Bon voyage
FACTORYは、家族経営ということもあってか、
なんだか皆さん楽しそうに働いている。
真っ青な足利の空のもと、
ここでは今日も元気にミシンの音が鳴り響くのでしょう。
某トップブランドで鍛え上げられた、妹さんのデザインと
パターンメイキングは、それはそれは秀逸で、
シンプルだけには収まらない面白さがある。
それを少し茶化しながら商品説明するお兄さん。
初めてこの商品が出来上がったとき、、
「なんか、ロケットみたいだね。」って言いながら、
ニヤッと笑う、野村さんの顔が目に浮かぶ。
FACTORY
リネンコットンロケットスカート ¥17,000+tax
そうネーミングしたくなるような形状だ。
ヨコに広げてみれば、まるでサーキュラースカートのような
ふんわりとしたシルエットが浮かび上がる。
そして、このスカートの一番の特徴は、横姿にある。
見ての通り、後ろ身頃の分量が多い。
そして、前後差がある。
今では前後差のあるデザインも主流で定番化しつつあるが、
僕がFACTORYでこのスカートを始めてみたのは4年前。
それから素材を変えながら毎シーズン展開している。
今年は少しリネンの分量が多い、リネンコットン素材。
裏はないが、全く透けない一重のスカートで、
夏中涼しく履いていただける。
ウェスト周りは、あまりふくらみの出ない、
どちらかというと、正面からはすっきりとしたシルエット。
合わせるもので印象も変化する。
カジュアルにスニーカーなんかで合わせてもいい。
シックにブラスで合わせて革靴でもいい。
人が着て動くことで、その表情はより豊かなものになる。
風が吹けば膨らんだりもする。
見ているだけで涼し気なブルー。
シンプルだけど、そこに意思のあるものは、
当たり前には収まらない雰囲気をまとう。
大勢の人たちに共感を得ようとすると、
なかなか個性が出てこない。
しかしお客様を無視してもいけない。
当たり前だが。
デザイナーはいつも自身の気分と向き合って、
身に着けてくれるお客様を思い浮かべ、
大切な一杯の水をくべるように、素敵な魔法をかけるのか。
そのくらいに、出来上がってしまえばちょっとしたことが、
難しいものなのだと思う。
それがちゃんとできるのが、趣味で洋服を作る人と、
デザイナーの大きな違いなのかと思う。
「本当にこれでいいのか?」って何度も自問自答を
繰り返した末、その1着は生まれるのでしょう。
FACTORY のデザインを手掛ける妹さんは、
新しい環境を求め、一人フランスの地を踏んだ。
来年の春からの新しい風に、期待も膨らみます。
そんな妹さんに、お兄さんが一言。
口元に手を添えて、、手のひらに向けて息を吹きかけた。
フーー。
「このくらいの軽いフランスの風は吹くかもしれませんよ。」
良い旅になりますように!