annabelle

原点回帰

ASEEDONCLOUDの展示会に初めて伺った際、お店での
お取り扱いをどうするかは宙に浮いたような状態で見に行きました。
ほとんどのブランドの展示会において、はじめはそうなのですが、
直接見た時に、何等かにひと押しされることがあったら、
お付き合いしたいなって考えるのです。
彼らの場合、ヴィジュアルで見ていた以上に丁寧なモノつくりは
もちろんですが、その中心にある物語が重要な位置を司り、
それがあることで、着る人も幸せを共感できる洋服のように感じたからです。
その内容に関しましては、先月のブログ「小さなタネの物語」も
合わせて、ご覧いただけますと幸いです。
今日は、その時のブログと同じファブリックを用いた夏のシャツを
ご紹介いたします。
ASEEDONCLOUD
working blouse ¥28,000+tax
ワンピースと同じ生地を用いた同じオリジナルの
フラワープリントを使用したブラウスです。
前回もご紹介の通り、ワンリピートがないとも言える
作品のような壮大な柄模様がデザイナー玉井健太郎さんの
デザインの魅力の一つです。
思った以上に袖が下までしっかりくる半袖のシャツブラウスです。
裾も自由に絞っていただけますから、ボトムスを選ばない。
blue in greenのふんわりパンツに合わせて。
どうしても履く回数が増える1本です。
ヨコから見たときの袖口にも可愛らしい。
これは花びらをイメージしたのでしょうか。
少し体から離れたところでフワッと広がる柔らかな印象。
正面から見られるトラディショナルな印象とあいまって、
ヨコからみられる袖のデザインはとても東洋的な女性らしさを
感じさせる美しさがあるように思います。
真夏になるまでは、羽織とセットで楽しんでいただきたい。
素晴らしい柄模様は、そのスタイリングの中に想像以上の
素敵なテクスチャーをもたらしてくれる。
チラッと見えただけでもそう思えます。
ASEEDONCLOUD
working blouse stripe
stripe ¥21,000+tax
花柄は彼らにとって、きっと中心的な存在の柄模様なのだと思います。
一方で、アーカイブスを含め、そして次回のシーズンを見た時にも、
ストライプ柄の存在もまた、中心にあるように感じます。
時にデザイナーが実際に旅をした自然の中の地層からインスピレーションを
受けたものがあったり、また、ロンドンでファッションを学んできた経緯も
あり、その伝統的な柄であるストライプがデザイナーの遺伝子に
すでに組み込まれているような、最もなじみ深い柄なのかもしれません。
ピンタックがストライプを表現しているようにも感じます。
ボタンはループで留めるデザインで、こちらも少し東洋的。

裾には共布のひもが裏側を通り、自由に絞ってギャザリングを作ることができる。
着丈もすっきりして、あらゆるボトムスに似合うデザインかと思います。

Honneteをご紹介した際にご覧いただいた写真ですが、
インナーに着ていたのがこちらのブラウスです。

対照的とも思えるmaison de soil の天然染めのスカートに合わせて。
対照的な者同士の組み合わせは、annabelleで提案するスタイリングの
最もわかりやすい表現方法かもしれません。
少しカチッとした素材感やトラディショナルな印象を受けるブラウスに
対し、ザクザクとしたナチュラルな染色の施された個性的で
ふんわりとした印象のスカートを選びます。
袖口の花びらのようなデザインと、maison de soilの
味わいのある天然染めが良い調和をもたらしてくれます。
もちろんパンツスタイルでも素敵です。
annabelleを始めるとき、「コンセプト」のようなものをしばらく、
じっくりと考える時間を持ちました。
それで落ち着いたのが、「普遍性のあるスタイルの創造」ですが、
そのために必要な考えとして、「当たり前を嫌い、シンプルを追求する」
というものがありました。もちろんそれは、オーセンティックな
ベーシックスタイルはかっこいいに決まっているというのが前提です。
「なんであの人はあんなにシンプルなのにかっこいいの?」
っていう感覚は誰もが持ったことのある感情だと思います。
僕ももちろん感じたことがあります。
それはその人が「あーでもない、こーでもない」を経由してきたから
に他なりません。そして、それは時間のかかることとも限りません。
だからannabelleは「あーでもない、こーでもない」ができる
お店にしたいと思って始めました。
シンプルなワンツーコーデでは、シンプルな者同士を
組み合わせないように気を付けています。
「当たり前」を避けるためです。
そして、たまに、普通のジーンズや白シャツなんかに袖を通してみます。
以前と違う感情が出てきたら、それに従ってみると面白いもの。
「ジーンズを履くならもっとオーバーサイズがいい」とか、
「それに合わせる白シャツは、これじゃなきゃ嫌だ」とか。
それが皆さん一人一人の定番スタイルになるのかと思います。
ASEEDONCLOUDの展示会に伺ったとき、あまりにも純粋な
表現に、お店を作るときの様々な資料を思い返し、原点に立ち返る
気分を頂戴した感覚になりました。
今のタイミングで良い出会いだったのではないかと思っています。
少し背筋の伸びる洋服ですよ。

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