小さなこだわりの積み重ね
ただただ洋服が好きだった10代。
「シャツ」は、襟があるからシャツ?って
勝手にそう思っていた。
「ニット」はウールのこと?
そんな大きな勘違いもしていた。
でも洋服を仕事にし始めて、そんな小さな疑問を
抱いていたことなど忘れるほど忙しく働いていた。
自分でお店を始め、素敵な作り手とゆっくり
話をすることが多くなった今、忘れていた小さなことが、
作り手にはとてもとても大切なことなのだと、
このシャツをじっと眺めながら思うのです。
ゴーシュ
ラミーコットンローン丸首シャツ
¥19,000+tax
パッと見て、「ブラウス」って思ったら、
袖口にはシャツカフスが。
それもとても奇麗。
そう、前にもちょっとだけお話ししましたが、
シャツとブラウスは、ほとんどの場合、工場が別。
器用でなおかつ大きな工場は両方縫える場合もありますが、
シャツはだいたいが専業です。
ゴーシュのこのシャツは、襟もなく、後ろにはしずく型の
女性らしい一つボタン。
でも、前身には男性のシャツに付きそうなシャツポケット
が施され、なおかつしっかりとした本格的なカフスが付く。
この絶妙なバランスに、なんだか迫力を感じるのです。
今回の生地は、ゴーシュのお二人が好きで
良く使うラミーが50%。
5年くらい前、初めてラミー100%のゴーシュの
シャツを見た時に、質問した。
「なんでラミーをわざわざ使うのか?」
それまでの感覚で、「ラミー=粗野」という印象だったから。
その質問に、彼らはとてもとても丁寧に、熱っぽく
答えてくれたのを覚えている。
『良い麻はしなやかで肌触りも素晴らしいんだけど、
我々が作りたかったのは、ちょっと「シャリ」っとした
小さな硬さが残った張り感のあるもの。』
そして、着続けてもある程度そのシャリっとした感覚が
残っていくような素材を求めていたという。
しかし、通常出回っている「ラミー」は粗野で
カリッとした感じはあるが、チクチクしすぎるし、やはり荒っぽい。
そこで彼らが選んだのが極細番手のラミー。
単純に高級感を出すのなら、リネンの良いものを使えばいいのだが、
彼らがイメージした仕上がりには、これが必要だったのだ。
ちょっとシルクを感じるような素敵な素材感です。
色は、ダークネイビーの他、
ホワイト、ライトグレー。
ライトブルーが完売してしまいました。
スカートにしっかりタックインもできる着丈。
Honneteのざっくりとしたアイリッシュリネンの
質感と良く似合います。
コットンが50%、ラミーが50%の極細番手で
織り上げたローン素材は、濃色でもほのかに
透けを感じ、真夏でも袖をまくって着続ける予感。
ライトグレーとホワイトは、
店内では見分けがつきづらいほど。
こちらはライトグレー。
ARTEPOVERAのバルーンパンツには、
裾を出していい感じ。
腕の短い妻も、カフスを留めればいい具合。
まくるか、留めるか。
こちらは真っ白です。
GASA*のラピスラズリカラーとの
コントラストが何とも言えず爽やかです。
コロンとした愛くるしいパンツのシルエットも良い。
ぜひ着ていただきたい、ゴーシュの素晴らしいシャツ。
ちなみに、ずいぶん長いこと作り続けてきたこの形、
次シーズンは出ていませんでした。
ちょっとお休みするみたい。
悩んでいた方には特におすすめしたい。
大切ですね。
小さなこだわりの積み重ね。