トラディショナルでアヴァンギャルド
トラディショナル(伝統的)なデザインは、デザイナーの求めるスタイリングやそのバランスによって、どのようにモディファイ(修正して現代風に落とし込むような思考)するかが決まるので面白い。参考にしているものが同じ場合でも、デザイナーのフィルターを通すことでそれぞれの個性が出る。それが最もわかりやすいのがトラディショナルなワーク服やミリターリー服などだろう。それらを我が物のようにデザインできるデザイナーの洋服は迫力があるし、着用した際の満足感もあって大好きです。HAVERSACKの洋服の一番の魅力は、そういったところにあると思います。
HAVERSACK ウェザークロスコート ¥71,500(税込)
古着好きな男性は好きな方が多いのではないでしょうか。最もこのブログを見ている方はほとんど女性だと思いますが、、。形状からして、どこかの軍のモーターサイクルコートかな?ということはすぐにわかります。フランス軍のモーターサイクルコートは有名で、見たらすぐにわかりますがこれは違います。イギリス軍が似ていますが違う。どこだろう?と思ったらスウェーデン軍だそうです。
モーターサイクルコートのほとんどは、1940年台の大戦中に作られたものが多く、どこの軍のものも共通しているのは風を通さない工夫のあるデザインということと、取り出しやす大きめのポケットでしょうか。こちらも打ち合わせが深く、高密度で軽いウェザークロスを使用することで「え?」と不思議に感じる温かさを持っています。コットン素材の裏なしですから、嘘でしょ?って思われるかもしれませんが、お値段以上の活躍を期待しても大丈夫です。内側にボタンがあり、見える部分は全てスナップボタンで留めるデザインです。
全てボタンを留めるとハイネックになる。トレンチコートの襟を立ててフラップも全てボタンを留めた状態に似ています。防寒性を考えたクラシックなデザインです。
ポケットは大きめのアクションプリーツの入ったポケットです。現代人はここにものは入れないからと簡素化されたポケットになったものも多く見ますが、僕はこちらの方が好みです。
もちろん使いやすい通常のサイドポケットもございます。ポケット布(内側)は、丈夫なミニヘリンボーンの同色を使用しています。ポケット布が丈夫って、地味に嬉しいこと。
リングベルトは両サイドのループに通して。
大きく立体的で動かしやすい袖付け。下には結構着ていただいてもかっこよく見えるお洋服です。
リングベルトは扱いやすくて大好きです。
袖口もクラシックに機能的。マチ布がついてキュッと閉まる袖は防寒性や防風性を考えたもの。
全てのボタンを締めたこのコートのスタンダードな姿。
下に温かいセーターを着ていただければ、真冬でも着ていただけるコートです。また、見た目には薄くて軽やかにも見えますので、春先や秋口にも活躍する、おそらくコートの中で最も着る時期の長いタイプのコートです。こういったコートはついたくさん着てしまって、擦り切れたりしてしまいがちですので、より長持ちさせるために、こればかり着てしまわないように注意しましょう。
ハイネックだけですと春や秋の着こなしに困りますが、この開けた状態も抜群におしゃれです。
また全部開けて羽織る感覚でも素敵でした。この状態でベルトだけ結いてもいいのかもしれませんね。
最も寒い1月、2月も、こういったストールを持っていれば安心です。内側に使っても外からショール使いをしても。スタイリングによって使い分けてお楽しみください。(こちらのコートはquitanのものです)
トラディショナル(伝統的)なデザインは、クラシック(古典)になってしまうと現代のファッションシーン、ましてレディースで提案するには苦しい感覚になりますが、HAVERSACKのスタイルがとても個性的であることが手伝って、世界中の洋服好きな人たちを魅了しているのだと思います。
昔、もう15年ほど前になりますが、年に数回海外へお仕事で行っていた時期がありました。イタリアのフィレンツェから始まり、ミラノ、パリ、時折オランダなどを回っていましたが、パリの有名なセレクトショップに立ち寄った際に、ルイ・ヴィトンとコムデギャルソンの隣にHAVERSACKがズラッと並んでいた。洗練されたファッション文化を持つパリのセレクトショップに並べても全く見劣りしないその姿が素敵すぎて、今もその時の景色を覚えています。トラディショナルをアバンギャルド(前衛的)に取り入れるHAVERSACKをいつものスタイルに取り入れてみてください。上質なカジュアルスタイルってこういうものかって、感じていただけると思います。