annabelle

不確かで不均等な日々の気分のようなブラウス

とらえどころのない抽象的な表現や、少し愛嬌のある

かわいらしい擬音語が会話に入り乱れる一面を持ちながら、

好きな部分のはっきりとした、一途で頑固な一面もある。

宗教的な衣服にあるデザインや中世ヨーロッパにみられるような、

ふんわりとしたギャザーたっぷりのブラウスやズボンを

男性貴族が着こなす姿から想像する現代衣服のイメージを

彼のセンスで何ともかわいらしく、かっこよくデザインする。

このブラウスは、そういう彼のセンスの詰まった逸品だろう。

susuri
blind pullover Ecru
¥24,000+tax

キュッと丸いネック周り。

切り替えで広がる裾周り。

ふんわりとした袖。

どことなく感じられる中世の香り。

今シーズンの前半では、柔らかい素材でも見せてくれた

susuriさんの特徴が詰まったブラウスではないかと思います。

今回ご紹介するのは、こちらのecru1色展開で、素材は

高密度な綿カス残しの張り感の残るシャツ生地です。

着用した際に、よりふんわりとした形成がはっきりと出る

素材とのマッチングがとても気に入りました。

日ごろからネックの傾斜角度を気に掛けるsusuri 斎藤さん。

バンドカラーやマオカラー、ハイネックなどは、見ての通り羽衿がない。

その分、スッと立ち上がったわずかなネックが、どのような角度で

立ち上がると美しいのかを気にかけているという話を以前に聞いたことがある。

キナリの生地に配色された少し金色がかったきれいな糸が美しい。

袖口、裾、脇線、カフスなど、ステッチ配色の

かわいらしいデザインが印象的なブラウスです。

ボタンは「ラクト」という素材で、原料にミルクが

含まれる、非常にプリミティブな面持ちのもの。

こちらも洋服のイメージに合わせて齊藤さんが別注をして

作ったボタンだそうです。

もっとも特徴の表れるのが後ろ姿、、というのも

susuriらしいのではないでしょうか。

齊藤さんがずいぶん以前から言っていたことの一つに、

前から見たデザインがかわいいのはもちろんのこと、

それ以上に、背面や横姿といった、自身ではあまり

目に入らない部分のデザインにこそこだわりたいと。

ほとんど前と上しか見ていないこの人にも着ていただきます。

ふんわりパンツにふんわりとした袖がよく似合います。

コットン100%のやや張感のあるこの生地は、

秋冬だけでなく、春にも大活躍することでしょう。

そしてこのブラウスが最も映えるのがこの角度。

背面のやや下方にあるギャザーと同じ高さにみられる

袖口のふんわりとしたたっぷりとしたギャザー。

そう、このギャザーは背面にしか存在しない。

ここには、同じくずいぶん以前から話に聞く、

デザイナー斎藤さんのアシンメトレー好きが垣間見れる。

不確かで不均等な日々の気分を衣服で表現するとなると、

常にどこか偏りのある、均一化されない面白さを感じさせる、

そんな人間の感情のようなデザインが必要なのでしょう。

きっとたくさんの擬音語を駆使してパターンナーさんと

打ち合わせをしたのではないでしょうか。

ここまで、、キュキュキュッてつまんで、、こっからはいらない。

この辺からブワッとふくらませたい。

前から見ると、スッとしてるけど、、

後ろから見るとぶわっとした感じ。

わかります?

他人と感覚を共有しないとできない仕事は、

とっても難しい仕事です。

尊敬します。


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