二面性
少し変な言い方ですが、スタイリングを考えるときや新しく入荷してきた洋服を店頭に並べる時などには、程よく違和感を持たせたいな、、と思いながらやっています。もちろん慌ただしく追いつかない時も大いにあるのですが、理想としてはそのようにしています。それは、わかりやすく言うと「普通に良いね」といったようなところに収まらないように素敵にするにはどうしたらいいかを考えるということです。なかなか限られたお洋服の中でそのようなスタイリングを毎回作るのは無理なので、うまくそれが出来た時は密かに「よし」と思っています。またさらに、洋服そのものにも「違和感」を求めている自分がいます。80年代後半や90年代の雑誌には「外しテク」という言葉がたくさん登場し、「このデザインにこの生地はうまく外しているね」とか、「このスタイルにこの帽子を被るってうまく外したね」という、要するに「定石以外のうまい解答を出したね」みたいなことをおしゃれ好きが競い合うような文化が生まれていました。たぶんその時代の習性が抜けないのだと思います。
今日はここ数シーズン、いやひょっとしたら彼らの生涯のテーマになるのかもしれない、「物事に潜む二面性」を感じさせる鮮烈なプリントのブラウスをご紹介します。
SUSURI メロフォンブラウス ¥46,200(税込)
優しいイメージのプリントや織り柄の多いSUSURIさんからの登場ということもあり、より一層ドキッとさせられた鮮烈な印象の生地でした。しかも「ロンドドレス」や「メロフォンブラウス」という近年のSUSURIさんの代表作であり、僕らも大好きなデザインの洋服に載せられていたこともあり、より嬉しい気分になりました。
ゴムシャーリングで袖を捲っても素敵なデザインであるメロフォンブラウスは、数年前に「楽団員の笛吹き」をイメージしてデザインされたブラウスなのですが、僕の中では「ハーメルンの笛吹き」を連想してしまいます。
バンドカラーは別布のベルベットで、首元にも袖口と同じようなゴムシャーリングが施されています。
ボタンはその別布と同じベルベットのくるみボタンです。
身頃には一般的で適度な前後差がございます。
ネックのゴムシャーリングは1周していて、ギャザーの代わりも果たしています。
コントラストの高い柄物ですので、定石ではトップスの基布のベースカラーであるブラックをボトムスに持ってくるのが自然ですが、それ以外でスタイリングしてみたいと考えてやってみました。妻があまりにも普段はしなさそうなスタイリングなので、自分の中ではちょっとの違和感を通り越してしまったな、、という反省もありつつのスタイリングです。悪くはないのではないでしょうか。
パンツは新作のゴーシュのもの。とっても素直なストレートワイドパンツは、素材もあって上品な印象です。
こちらは、定石通りブラックで、しかも素材を少し拾ってベルベットのパンツにしてみました。靴をブラウンに、そしてソックスを白にすることで足元が良いアクセントになってくれていると思います。
こんなふうに袖を捲しあげるとこのブラウスの良さが際立ちます。
ふんわりしながらも甘さを抑えたかっこいいブラウスです。タックインをしても良いかもしれません。
古い絵をモチーフに、その刷毛目や絵の具の重なり合う凹凸感にも注意を払い、布地へのプリントに仕立てたオリジナルファブリックです。この鮮やかなペイントをブラックベースに載せたセンスややりようによっては艶やかな印象が拭えないこの色彩に、シーチングのやや甘織の布地を選び、カサカサとした質感を出すことでSUSURIの魂が入ったように感じます。クールな印象に宿る素朴で温かみのあるプリント生地です。ぜひ秋を感じさせながら、さまざまなスタイリングをお楽しみください。