スタイリングについて思うこと
久しぶりのpickupへの投稿になりました。ここはそもそもスタイリングについて思うことがあったらラフに書こうか、なんて思っていたコーナーです。でもなんとなく写真付きのお知らせコーナーになってきたところ、久しぶりにスタイリングの話。
僕はスタイリングを専門的に教わったことは全くないのですが、自分の中でスタイリングの中心に据えているのはボトムスと引いて見た時のシルエットのバランスです。レディースのお店を始めて12年が経ちましたが、この12年はひたすらに長い時間をかけてボトムスがワイドになり続けてきました。ボトムがワイドになったらトップスはコンパクト、、なんていう定石も一昔前で、少しづつウェストラインの許容範囲も広がって、ワイドにチュニックやそれ以上長い丈を合わせることも珍しくなくなった。4〜5年前からボトムスの幅も広がりすぎた結果、選択肢が広がり、「これがおすすめ!」という単体でのおすすめをすることが少なくなり、「どう合わせるか?」の重要性が増してきたように感じていた。つまり混沌としてきた。販売という意味では少し辛い時代かもしれないが、バイヤーは何かを期待しながら展示会を回る答えのない宝探しがまた始まったようで、震えながらもワクワクもする。デザイナーやブランドは、悶々とした顧客、バイヤーをワクワクさせたもの勝ちだろう。
今、来年の秋冬の展示会が始まっています。現時点で自分の中で設けているキーワードは、「綺麗め・スタイリッシュ」「新鮮さ・ときめき」などで、具体的なイメージは出来るだけ持たないように、決め込まないように見ています。こういう時いちばん邪魔なのは、つい数年前の実績データでしょう。「10年一昔」という諺がありますが、情報量が凄まじい現代の一昔は10年ではなくてせいぜい5年。極端かもしれませんが、昨年のことも忘れて、自分が今見てどう感じるか?を測った方が良い時なのだと思っています。手探りで、宝探しをしているような感じです。
今日は通信販売ページに、今のアナベルでは珍しい、細身パンツをアップしていますので少しご紹介させてもいます。ブランドはゴーシュのもの。(通信販売はこちら)
洋服はタイトなほど作るのは難しい。体に近いほど難しい。(ニットは伸びるから別ですが)このパンツはウェストやヒップ周りにはゆとりがありますが、膝下はかなり細身です。にもかかわらず、穿き心地は抜群だとのこと。そして嬉しいことに温かい。素材はオーガニックコットンのふわふわな起毛素材。
冒頭で書いたようなことは、実は2年前の秋頃から感じていたことで、その間に色々な同業者の人たちやそれに近しい人たちにお話をして、皆さんどう思っているのか聞いたりしていました。さまざまな意見はありますが、共通して多くの人が感じていることの一つが「綺麗め」というキーワード。しかし、「どこに着て行くの?」ってなったら本末転倒ですので、綺麗めをいかにラフに普段着で着こなすか?というのは重要テーマです。
ヒールはほとんど履かない妻も、最近たまーーにですが、お店でも履くようになりました。これも正直な気分でしょう。
とはいえ、中心はやっぱりフラットなパンプスやブーツ、スニーカーです。
綺麗めに、普段着ぽくとなると、小物も重要ですよね。ソックスは何色にするか?ネックレスもいくつか欲しくなるし、カバンと靴はとっても大事。
そしていつもだったら、「羽織」「カーディガン」が多かったスタイリングに、ジャケットもカジュアルに投入する。こちらはいつも式典で提案しているNO CONTROL AIRのフォーマル素材のジャケットです。
ストールもボリュームのあるタイプだけでなく、少し男性的な小ぶりで上質なものも持っていると良い気がしています。今回は細身のパンツでしたが、このままボトムスだけワイドに変えても素敵です。デニム素材にジャケットを合わせてみるのも良いかもしれません。娘はそれに加えてネクタイも巻いておりました。その辺りの感覚はどことなく90年代を彷彿とさせます。90年代はファッションがもの凄く盛んでしたが、正直何でもありな時代でした。それぞれのお店の個性がぶつかり合って、10年経って何となくミックスされた。2000年あたりからマンションアパレルとか、個性派ブランド(インディーズ)がたくさん出て、そのミックスカルチャーのようなスタイルをそれぞれに模索し始めた。今、アナベルでお取り扱いをしているブランドの一部は、そんな時代に登場したブランドやデザイナーなのです。今回ご紹介したゴーシュもそう。NO CONTROL AIRもそう。ASEEDONCLOUDの玉井さんもそう。ARTEPOVERAの鹿野さんもそう。HAVERSACKもそう。GASAもそう。傳tutaeeもそう。皆さん20年〜30年のキャリアを持っているデザイナーばかりです。そんな人たちが、今何を出してくるのか?ちょっと来年の秋冬はワクワクしながらも辛口で見ていきたなって、そう思っています。(通信販売はこちら)