あのバランスのベスト
とっつき難いほど受け入れてみると愛くるしいということ、ありますよね。展示会で商品を見ていても、そういうことがあるんです。「去年もちょっと気になってたな、、」と思っていったんパスする商品がそれです。今回は、昨年気になっていたものの、セレクトしなかったベストのご紹介をいたします。
YUI コーデュロイベスト ¥29,700(税込) ベージュ
パッと見て他で見たことのないバランスのお洋服にはやっぱり興味を持ちます。でも昨年はまだ、ベストのご紹介にリミッターを付けていたので、このベストはセレクトの枠内に入りませんでした。しかし今季はリミッターを解除したため、気になるベストはほとんどセレクトしています。アナベル史上(たった12年)最もベストが多い秋冬を迎えています。コーデュロイは、annabelleで別注した商品になるのですが、嬉しいことに店頭で手に取るお客様が多く、そして試着した際のリアクションも好評です。
フレンチコーデュロイを使用したベストで、太ウネでソフトで、畝の彫りが浅いのがとても気に入った素材でした。そして素材の当て込み以外にもう一つお願いしたのが、ボタンの変更です。本来YUIさんでは黒蝶貝のボタンを使用していましたが、annabelleでは僕が指定してこちらのボタンを使用させていただきました。
ちからボタンも雰囲気の合うものを使っていただいています。
このベストの一番の特徴はこの裾のカッティングとネックの抜けるように立ち上がったノーカラーのデザインだと思います。そのバランスが絶妙です。
総裏仕立てで裏地には柔らかいコットン素材を使用しています。
この前後差はどこかで見たことがある、特徴的なカッティングですが、カッタウェイコートという紳士用の礼服に見られるデザインをモチーフにして作ったそうです。着ていただくとわかりますが、目線が上にいって脚長効果が見て取れることと、あらゆるボトムスに合わせやすいバランスだと思います。こちらのカラーはカーキです。
YUIコニファードビーウールベスト ¥30,800(税込) キャメルベージュ
抽象的な針葉樹モチーフのYUIオリジナルドビー素材です。ふっくらとした仕上がりで、軽さも特徴のウール素材です。今シーズン力を入れたタートルとも相性がよく、アナベルでご紹介するコートとの重ね着もできることが嬉しいベストではないでしょうか。
デザインや仕様はコーデュロイと同じで、こちらがブラックグレー。ボタンはコーデュロイのカーキと共通です。コーデュロイ、ウールそれぞれにコーディネートしていますが、それぞれのスタイリングを入れ替えて想像していただいても良いと思いますので、色々と組み換えてご覧ください。
コーデュロイのベージュは、FACTORYのサルエルパンツにコーディネートしています。インナーは同じくFACTIRYの昨年も人気だったリブタートルセーターです。ジャケットやベスト、羽織アイテムのインナーとしても使いやすいセーターです。
ネックはどこか着物のような雰囲気もあるデザインです。フロントの裾は短く、様々なボトムスにバランスのとりやすいデザインだと感じます。ワイドバルーンシルエットのパンツなどは、だいたいこれと同じような見え方になるのではないでしょうか。
背面はやや長めです。
上からリメイクのキルティングブルゾンを羽織って。
カーキはドルマンシャツに合わせてみました。シャツのインナーを長袖にしてベストを重ねたら、日中の外出にはちょうど良いかもしれませんね。
ドルマン袖でもまったく問題なく着ていただけるアームホール。ボトムスはSPのワイドチノのホワイトを合わせてみました。
前を開けて羽織る感覚で。コーデュロイやウール素材のベストは、秋の羽織としても使えるアイテムです。
コートを上から重ねれば、そのまま冬のスタイリング。ベストのインナーをウールのセーターに変えていただければ、真冬にも通用するコーディネートかと思います。コートはこれからご紹介するNO CONTROL AIRのもの。
ウールのキャメルベージュはFACTORYのドッキングワンピースにコーディネート。インナーにはタートルを合わせて、ボトムスにはSUSURIのフルッターパンツを重ねています。もう少し寒くなったら、ウールのタイツを穿いたら良いのかと思いますよ。
ワンピースに羽織る感覚で。
上からkhadi&co のウールのハーフコートを。コートの裏地がピンクであることも効いています。ストールやバッグなどの小物をアクセントに足し算していきたい雰囲気のスタイリングですね。もちろんこのベストがコーデュロイでも素敵です。
最後はウールのブラックグレー。こちらはHonneteのタイトスカートに合わせてコーディネート。スカートのこのサイズは完売しましたが、大きい方のサイズはまだございます。身長160cm以上の方にお勧めです。インナーのタートルは立ち上がりに何度も追加して人気だったNO CONTROL AIRのタートルで、着用しているのは妻の私物です。今シーズンの再入荷はございません。
このインナータートルをセーターに変えても素敵だと思いますし、ベストをコーデュロイのカーキに変えても良いと思います。組み換えて想像をお楽しみください。
こちらはアウターではなくHonneteの大判ショールをアウターのような感じで巻きつけてみました。妻曰く鉄郎巻き。アウターを着る手前で、ジャケットやベストの上に重ねるパターンとして、これもありだと思います。上手に使うと本当に使える正方形タイプの大判ショールです。
この前後差のあるデザインは、カッタウェイコート(礼服)でも取り入れられているだけに、視覚的にとてもスタイルが良く見える効果があることは確かです。数年前から流行して定着した、前だけタックインをするテクニックや、もう10年も前に販売していたFACTORYの裾カーブセーターはまさにその原理で大人気でした。おそらくTRAVAIL MANUELのボレロカーディガンも同様です。ですからこのバランスを見た時、「あ、、あのバランスだ。」と反応はしました。でも初めて見た時にはセレクトしませんでした。なぜか?その時の素材が個人的には好みでなかったことと、実はメーカーが使用していたボタンが好みではありませんでした。今回その両方が解決したことで、2素材一気にご紹介することとなりました。ベスト好きの方もそうでない方も、色々なスタイリングを想像しつつ、ご検討いただけますと幸いです。