annabelle

運命かもね

アクセサリーなんかでは、よく「作家物」と言われる商品が増えていますよね。個人がデザインから制作まで全てを行っているものはそう呼んでいることが多いです。個人制作になるので生産量は必然と絞られる。「展示」と呼ばれる舞台に向けて一生懸命制作をして、お披露目というスタイルの作家さんが多いのもそのためです。洋服のブランドの展示会のようにバイヤーを呼んでオーダーを取って、数量をたくさん貰っても作れないということになる。そういった生産背景が、デザイナーと作家の違いです。でも、そのどちらでもない人が実はいるのです。今日はその間に該当する「klause(クロイゼ)」というブランドのリネンシャツをご紹介します。

<通信販売はこちら>

klause ハードマンズリネンバンドカラーシャツ ¥26,400(税込)

ハードマンズリネンは、皆さんがよく知っている「アイリッシュリネン」の名付け親のような存在のファブリックメーカーです。アイリッシュリネンという名前自体がブランド化していますよね。それはおそらくハードマンズ社の歴史があってこそなんだとも言われています。北アイルランドで創業したハードマンズが数百年にわたり紡いできた技術と品質がアイルランドのリネン品質をリードしてきたし、アイリッシュリネンとまで言われる存在になったのだと思います。残念ながら20年ほど前に火災があったことで資金難も重なり、いったん歴史に幕を閉じることになりました。その後、その高い技術や生地のアーカイブスは世界中の企業を何社か渡り歩き、条件の整ったいくつかの工場で当時の品質を維持しながら復活することになったのです。

こちらはバンドカラーと呼ばれるように、少し立ち上がったハイネックが特徴的なデザインです。annabelleではジャケットのインナーなどでもなどでもお勧めしています。

何度も書いておりますが、僕が一番の特徴として挙げているのがボディーバランスです。作り手本人はそこまで意識してはいなかったようですが、大人っぽいカジュアルシャツを目指して作っていたらこうなったそうです。バスト周りはゆったりしていますし、着丈もレディースブラウスの標準からしたら長い部類に入ると思います。にも関わらず、着用した際に感じるちょっとかっこいい感じは何だろう?初めて見た時は不思議な感覚に囚われました。当然、様々な要因があってのパッと見の印象ですから、何か一つが要因であることは絶対にないのですが、ボディーに対しての袖山は、大きな特徴だと感じています。全体にリラックス感の強いサイジングなのに、袖山は高い。(袖が急角度でついている)

そして袖がまっすぐなのも効いています。パンツのシルエットなんかも同じですが、まっすぐなパターンは少しフレアに見えてきます。ちょっと裾絞りにすると着用でストレートに見えます。その辺りの加減もデザイナーやパターンナーの感覚になってくるわけですが、klauseさんのこのシャツは、そういったちょっとしたことの重なりが素敵なんだろうと、思っています。

袖口にはこんなボタンがあって、袖口を絞ることができます。

別な素材で何度もご紹介していますからご存知の方も多いのでしょうが、初めての方に向けてご紹介です。この軽く摘んだような袖口のデザインも絶妙です。筒袖にこれが付くことで、まっすぐ長めにかっこよく着たり、くるくると捲って肘あたりで半袖にして着たり、またはここでボタンをしてバルーン袖っぽく着てみたり。ここを閉じた状態でちょっと捲るのが好きという方もいらっしゃいます。とにかく袖ひとつで様々な着こなしが楽しめるのは面白いものですよね。

バンドカラーは背面に一つボタンで、こちらを外して被るデザイン

そしてなんと言ってもklauseと言えば縫製については触れたくなる。冒頭で作家とデザイナーの間的存在だと触れましたが、デザイナーの石原さんはもともとデニムの大手ブランドでパターンナーとして働いていた経験を持ち、現在に至ります。そしてこのブランドの最大の特徴は、彼が「型紙制作」「裁断」「縫製」「仕上げ」全てを一人で賄っているということ。これを作家というのではないか?と言いたくなりますが、彼の場合ギリギリ量産に近い生産量を一人でキープしています。ほとんど隙間がないくらい制作に向かっているそうです。1月〜2月にかけてオーダー会を開催してもらいましたが、生産現場のことを考えるといかに貴重な機会だったかがわかります。と言いつつ、、またお願いしたいなと思っていますが。

カラーはライトベージュ、ピンク、ブラックの3色です。ベージュとピンクはとっても薄いお色味ですので、後ほど登場する着用写真ではかなり白っぽく見えてしまっています。でも実際に自然光に晴れた日に出たら、結構薄い色だとあらためてわかりますよ。こうして撮っている物撮り写真は、正確さもありますが、実は生地が2枚重なっていますから。着用すると2枚重なることはないですよね?だから着用の方が色が薄く見えるのは自然なことでもあるのです。ですから、お店で手に取ってみた感じはこの物撮り写真が印象に近く、着用したらもっと薄くなるわけです。薄い色味で透け感があるような生地ほどこの理屈が際立ちます。

klause ハードマンズリネンヘンリーネック ¥24,200(税込)

こちらはボディー全体のデザインは共通で、ネック周りが異なります。名前の通りTシャツのヘンリーネックを布帛でこなしたようなデザインですね。今回ご紹介の3種では最も古株のデザインです。僕も初めてklauseを購入した際の1着にこちらのかたちがございます。ネックにある一つボタンがアクセサリーのようなワンポイントにもなり、人気の高いデザインです。

袖口などはまったくバンドカラーと同じ仕様ですので割愛させていただきます。

klause ハードマンズリネンボートネック ¥24,200(税込)

