annabelle

いい予感

ひとりのデザイナーがブランドを2つ賄うという事は非常に難しく、

無理が生じてくるのではないかとすら感じることもある。

役者のように、用意された舞台で短期的に様々な役柄を演じることと

デザイナーが継続的に2つのブランドを育てることとは全く異なり、

大抵の場合、ブランドを分ける意味合いが薄れてくるのが常である。

しかし、これを見た時、、「これは、これは面白い」

素直に、そう感じました。

HandWerker(ハンドベーカー)
ワークジャケット 
offwhite ¥29,000+tax

HandWerkerは、実は連日ご紹介しているASEEDONCLOUDの3人が、

デザイナー玉井健太郎を中心に別ブランドとして展開しているのです。

こちらはchacoal。

この別ブランドが良いと感じたのは、それぞれのブランドには

確かな共通点がしっかりと存在しながら、不思議なことに全くといって

いいくらい別なベクトルに力が注がれているように感じたからです。

アパレルブランドにありがちな、複数のブランドを持つことで、

より多くのお客様を獲得したい、、といった目論見は一切感じない、

むしろ一体感を感じ、相乗効果にもつながっている。

両方を扱うことに意味があるようにすら感じてしまいました。

19世紀~20世紀における様々なワークウェアに注目し、

バックストーリーともいえる、「くもにのったたね」の物語を

重ね合わせ、コレクションごとにテーマ性を加えることで、

空想の職業を生み出し、その人たちが着ることを想像した、

空想的であり、リアリティーを持たせるASEEDONCLOUDのお洋服。

一方で、今回ご紹介しする「HandWerker(ハンドベーカー)」は、

ASEEDONCLOUDから生まれたたくさんの新しい解釈を加えたワークウェアの

中から、より普遍性の高いアイテムを抜出し、「職人の服」という感覚で

スタートしている。

ブランド名である「HandWerker」は、ドイツ語で「職人」を意味している。

別ブランドとしてスタートしてから3年目、今から2年前、彼らはさらに

このブランドに意味を持たせるような素敵な取り組みを始めるのです。

それがこちら。

少しずつ定番を増やしていく方向で進んでいたHandWerkerは、

長い時の中で使い続けられてきた普遍性を抱くワークウェアを

徹底的にデザインした小さなコレクションである。


そのコレクションの中に、現代に働く人たちがいったいどんなワークウェアを

求めているのか?そんな素朴な疑問から、誰か一人の働き手に焦点をあて、

その人のためだけに作る1着が必ずあるというコレクションが始まった。

この表紙の人物は、2020年春夏コレクションに選ばれた人なのです。

後からこの冊子が届いて驚いたのですが、、この方、

annabelle304の小部屋の壁を作ってくれた左官職人の都倉さん。

この土壁を作ってくれた職人さんでした。

annabelleではセレクトしておりませんが、

今回彼のために作られたアイテムはパンツでした。

そして、たくさんの仕事風景の中で、今回ご紹介する

ワークジャケットも纏っております。





















左胸部分のポケットが、毎回共通で施されるワークウェアで、

前シーズンから継続で、ノーカラーのデザインです。















つまり過ぎず、男女兼用で着ていただけるきれいなノーカラー。

アナベルではSをお取り扱いし、わたくしはMを購入しました。




























2つのスナップボタンを外すと、内側にはペン差しが。

その下側には大きな箱ポケットが付き、職業によって、

自由に様々なアイテムを収納することができる。















ふんわりパンツを合わせると、ワークウェア感が薄れます。

素材は岡山で明治時代から受け継がれる帆布織物工場で

糊なしで織りあげらえた非常に滑らかな帆布素材。

通称、備前壱合(びぜんいちごう)と呼ばれるこの素材は、

触ってもわかる通り、非常に丈夫で軽い。

着るほどに、そして洗うほどに馴染む感触もたまらない。

チャコールはワンピースに合わせて。

前を開けて、パッと羽織るだけでも素敵です。

Gジャンやライダース感覚で取り入れてみてください。

胸に付いたブランドのタグは、取り外しても良いのですが、

基本的には付けたまま着ていただきたい。

お洗濯を続けて、いつかボロボロになってくると、

それこそヴィンテージとの見分けが難しいほどに

いい味わいを醸してくれることでしょう。

オッドベストのような裾の形状がまた可愛らしく、

もちろんスカートに合わせても似合うことでしょう。

「ワークウェア」が、多くのデザイナーが手本とする、

洋服の普遍的な要素が詰まった1着であることは間違いない。

非常に完成されたものであるがために、再構築は難度が高い。

このHandWerkerをはじめて目にした時、様々な働く人を楽しそうに

巻き込みながら、その難題を楽しそうにクリアしているように感じました。

わたくしも、annabelleのセレクトに放り込み、他のデザイナーの

お洋服とごちゃ混ぜにすることで、新しい発見があるように感じたのです。

そういう意味で、何か可能性を感じさせるブランドです。

何か新しい感覚が生まれる予感のようなもの。。

そう、いい予感です。

<お知らせ>

本日、夜9時頃でしょうか?

暮らしとおしゃれの編集室」の連載が更新されます。

こちらではイギリスのワークウェアブランドを着ています。

大人っぽい、品のある素材感や高級感のある素材の中に、

粗野なワークウェアを放り込む、、これはわたくしが長いこと

意識してやってきたスタイリングのポイントです。

自分が着るときも、人に着せるときも、セレクトするときも。

洋服のスタイリングは、ふり幅があるから「おや?」って思うのかも。

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