annabelle

あの時代に思いを馳せて

着過ぎて一時的に嫌いになってしまうものってありますよね。一種のトラウマのようなものだと思います。僕の母は80歳を迎えていますが、実は文化服装学院の出身で、家には当たり前のように足踏みの工業用ミシンがあり、そして当たり前のように僕の小学生時代の洋服の多くが母製でした。成長著しい小学生時代、冬に長ズボンで穿いて散々擦れ過ぎてツヤツヤになったコールテンのズボンを春になると半ズボンで穿いていた。5年生あたりでキャプテン翼が大流行して、日常的な遊びは草野球からサッカーになり、多くの同級生が急にジャージを着始めた。その後、一時的に嫌いになったコールテンと別珍を再び着るようになったのは高校生になったあたりです。リーバイス517が大流行して、アメリカのサーファーのファッションの影響もあって、コーデュロイの517をどうしても穿きたくなったのです。それからも着る時期と着ない時期を繰り返し、この春、展示会を巡る最中にこれに出会い、久しぶりに別珍のパンツを個人オーダーしてしまいました。

<通信販売はこちら>

SUSURI コサギパンツ ¥49,500(税込)

好きなシルエットのパンツが気になっていた起毛素材で、、しかも自分にとっては久しぶりの別珍素材。これは買うしかないと思ってオーダーしたパンツです。今年はこれに手編みのがっしりセーターを着たい気分です。久しぶりにレザーも欲しいな、、とかいろいろ想像しています。ツイードのジャケットも合わせたくて、先日密かに自分で作ろうと着手し始めました。このパンツ1本で、ここ数年の自分の秋冬スタイルが新鮮に変化を遂げるような良い期待感が込み上げています。

ウェストはこちらも久しぶりですが、、ゴムも紐もありません。緩い方はベルトを使って穿いてください。ベルトも久々かもしれませんね。

トップボタンはメンズワークなどで見られる鉄製のボタンを使用しています。鉄のボタンをミルキーなホワイトで厚塗り塗装したボタンです。このボタンも個人的に大好きです。鉄製のペイントなので、僕は剥がれて下地が見ええてくるのも楽しみにしているのですが、このまま綺麗に保ちたい方は、お洗濯の際にボタンだけ保護してあげても良いかもしれませんね。

持ち出しは天狗で打ち掛けがあります。いわゆるメンズ仕立てのトラウザースタイルのパンツです。

ゆるいカーブのついたサイドポケット。

綺麗に重なり合った3タックは、ゴロつかず、軽さもあって美しい仕上がりです。脇に向かって入れてあるタックのおかげもあって、太ももあたりでふんわりとした膨らみと愛嬌のあるシルエットを感じさせます。

裾は切り替えてレールステッチ

横から見た感じにもタックの存在感を感じることができるパンツです。

こちらがブラックで、2色展開となります。今まであったラクーンパンツなどと比べると、着丈がしっかり長く、ブーツなどにも合わせやすいバランスです。SUSURIさんのイメージですと、おそらく少し短めの設定なのだと思いますが、穿き比べつつ、アナベルでは珍しくサイズ1の方に絞っての展開といたしました。

155cmの妻も0ではなく、サイズ1で良いのではないか?ということです。もちろん160cm前後の身長の方は間違いなくサイズ1がおすすめです。

155cmでサイズ1を着用しています。ウェストは腰に引っ掛けて妻的には快適に穿いている状態です。ウェストで穿きたい人はベルトでもう少しウェスト位置を高めにして穿いてもかっこいいと思います。

SPのロングギャザーシャツに合わせてシンプルに。

ベストでレイヤー。

さらにコートを。かなりの猛暑日が続いてはいますが、皆さん気分は秋冬です。ゾロゾロと日々入荷するこの頃、いよいよ今週末に迫ったFACTORYの展示を見がてら、店頭の秋冬物にも目を向けていただきたいと思います。

ブラックはSUSURIのプリントシャツに合わせています。シャツなどを合わせた際にはタックインもおすすめですよ。上から羽織る際などは特に高低差が出てスタイリングがすっきりとバランスよく見えてきます。

足元の白ソックスとブラウンのシューズで軽やかさを出してみました。やっぱり光沢感のある逆毛の起毛素材はおしゃれですね。

先日ご紹介したデニムしかり、別珍やコーデュロイしかり。やっぱりどこか90年代を感じさせるイメージが頭から離れないようで、個人的にどうもそちらへそちらへと流されているようです。僕の母はほぼ常にテーブルの上に型紙やら生地やらを並べて洋裁に勤しんでおりました。なんの因果かお隣は家族経営の縫製工場で、その家の子は僕の弟と同級で、同じ少年野球チームにも入っていたので、大の仲良しでした。僕の少年時代の遊び場の一つが隣人の縫製場でした。触ると怒られるのでその横でスーパーカー消しゴムのレースで盛り上がっていましたが、BGMはミシンの音。コールテンやベルベット、コーデュロイなんかの起毛素材を見ていると、なんとなくあの時代の思い出が頭をよぎります。昭和50年代ですが、本当に豊かな時代だったと思います。小さな工場には何人もの若い女性の縫い子さんが勤務して、ご近所付き合いも親密で、男の子同士なら殴り合いの喧嘩をしても先生に褒められるくらいの時代でした。今シーズンは、あの時代に思いを馳せて、別珍のズボンを楽しみたいと思います。

 

 

 

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