このボートネックは、昔からklauseを見ている人ほど、クルーネック型と勘違いをさせている方がいるようです。クルーネック型はklauseさんが昔から展開している定番の一つですが、それはもう少しネック幅が広いんです。このボートネックはご試着するとわかりますが、そこまでネックが大きくない。そして他の形と比べて違うところがもう一つあります。

この袖口のボタン位置です。袖口ギリギリではなく、少し上目に付いていますよね。

閉じるとこうなります。ジャケットの袖口では見かけたことがありますが、こういったシャツだと少し新鮮です。

あとは他の2種類と同じです。klauseさんの特徴として縫製を挙げていましたが、初めて見た時から縫製のピッチの細かさにすごく目がいきました。このピッチを運針とか言いますが、カジュアルシャツで値頃感のあるシャツですと16針前後くらいが多いのかなと思います。僕が昔勤めていたブランドもシャツにはかなりこだわっていました。デザインに応じて運針まで指定していましたが、だいたい19針くらいです。しかしklauseさんのシャツをパッと見た時、運針があまり見たことがないくらい細かくて驚きました。

理由を尋ねると、まだスパン糸が縫製糸でない時代のアンティークのシャツをお手本に、その雰囲気を醸した洋服を作りたいと思った時に、このピッチが重要だったと教えてくれました。つまり縫製をまだ綿糸で行っていた時代の人たちは、なんとか縫製糸が切れづらいようにと細かく縫っていたそうです。縫製職人の腕が良いほど細かく丈夫に縫えるというわけです。その縫製のピッチがアンティーク服の雰囲気を決定づける大きな要因の一つだと判断して、klauseの洋服もピッチを細かくして縫うことにしたそうです。すごく大変なんですよ。これ。たぶん工場に出したらこのお値段でこの品質は出せないんじゃないかな?しかも生地はハードマンズの細番手のリネンですから。

こちらがバンドカラーのベージュです。ちょっと着丈が長めなのもわかりますよね。このバランスが他にない感じでちょっと癖になるし、アナベルが好きなワイドテーパー型のパンツとはすごく相性がいいのです。

真夏には袖を捲って着ていただける。実際に僕はコットンのタイプを8月にも着用しています。袖が楽々肘上まで捲れるので、冷房対策にもなる長袖シャツなんです。

ブラックはHAVERSACKのスカートに合わせて

ロングスカートには大抵似合いますが、特にバルーン型とはすごく相性が良い。

当然タックインが似合います。

上からコートを羽織ってもかっこいい。

ピンクはこちら。完売したNO CONTROL AIRのブロックチェックのパンツに合わせて。このパンツは大きくテーパーしたタイプではないのですが、とても相性は良かったです。

この写真はわかりやすく袖のシルエットをとらえています。ちょっとですが、フレアがかって見えますよね。これが僕にはすごくかっこよく感じるのです。

これがヘンリーネックのベージュです。パンツはまだ店頭には並んでいませんが、FACTORYのパンツです。ガウチョパンツなのですが、実は少しだけ別注をさせていただきました。それは長さです。本来は10cm短いのですが、長くしてもらいました。155cmでフルレングス。もちろんFACTORYさんが作っているそのままの長さも入荷しています。今後店頭にも並びますのでぜひご覧になってみてください。

このパンツはややフレアワイド気味なシルエットですが、klauseのシャツとの合わせは良かったです。僕は好みです。

タックインもかっこいい。

ピンクはFIRMUMのテーパーパンツに合わせていますが、パンツのこの色は完売してしまいました。

後ろから見ると、お尻がちょうど隠れるかどうかという長さ。

ボートネックのベージュです。パンツはゴーシュのヘンプワイドパンツ。最も素直な標準的ワイドパンツです。

袖を捲って真夏も着る姿が想像できますよね。ちょっと袖捲りにはまだ早い季節ではありますが、klauseさんは6月あたりまでお仕事パンパンだと思いますので、いい季節に着たい方はこのタイミングでぜひ。

こちらがボートネックのピンクです。白いパンツと比較すると薄いピンクであることがわかりますが、実際にお店で置いてあるのを見るともっと濃く感じます。それは先ほど申し上げた原理です。

タックイン

こちらは袖口をボタンで留めています。

上から綺麗なミントカラーのリネンコートを羽織って。

ブラックのボートネックはHonneteのチェックのスカートに合わせて。

このギャザースカートにはタックインの方が似合っていたように感じます。同じスカートでもバランスが違って見えますね。

3種類、それぞれ三色展開です。

klauseさんとの出会いはすごい偶然でした。後輩がメンズショップを始めるにあたって、klauseさんに興味を持った。でもklauseさんは当時も今も展示会をやらないスタイルだから見せてもらうには場所が必要になる。それで、annabelleの定休日にお店を貸すことになった。当然そこにはメンズのシャツがずらっと並んでいたわけですが、ちょっと遠目に見ていても良いシャツなのがなんとなくわかる。気になって気になって、商談中に割り込んで見せてもらった。見た瞬間、「annabelleに絶対必要になるやつだ」という直感がした。他にない立ち位置のシャツだし、品質は先ほどから書いている通り申し分ない。

「レディースってないんですか?」って聞いたらその当時は「一応少しあるけどほとんど作っていない」という。「別注扱いで作ってもらえたりするんですか?」、、といつの間にか僕が商談していた。。(笑)

決してとっつきやすいシャツではないのかもしれませんが、見渡すとありそうでないし、着てみると癖になる。そして何よりannabelleで提案し続けてきたパンツスタイルに似合うんです。klauseさんが現れるまでずっとおぼろげに想像していたものが、ある日突然目の前に現れた感じでした。引き寄せたのかな?念が通じたかなんかで。。だからちょっと運命を感じたりもしているのです。

 

 

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