天井裏から愛をこめて
今シーズン、僕の中で
「よくこれを作ろうと思ったな。。。」ランキング、
第一位の商品が入荷してきた。
「吊編み機」(つりあみき)という言葉を
聞いたことがあるだろうか。
メンズ雑誌なんかを見ていると、
宣伝文句のように書かれた記事を見かけるが、
あまり好感を持てない。
雑誌だから仕方ないのだが・・・。
素晴らしいものも言い過ぎたり
作りすぎたりすると味が薄れる。
戦前はアパレル産業の中心にあり、
高速編み機の登場により、稼働する機械と
それを操れる職人の数が激減している。
吊編みで作られた生地の特徴は大きく2つある。
①素材の風合いを生かして、ゆっくり編まれるので
フワフワしていて気持ちがいい
②丈夫である。
この生地もそうだ。
こちらは、吊編みのパイル素材。
ランキング一位のわけがうっすら見えてきた。
女性にとってなかば「どうでもいい」と思われがちな
「吊編み」を特徴にしていること。
見た目がこの上なく普通であること。
さらに僕が驚いたのは、なかなか重さがある。
普通、吊編み機は編むのにおそろしく時間がかかること、
また、フワフワ感を全力でアピールするためにも軽いものが
多いのだが、これは少し重い。。。
しかも、しかも、、吊編み機で一番人気は「裏毛」と呼ばれる
いわゆるトレーナー素材なのだが、
これは、あわや「部屋着」と言われかねないパイル。。。
しかも色は白とこちら、、
グレー。
だんだん悪口のようになってきたが、
決してそんなことはない。
僕はものすごく好きな商品だ。
このブランドでは毎回、吊編み機で何か作っている。
もしかしたら、あの光景を見たのかもしれない。
ばかデカイ編み機が、工場の高い天井からぶら下がり
ゆっくりと力強く回転する。
そして機械にも関わらず、編みあげている最中、
熟練の職人が回転のバランスを維持するため
編み機の針を調整し続ける。
モノ好きなこのブランドらしい、商品だと思う。
STANDART AT HAND パイルT-SH ¥8,925(税込)