たかがパーカ、されどパーカ。
長年メンズ業界に携わっていたため、アナベルを始めてから「あれ?」って思うことは少なくありません。その一つに裏毛のパーカーがあります。メンズではふかふかしながらも打ち込みのある高密度な吊り編みのパーカーや、同じくガチガチの低速シンカー編みのパーカーなどがもてはやされ、軽くて柔らかいものは「なんかちょっと、、ね」的な態度のお客様もいるくらい、吊編みもシンカーも高密度が正義でした。その感覚が染み付いていた僕は、12年前のオープンした春、高密度の吊り編みのパーカーを並べていました。もちろん購入してくださる方もいらっしゃるのですが、かなりたくさんのお客様から、「重い」「硬い」と言われたことを思い出します。自分では気に入っていたので、数シーズンほど続けていましたが、やっぱりどうも女性は柔らかくて軽くてふかふかしている洋服の方が好きなんだと勉強しました。だから素材のところから工場に至るまでメンズとレディースは違うわけです。そしてオープンから3年くらい経った頃、出会ったのがこのパーカーでした。
Fabrique en planete terre コットンパイルパーカ ¥17,600(税込)
何度か形が変わったりはしていますが、ブランドオリジナルのとてもソフトな軽いコットンパイルはずっと変わらず、多くの方にご愛用いただいているパーカです。
フードは共地で二重になっています。
身幅は大き過ぎず、小さ過ぎず、シンプルなリバースウィーブです。何年か前、ワイド幅になった時期がありましたが、ここ数年はまたベーシックに戻っています。
裾や袖口、脇腹のあたりはリブ使いをしていて、お腹の辺りが共地で作ったポケットがあります。
ファスナーはスタイリングに優しいダブルジップです。
今シーズンの新色、ライトグレーです。こちらのパーカはシーズンレスに同じものを春夏秋冬で作っていますので、全シーズンに入荷している分は、通信販売画面上は別々に表示されています。しかし商品はまったく同じであることをご了承ください。今回は、エクリュの38だけ新入荷分とかぶっています。
こちらはエクリュと同じく定番のブラック。今回はサイズ40がすでに完売となっております。シーズンレスで着用できるお洋服で、人によっては最初に買った何年も経っているものは家着にしている人もいるようです。
エクリュはゴーシュの完売した同色のカットソーに重ねて。イエローのキャンバスリネンが目の覚める発色でむりやり春な気分にさせてくれそうです。
靴は3月末に受注会を控えたDELMONACOの「tateパンプス」のグレージュ。
起毛していないコットンパイルが裏側ですので、冬に着るには寒いのですが、今のように寒暖差のある端境期から気温の高めの日を見ながらどんどん活用してもらいたいパーカです。インナーをTシャツ、ノースリーブと変化させることで初夏や梅雨時期にも活躍しますよ。
新色のライトグレーは、トップのグレーとはまた違った良さがありますよ。優しい印象で、幅広い配色のスタイリングが楽しめそうなベーシックな明るめカラーです。
今回はブラックのロングスカートに合わせてみました。先ほどの定番であるエクリュと同じく、今の気分である「かっこいい」に取り入れると心地いい色合いのグレーです。
定番のブラックはklauseのサスペンダーパンツに合わせて。カジュアルと綺麗めの中間くらいの感覚に取り入れるのイメージです。インナーにはカットソーではなくて、あえてブラウスを合わせてみました。
カジュアルながら、色数を抑えてスタイリング全体の印象はかっこいいようなイメージで考えました。
こういったスタイリングの際に、ダブルジップは嬉しいものです。下までピシッとジップが下がっていたらバランス悪くなりますよね。そもそもは体型や合わせるボトムスのボリュームに合わせて開けるようになっているのがダブルジップの役割ですが、僕はどちらかというとスタイリング全体のバランスをとることに使っていることが多いです。
アナベルを始めたばかりの頃、今では考えられませんが、パーカは吊り裏毛やシンカー編みの高密度でなければダメだくらいに思っていた節があります。今思うと笑えるくらいの思い込みですが、それは違うよって教えてくれたのは、まぎれもなくお客様のわかりやすい反応でした。柔らかくて軽いパーカーは、この上から何かを着ることも容易いし、しっかりした裏毛は着ないような初夏や梅雨時期にも活躍します。そして何より素肌に着た時の心地良さを女性は重視しているように感じました。これはそんなパーカです。