月中旬に青山あたりのブランドショップに行くと店員さんは全身春物。そんな風景を見ていると、多少寒くても冬物を遠ざけたくなってくる。だから一番上を春のコートにして、少しづつ変化させていく。暖冬の今年は、春物の登場も早いかもしれません。季節の移り変わりをじっくりとお楽しみください。