曖昧さ
SUSURIは、
「曖昧」という言葉が好きなデザイナーが、
「曖昧」な表現になりそうなモノつくりをしています。
今シーズン、変化の年にもなりそうなSUSURIのコレクションからは、
やんわりとした「曖昧」さではなく、強烈な「曖昧」さが伝わってきた。
何と言ったらいいかわからない、ぼんやりとした感情をもとに
洋服を作るとしたら、きっと今シーズンはとりわけ素直に
その感情に従ったものなのだと思います。
新たな一面と、今までの彼らが混沌と入り混じるコレクション。
そんな中から目に留まったものをセレクトしたつもりです。
まずはこちらからご紹介します。
SUSURI
チューナースモック ¥39,000+tax
背面には、配色で際立たせたスモック刺繍。
ゴムとギャザーで伸縮性も備えています。
強撚糸を用いた超高密織のコットン素材は、綿とは思えない
上品な滑らかさといかにも丈夫そうな武骨さを備えています。
そこにクールな印象のステッチ配色を落とすことで、柔らかな
アンティーク調の、ふんわりとした印象のデザインに、
いい曖昧さが生まれているように感じます。
ゆとりのある身頃から感じるゆるやかさと、
キュッと閉まるネックや袖口から感じさせる意志の強さは、
デザイナーそのもののようにも見て取れます。
配色になることで、そのステッチの美しさがより強調されます。
同色ステッチでは気にも留めなかった、洋服を着る側はあまり
ちょうどおしりが隠れるような長さです。
男女どちらが着ても良さそうな中性的で中世的な、
非常にクラシカルなデザインは、従来のSUSURIに
ずっとある、彼らの中枢にある表現かもしれません。
触らなければわからない上質なコットンの感触や、
着てみて初めて感じられるSUSURI独特の全体のフォルムが
際立つデザインです。
それは既視感と新鮮さを同時に感じさせる
曖昧さのあるデザイン。
今シーズンは、2人で旅をしたポルトガルで偶然出会った
表現者、Joan Jonasの作品に強い影響を受けたそうです。
まっすぐに感情を表現する彼女の存在は、離れても影のように
付いて回る忘れられない映像として脳裏に焼き付いたそうです。
テーマを「REANIMATION」とし、その時持った曖昧な
感情を動きの中に求めたコレクションです。