世代を超える名曲のように
「トラディショナル」をこんなにも心地よく、堅苦しくなく、さりげなく、おしゃれにこなしているデザイナーは数少ない。ファッション業界でいうトラディショナルを考えた時、主に近代の軍用や労働服、職業ユニフォーム、または英国のSAVILE ROW(サビル・ロウ)を筆頭とした伝統的なオーダー紳士服、もしくは各所の民族服などが頭に浮かぶ。いずれにしてもやや男性的な雰囲気を纏いそうな要素が多いトラディショナルにおいて、khadi&co(カディ・アンド・コー)のデザイナー、Bess Nielsen(ベス・ニールセン)はその多くを柔らかい感性で吸収し、1970年代から長く現役を続けているのだと思います。
Khaki&co WOOLベスト ¥44,000 white
やや甘めにソフトに織り上げられたウールのガーゼを身頃にして、ふわっとしたコットンを裏地にした総裏のベストです。以前からベスのデザインするベストやジャケットが大好きですが、今回のものは新作で、より「柔らかさ」や「女性らしさ」が際立ったベストだと感じました。実は国内の展示会で、このベストはブラックだけのご紹介でしたが、オーダーはできるとのことでホワイトもオーダーをさせてもらいました。
近くで見ると、その柔らかさや軽さ、甘く織られたウール地の様子がわかるのではないでしょうか。フカフカです。
アームホールは大きめで、様々なデザインに重ねることができる。
裾の後ろ側だけに平紐が通っており、いくつかのアレンジができる。
裾の額縁&パイピング、そしてベストに必要かどうかわからない内ポケットなどから感じさせるトラディショナルな洋服たちへの敬意。
black
トラディショナルな洋服とは少し疎遠な妻も気に入っておりました。
サカナヤパンツにモノトーンでスタイリング。インナーのタートルカットソーはNO CONTROL AIRのもの。
後の裾だけを結いてみたらこうなりました。結構いろいろなボトムスに合わせられる感触です。
今度は前で結いてブラウジング。これは使えるベストだと確信した。
インナーを変えながら秋冬中スタイリングを楽しんでほしいベストです。
この上からもちろんコートが着ていただけるけど、ベストをアウターにして、冬のマフラーやショールを使いながら、できるだけ長く一番上に着続けてみてください。
ブラックもインナーはNO CONTROL AIRのタートルネック。
SUSURIのロンドドレスの上に着ています。羽織る感じも素敵でしょうね。
Khaki & coはトラッド好きの僕から見ると本当に惚れ惚れするブランドです。僕はトラッドや古着が大好きですが、古典的な洋服にはさほど興味はありません。しかしその作りや布地には最高に惹かれることも確かです。ベス・ニールセンの作り出す洋服は、伝統的な仕立てや布地使いを大切にしながら、それらが生き生きとするしっかりとした現代服であることが素敵なところ。
そして毎回気にしながら、久しぶりにオーダーができたのがkhadi&coの素敵なバッグ。
Khaki&co ベルベットバッグ ¥22,000(税込)
ビスコース素材のベルベットは、軽くてフカっとしたタッチで、キラキラと深い光沢を放っている。
色はこちらがDark purple。
こちらが一見ブラックに見えるDark indigo。
大きめのハンドバッグ的な大きさのとってもおしゃれなショルダーバッグは持つだけで気分が上がること間違いなし。外側にポケットが付いています。
裏地付きでキルティング仕立て。タッチはフカフカ。
マチがある。
このショルダーが本当に可愛らしい。
斜めがけにショルダーとして持つとこんなに長い。が、これがまた可愛らしさを助長する。
紐を簡単に結いて好きな長さでお使いいただけるのも嬉しいところ。
どんな洋服でどう持とうか。想像しただけで季節が進んでいくような錯覚に陥ってしまう。
カジュアルなパンツスタイルにももちろん素敵。
ワンピーススタイルにショルダーもいい。
こんなに短く結いてまさにハンドバッグのような感覚で使うのもいい。
軽装な季節はこんな風に結いて色々な持ち方を日替わりでもお楽しみいただき、厚手のウールコートやフカフカのダウンコートなどを着るような季節になった時、この長いショルダーは間違いなく素敵でしょう。そして実用的にもこの長さがショルダーとして嬉しいはず。
最後に大切なお知らせです。なんか持ち方が不自然ですよね?実は妻が両手を入れているところに左右貫通したパーカーみたいなポケットが付いています。冬のハンドウォーマーだそうですが、ここにストールを引っ掛けてみたりしてもおしゃれですよね。どこに何ぶら下げてるの?ってつい見てしまう。
素朴な素材でトラッドを柔らかくこなす一方で、いつも可愛らしい女性ならではの小物を作ってくれるブランドです。高価だし、わかりやすいギミックや派手さのあるブランドでもないけれど僕らの時代から子供たちの世代までが口ずさむ名曲のようなブランドなのだと思っています。世代を超えて、着続けていただければと。