定石ってなに?面白いの?
NO CONTROL AIRデザイナーの米永さんは、何度も書いているように天邪鬼な人。「普通はこうです」なんていうお手本があったら、まずそれ以外の方法から考える面白い人。20年以上前にブランドを発足した当初、周りはこぞって天然素材を扱う方へ流れていく中、ちょっと立ち止まって、「じゃあ自分は天然素材は好きだけど、やめよう」と決意したという。その結果、化繊使いといえばNO CONTROL AIRというほどに目立つ存在となった。今日はNO CONTROL AIRでもよく使われる、僕も大好きな素材のシャツを2つご紹介します。
NO CONTROL AIR ちび襟プルオーバーシャツ ¥20,350(税込)
カタチは見たことある人も多いのではないでしょうか。ブランドの代表格の一つと言っても良いシャツです。シャツと言いつつもニットやカットソーのような裾のカーブはシャツには珍しいデザインです。極端な前後差を楽しめる愛嬌のあるシャツです。
素材はレーヨンとポリエステルのシルキーなタッチの素材ですが、そこに「フィブリル加工」が施され、生地の表面に少しあたりが出て、光沢と相まって本当におしゃれな雰囲気の楽しめる生地なんです。綿パンでカジュアルさを少し軽減したい場合、ちょっと綺麗目に見せたい場合、これを着ておけば大丈夫。すぐ綺麗目な印象になっちゃいます。
後にファスナーとボタンのあるプルオーバーデザインで、襟は細めの台襟に小さな羽襟の付いた可愛らしいデザイン。
身頃、襟、袖のアンバランスが絶妙に成立している遊びのある洋服です。
背面は縦に剥いだジャケットみたいな雰囲気の仕様で、ヨークもダーツもないスッキリとした潔いデザインです。
台襟の後にボタンが付いています。
袖口はカフスですが、剣ボロ仕様ではなく「いってこい」という仕様に。Gジャンやワークシャツ、ラガーシャツなどで多く見られる仕様です。剣ボロと比べると物々しさもなくスッキリ見えるのでこのシャツにはぴったりなのではないでしょうか。
ミルクグリーン
この色がなんともカッコいい。シャーベットカラーはパッと見てフェミニンな印象が際立つものが多いのですが、これは全然違う印象を抱きました。まず思ったのは「黒に合わせたらカッコいい」でした。
グレー
グレーはスミクロと言っても良いような程よいフェード感が素敵なグレーです。この素材の特徴が最もわかりやすく見て取れるのはこの色だと思います。
この3色展開で、カタチがもう一つございます。気に入った素材ではつい複数のデザインをオーダーしがちです。
NO CONTROL AIR ちび襟シャツ ¥23,100(税込)
こっちの方が高いのか?と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、通常はプルオーバーよりもボタン付きの前開きシャツの方が高くなるのが普通です。洋服業界は思っている以上に分業世界ですので、ボタンを開けるのは縫製工場以外の「穴屋」という職業があるくらいです。時代とともに色々変化もありますが、意外に古い業態がそのまま残った世界なのかもしれません。
やや下がりのあるちび襟は、台襟付きのデザインです。
ボタンの付いた前端のステッチが変わったところにかかっていますね。普通は(米永さんの大嫌いな言葉)コバ(きわきわ)かノーステッチにするかのどちらかですが、たぶん5ミリくらいでステッチをかけていますね。これがNO CONTROL AIRらしさであり、なんとなく違和感を覚える面白さなのだと思います。
このダーツはもはやブランドのアイコンとなっておりますが、初めて見た時は「ん?」ってなりました。NO CONTROL AIR以外の洋服では見たことがない位置の背面ダーツです。
ミルクグリーンはボタンが白
グレーはブラックです。
プルオーバーのアイボリーはblue in greenに別注したコーデュロイのネイビーを。バルーンシルエットのパンツには間違いなく似合うデザインです。
前後差がとても強調されたデザイン。
ゴーシュの極太パンツにも相性が良かったです。
ミルクグリーンはスカートに合わせました。ロング丈なら裾を出していてもバランスよく着ていただけるデザインです。
後に流れるようなカーブがシャツではあんまり見ないカーブです。
後は長めの着丈です。
上からカーディガンも合わせやすい。
ゴーシュの鮮やかなブルーのパンツに合わせて。小物を黒で引き締めれば、意外に相性の良い配色です。
展示会の段階で想像していた強めのブラックとのコーディネートはやっぱり素敵です。まさにクールな印象です。
オフホワイトにグレーは、少しパンチを効かせる意味でのレッドソックス。今一番気になっている色並びです。
アイボリーはゴーシュの極太パンツのブラックに合わせて。
ゴーシュのカツラギ極太パンツは、丈も絶妙に短くて、本当に様々なトップスが合わせやすい。
こちらもパンツはゴーシュの極太パンツのブラックです。なんだかこの組み合わせが増えてしまいました。。
グレーは、光沢がありながらも色のかすれたような加工が一番よくわかる色合いです。フィブリル加工の良さがわかりやすい。
ちなみにこれも極太パンツでした。。
NO CONTROL AIRの米永さんは(実は奥様も)、本当に定石を嫌うひねりのある人たちです。仕事を通して全力で楽しんでいる感じ。本人たちは「必死なだけです」と謙遜していますが、気持ちに余裕がなきゃできないデザインを今までにいくつも誕生させているし、他と違う動きをするトリッキーさもあるので、どうしても彼らの動向は気になります。彼らに「1+1=3かもしれない」って言われると、「そうかもしれない」と思ってしまう。今年もすでにたくさんの商品が入荷していますので、お近くの方はぜひ店頭へお運びください。