ラクダさんの毛
FACTORYさんはあらゆる毛を自ら扱っている数少ないメーカーと言える。カシミア、ヤク、羊毛、キャメルなど。カシミアの高騰は以前からよく耳にしていたが、ここにきてヤクの原材料の高騰がとんでもないことになっているらしい。耐えてきたFACTORYさんもさすがに来年は価格がどうなることか。。そこであらためてFACTORYさんのラインナップを見てみた時に、「キャメル」というのが際立ってくる。カシミアやヤクは他ブランドでも見かけるが、ニットのキャメルを手がけているブランドはFACTORYでしか見たことがない。キャメルはつまりラクダさんだ。今日はラクダのセーターの新作をご紹介したいと思います。
FACTORY フーディーセーター ¥33,000(税込)生成
フードパーカーのアウターをイメージしてプルオーバーのセーターに仕立てたデザインです。フロントのダッフルコートのようなボタンは開かないが視覚的な良いアクセントになってくれています。僕はもう展示会場でこれに釘付けで、入って右側にかかっていたこれにずっと注目してしまいました。FACTORYさんの扱う素材感とのマッチングが最高のセーターなのではないでしょうか?色はこちらが生成りで、無染色ということになります。手触りが最もソフトなお色です。
このように外れまします。
裾はアノラックパーカーのような感覚でシュッと簡単に絞ることができますので、ボトムスに合わせてお好みで調整をしてください。
そして注目は素材のキャメルです。キャメルは僕がFACTORYを知った10年ほど前にすでに素材としてありました。むしろヤクやカシミアをおしのけてその中心にあったように記憶しています。カシミアやヤクがぬくぬくとして、着用してすぐにあったかいのがわかりやすいのに対して、キャメルはほんのりと体温調整をしてくれるようなイメージの毛なのです。毛の長さはカシミア以上で、尚且つキューティクルがなく絡まないため、お洗濯をしてもまったく縮まないし、毛玉にもなりにくい性質があります。何より、体温調整をするかのような程よい温かさが、日本の冬を過ごすには意外にちょうどいいということもあるのです。
袖口はゴムシャーリングです。今回は裏編みをしておりますので、袖付けのリンキング部分などはまさに裏側が表に見えているようなデザインです。そして特殊な編み方を行うことで、軽さやある程度の薄さを保ちながら、手触りの良いぬくぬく感を表現することに成功したキャメルだと言えると思います。FACTORYのキャメルは、ゴビ砂漠の生後3ヶ月以内の若いフタコブラクダの毛を採用しています。ゴビ砂漠は冬は➖40℃近くまで気温が下がり、夏場は40℃近くまで気温が高くなることから、人間のように衣服で調整することなく気温差80℃ほどの地域で暮らしていることになる。先に記した「体温調整するような感覚の毛」という特徴は、ラクダが生息するこういった気候状況が大きく影響しているようです。
生成りはFIRMUMの裾ダブルツイードパンツに合わせて。
クタッとなりすぎないオフタートルが感じのいいデザインです。
他では味わえない感覚のニットですよ。冬のフリースパンツやツイード素材、メルトン素材などとの相性が良いセーターです。
レッドは、生成りを染色したものになります。見た目はアウターみたいでコートが着にくそう、、と思いきや、まったく何の問題もなく大抵のアウターを着ていただくことができるでしょう。
レッドはFIRMUMのツイードのロングジャケットを上から着てみました。ネック周りの小さなノーカラーのコートなどですと、相性は悪いかもしれませんが、タートル部分もいい感じに潰れて収まってくれますから大丈夫。
ブラックも生成りを染色したブラックで、焦茶のようなチャコールのようなお色味です。今回はオールブラックでコーディネートいたしました。スカートもFACTORYのタイトスカートです。こちらもウールで温かい。
そしてコートもFACTORY。オールブラックでオールFACTORY。キャメルの魅力が再確認できるようなデザインのセーターでした。FACTORYファンもそうでない人も。