納期不定DDUD
「The delivery date is undecided=納期不定」という言葉をブランド名に冠したDDUDは、NO CONTROL AIRやFIRMUMと同じデザイナー米永さんのブランドです。米永さんのデザインは、とても男子的で逆張りの精神に満ち溢れています。
「皆さんそっちなのね」・・・・・・「じゃあ僕はこっち」みたいな。
NO CONTROL AIRといえば、カジュアルファッションで天然素材が全盛の時代に逆らって、天然素材が好きだったにも関わらず、みんながみんな天然素材ばかりやっているのがどうにも面白いと思えなくなって化繊を触り始め、数年経ってなんだか面白い、、と感じ始め、それがお客様に伝染したのかしないのか、天然素材時代まったく芽が出なかったブランドが注目を集めるようになる。もうブランドは発足から25年以上が経ち、化繊に切り替えて注目されるようになって20年だ。僕の知る限り、このなんともモード感のあるカジュアルファッションの先駆者的存在なのではないかと思っている。
そんな彼が最近また変わったブランドをスタートしている。それがDDUD。天然素材をやめて化繊を追求したのがNO CONTROL AIR。アパレルブランドでは僕は聞いたことがないのですが、「納期をなくした」のがこのDDUDというブランドです。25年以上洋服を独学で作り続けてきた男が、素直に感じ続けていた心中をストレートに表現したブランド名。僕は洋服の学校で、「プロとアマチュアの違いは納期があることだ」って教わっていたけれど、そんな事は当然理解した上でのこの挑戦にはもっと深い洋服づくりへの想いと探究心が弾けている。みんなが何かしらの事情でやっていないことをとことんやってやろうという気概を感じるし、冗談だろ?って思える縫製仕様にも目を見張るものがある。そして何よりかっこいい。今日はいつオーダーしたか忘れてしまったDDUDのアウターを2つご紹介したい。

DDUD ナイロントラックジャケット ¥63,800(税込) ブラック
昨年5月に開催したDDUDの展示受注会では、圧倒的な一番人気だったのがこのブルゾンです。圧倒的な一番人気になる商品は、直感的に選ぶ方が多いんです。パーーっと見渡して、「これです!」みたいな感じで選んでもらえる洋服です。男性も選んでいたし、女性にも可愛がられていたこちら。素材はおそらく皆さんご存知の有名バッグブランドが使用していたものと同じ、超高級なナイロン素材です。製品染色の扱いが非常に難易度が高いことから、ものすごく良い生地でありながら使用を断念するブランドも多いと聞いています。メーカーにとって「生産ロス」は怖いですから。今回でDDUDでも取り扱いがなくなるかどうか、、とにかく生産に苦労したみたいで、この生地を使用したコート、バッグが最後まで納品されてこなかった。ようやくですが、、しかしなんと、季節には超絶ちょうどいい。妻も連日着用しています。

表地がしっとりとしたマットな光沢感のあるナイロンで、裏地はメッシュです。「これって季節はいつなんですか?」とも聞かれるんですが、冒頭に記した通り「季節の適性はまったく考えずに作っている」のが大きな特徴の一つなんです。しかし洋服として、春や秋ですから、3月、4月、10月、11月が一番着用する季節だと思います。

ネックデザインはMA-1を思い起こすような襟。ジップは太めのダブルジップです。

袖はマチが一体化したような運動量の大きいデザイン。この特殊なカーブ袖もこのピボットのおかげで動きやすい。そして何より着たらわかる、可愛い袖。

一番スタッフ横やんと盛り上がったのはこの3本ライン。「あのブランドに怒られるんじゃないか?」とかではありません。(実際、まっすぐ3本ラインは使用できないみたいです)でも我々がひと盛り上がりしたのはそこではありません。このライン、実は一般的なラインに使用されるテープを叩いたものではないんです。よーくよーく見ていただくとわかります。4cm幅くらいの細長い袖パーツを2本作って、それを袖の本体に縫い合わせることでできる縫い代を畳んだ部分がラインのように見えているんです。普通にラインテープを叩いて縫ってもつまらないということでこうなったのかとは思うのですが、いやはや面白い。

