annabelle

集大成

1990年代後半、もうすぐ2000年を迎えようと世間では2000年問題が心配されていたり、Windowsがなんだかよくわからないながら、なんとなくそれを見て近未来的な予感に浮かれていた20代前半。おそらく当時の洋服好きはみんな影響を受けたに違いないと勝手に思うほど憧れたブランドがありました。「シワシワ」を世に広めたそのブランドの名前はポールハーデン。どのセレクトショップに行っても競うように並べていて、当時は渋谷西武のウィンドウにも見かけたほど。ナチュラルカラーのツイード素材に生成りのコットンの裏地が付いて、洗いざらしのシワシワのツイードのセットアップがぶら下がっていた。特に人気だったのはそのツイードによく似合うシワシワの茶色い靴だ。憧れたけど、当時5〜6万でも高いと思っていたツイードのジャケットが、記憶が定かではないけれど、軽く2倍ほどはしたような。

今回のFIRMUMで見たツイードシリーズは、シワシワではないけれど水洗いでフカフカっとしたナチュラルな表情が良く出ていて、久しぶりに高揚感が得られる、、「うわ、、全部欲しい」と思ってしまうシリーズでした。(結局ワイドパンツとジャケットのセットアップを購入)当ブランドの得意とするオーバーサイズのデザインも相まって、より気分の上がるシリーズです。実はコートもあるのですが、まずはコート以外の3種類を一気にご紹介いたします。

<通信販売はこちら>

FIRMNUM ウールヘリンボーンロングジャケット ¥64,900(税込)

オーバーサイズでやや深めのダブルブレストのような打ち合わせが、羽織ってもサマになってジャケットというよりもコートのような佇まい。ある程度ふっくらとしたセーターに羽織っても素敵なスタイリングにまとまってくれます。

ここだけ切り取るとセミピークのキリッとした英国ツイードのジャケットを連想させるが、実はドロップショルダーでクッタリしたややナチュラルな雰囲気も感じさせるほど。肘からクイっとカーブした短めの袖が本格的ながらも愛嬌があって好きになる。

セミピークドラペルは立ててボタンを閉めることでネック周りを覆い隠し、防寒にもなる。クラシックな英国ツイードの本格的なジャケットはみんなこの仕様だったことを思い出し、寒風が入り込む駅のホームを上がったあたりで、襟を立てて準備をするのもかっこいい仕草だと思えるのです。めったに見かけないが、女性でこれをやっている人を見るとドキッとする。かっこいい。

打ち掛けボタンがあり深い打ち合わせはダブルのようなデザインです。

脇にあるタブでボタンの位置を変えることで絞れます。

両サイドにあるフラップポケット

袖裏は身頃と異なりポリエステルで滑りを重視しています。

身頃はナチュラルな雰囲気の洗いざらしのコットン素材。

杉綾織のふっくらとしっかりとした風合いの英国羊毛を用いたウール素材です。

こちらが色違いのオリーブミックスです。しっかりと緑味のある伝統的なやや男性的な杉綾ウールです。女性が纏うことでより意外性を感じさせ、印象に残るスタイリングが出来上がるような気もします。

こちらは同素材のテーパーパンツと合わせたセットアップのスタイリングです。

FIRMUM テーパーパンツ ¥39,600(税込)

こちらも同素材で二色展開でしたが、オリーブミックスが完売となりダークグレー1色展開でのご紹介となります。ややゆるりとしたテーパーシルエットのパンツは9分丈で、革靴だけでなくスニーカーでも合わせて欲しいシンプルで程よい個性のあるウールの温かいパンツです。

ジャケットは前を開けてふわっと羽織ることでさりげなく素敵なセットアップスタイルが見えてきます。

こちらはもう一つのパンツ、ワイドギャザーパンツです。先ほどの9分丈に対しこちらは8分丈ほどの短いパンツです。身長155cmの妻がXSを穿いてこのくらいです。

このバランスは個人的に大好き。昔からわざと丈上げを極端にして穿いていたほどです。

またこんなふうに昔ながらの伝統的な英国ツイードのジャケットを思わせる防寒仕様の着方もおすすめです。

脇のタブを絞ることができるデザインです。

こちらはその両方をやってみた着方です。ちょっとマニッシュですが、似合う女性も少なからず。

こちらはオリーブミックスのセットアップ。ぜひユルッと、クタッと着ていただきたいお洋服です。

ジャケットを脱ぐとこのように。この上に別なコートを着てもかっこいい。

ブラックを上手に使った大人っぽくマニッシュで素敵なツイードスタイルの一つだと思える色合わせです。

キャメル色のセーターを合わせるとまた雰囲気が一変します。こちらはキルティングやメルトン素材のコートを合わせたら、普遍的でトラディショナルな雰囲気が出せそうです。色はネイビーやブラックを合わせたら重厚感があり、ホワイトや生成りを合わせたら女性らしい軽やかな雰囲気が出ると思いますよ。

またこんな風にギャザースカートにロングジャケットを合わせても素敵です。ブラックとダークブラウンを馴染ませて、バッグを明るい色にすることで少し垢抜けた軽やかな雰囲気に仕上げています。

オリーブミックスは明るいベージュのウールタイトスカートに合わせてスタイリング。こちらのジャケットはアウターとして、パンツだけでなく様々なデザインのスカートや、きっとワンピースに合わせて素敵だと思います。こちらのお色味はSサイズのご用意もありますので、身長が170cm近くある方にはSサイズもお勧めしています。

アメカジ、渋カジ、キレカジがひと段落して現れたのが、ヨーロッパのイタリアンクラシコに注目をしたちょっと綺麗めな大人っぽいスタイルの提案でした。それにどっぷり浸かることなく、大好きなアメカジや古着と新たに出てきた綺麗めなファッションを混ぜこぜにして楽しんでいた90年代後半に見たポールハーデンには、新しい時代の始まりを感じるほどでした。ひょっとしたらあの時点から今のこのFIRMUMが提案している緩やかでトッポいスタイルは一本の道で繋がっていたのかも、、と感じてしまうほど。あそこから25年以上をかけて、今集大成を行なっているのかもしれません。次の時代を作るのは、きっと自分たちの子供と同世代の新しいデザイナーなのかな?そちらにも少し注目をしたいと思うこの頃です。

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