annabelle

サラピタ

アナベルのベースにあるスタイリングは、

「メンズライクなパンツスタイル」。

80年代後期からファッションが好きになり、

90年代初頭の古着、アメカジブームを謳歌して、

90年代後半からはアウトドアファッションも取り入れる。

そして、それらの感覚すべてが混在した、

混沌とした時代に現れた、インディーズブランドは、

単なる海外ブランドや海外文化の真似ではなく、

明らかにそれぞれの解釈の末の「個性」をまとっていた。

そんなブランドに少し憧れを抱いた2000年台初頭。

たちまち、マンションアパレルと言われる小さなブランドが乱立した。

きっと僕なんかには想像できないくらい、

厳しい競争の中を、シクシクと、淡々と、、

それぞれ自分たちができることをやって、今に至るのでしょう。

ブランド発足から、たしか17年。

彼らもそんな時代をくぐり抜けてきた、個性派ブランドの一つなのです。

FIRMUM(フィルマム)

ポリエステルオックスサラサラテーパーパンツ

サンド ¥21,000(税抜)

もちろん、FIRMUM はまだ登場したばかり。

NO CONTROL AIR のデザイナー米永さんは、

当時僕が感じていた、

「このアウトドアパンツがもっとおしゃれな素材感だったら。。」

とか、

「このアメカジトレーナーが、もっとこんなだったら。。」

のような、ないものねだりを具現化しているように見える。

とりわけ、FIRMUMを始めてからは、それを強く感じます。

ポリエステルのオックスフォード織の素材は、

サラサラで全く体にまとわりついてこない。

後ろは、カジュアルで可愛げのあるパッチポケットが。

オレンジブラウン

オレンジというと、すごく明るめを想像するが、

そうでもない。

僕には、カーハートのダック素材が重なって見える。

同素材で、カバーオールを作っていたのを見て、

聞かずとも確信した。

一枚で透け感が全くなく、サラサラで涼し気。

それがこの素材の特徴です。

生地段階で、洗い加工を施し、細かなシワ感がいい風合いです。

丈は少し短めで、ロールアップしなくても、

ロールアップしたかのようなシルエットバランスがすばらしい。

小柄な方がバランスよく履けるバランスです。

ポリエステルというと、ペタッとシャカシャカで、

通気性もなさそうな印象を受ける人もいるかもしれませんが、

これは違います。

例えるなら、、

超高密度な網戸みたいな質感の素材です。

虫は通さないけど風は通す。

そして、セットアップで着てみれば、

米永ワールド全開です。

地味になりがちな、メンズライクなジャケパンスタイルも、

どこか個性的で、華がある。

NO CONTROL AIRで、キャリアを積んできた米永さんが、

FIRMUM で何を表現していくのか?

とても興味深く、毎回の展示会に臨んでいる。

NO CONTROL AIR では使いきれなかった素材感のものや、

極端にサイズバランスを遊んだスタイリングの提案は、

作る側の立場で考えてみると、

もう一方のブランドを際立たせながら、

自分たちの内面をリセットするための原点回帰のようにも感じられる。

だとすると、やはり楽しみで仕方がない。

売れるとか売れないとか、、

辛いこともたくさんあるかもしれないが、

始めた頃の気持ちをもって、どんどん攻めてほしい。

と思って、、、

いつものアナベルのスタイリングよりもほんの少しだけ攻めてみた。

こうやって履いていいのかどうかは、わからないが、

ちょっと上に上がっちゃった様子を見ていたら、、

「あれ?可愛いかも」って思ったので。

フルダルポリエステルと呼ばれるこの素材は、

織りと糸の特性により、伸縮性があるのも特徴の一つです。

サラサラして、ピタッとたくし上げてもなんかおしゃれ。。

サラピタなズボンなのです。

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