後ろは、いつもの横ダーツ。ブランドを知らない同業者(パターンナーさんが多い)はたいていこの横ダーツに反応してくれます。「変わったダーツですね?」そこからブランドに興味を持ってくれるパターンもある。

今回は同じくDDUDのレイヤースカートに合わせてスタイリング。もうだいぶ先に入荷していたこのスカートは、実は受注会で2番人気でした。このスカートの背面にかけてのカッティングも面白いし、実際かなり目を見張るものがあります。

この3枚レイヤーは迫力ある。このスカートはかなり長い季節で活用できるのではないでしょうか。たぶん真夏以外は穿くでしょう。

このブルゾンは今まさにちょうどいい。

この日、奈々さんはお気に入りのHAVERSACKの19世紀セルビッチデニムに合わせて着用していました。他にもサスペンダーパンツやオールブラックで着ているのかな?忘れちゃうからまた写真で残しておこうと思います。

もう一つはこのポンチョです。これは僕が気に入ったポンチョコート。一重ですし、軽アウターの上からも着れちゃうアイテムなので、雰囲気作れて幅広く活用できるアウターが欲しい人にはもってこいな1着です。

DDUD ポンチョコート ¥79,200(税込) ブラック
生地は3本ラインブルゾンと同じくマットな光沢感が素敵な超高級ナイロン。非常に手触りの良い素材です。ぺたっと平置きすると分かりやすいのですが、極端に前身を絞っています。すっごいダボっとした服なんだろうな、、と思って着てみると、前から見た感じは意外にかっこいい感じなんです。分量は後ろで出している。

後身はたっぷりしているだけでなく、なかり大分量のボックスプリーツがある。

こんな具合

こちらも背面横ダーツ。フードもパーツが多く立体的で、所々の割コバステッチが綺麗でかっこいい。

ジップはこちらもダブルジップ

脇のボタンは下に着るものに応じて外していただくとまさに何にでもレイヤーできるポンチョです。

なんとなく身頃は前身がすっきり見えているものの、袖のあたりから普通ではないオーラが見え隠れする。この一枚で雰囲気を作れるコートです。こちらも今の時期に本当にちょうどいい。

これもいろんなスタイリングが目に浮かびますね。真っ黒はもちろんかっこいい。下はワンピースでもいい。でもチノパンにキャップも素敵です。人によって全然違うだろうけどそれがいい。

今回インナーはリメイクメッセージTee。若いアーティストが作った「どうにかなるさ」のメッセージTeeと熟練のベテランデザイナーが行き着いた「納期不定」のやりたい放題の洋服との合わせがなんともいえずグッとくる。
洋服屋をやっていると、同級生のサラリーマンの人たちからは、「いいよなー好きなことやって仕事にして」って言われるけど、そこはやってみたらわかるけどそんなにお気楽でもない。まー、そこもわかっての挨拶がわりの一言なのかもしれないが。
お仕事でやっていると、趣味とは関わり方の濃度がまったく違うので、やっぱりどうしようもなく個人的興味が薄れていく瞬間もあるもんだ。そんな時、割り切れない気持ちを抱えながらやるしかない。おかげさまで独立して自分でお店をやり始めてからはそこまで重傷な気分に悩まされた事はないけれど、洋服に対する気分はお客様同様に波はある。それはやっぱり見ている量も見てきた量もそれなりだから、新鮮さを感じにくくなるというものだ。DDUDからはなんとなくそれを求めるにはこれしかないという覚悟を感じるんです。
一方20歳の若いアーティストはきっとあらゆるものがキラキラ、ワクワクして見えているかもしれません。ただ経験がないから、自分が一歩先に踏み出した時に、踏み出す勇気が足らない人が周りにいっぱいいることに気がついている。だからこのメッセージになるのかもしれませんね。でも意外に大人にも刺さるメッセージだ。僕もこの春夏でいっぱい着るつもりだし、今日はSAFUJIさんが通販してくれた!超嬉しい。ありがとう。男性にも引き続きオススメです。