annabelle

はいいろオオカミ+花屋西別府商店 展

空想世界-sense of wonder 不思議の家系の物語

思い描く素敵な世界への入り口は、いつも傍にある。
ただきっかけがなく、見過ごしてしまったり、
勇気がなくて踏み込めなかったり。

まずは彼らの空想世界を見てほしい。
2人にしか描けない素晴らしい世界を。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

9月12日(土)~22日(火)までannabelle304が

彼ら2人の空想世界に変貌します。

その空間の中で、西別府久幸さんの歴代の

作品と、それぞれのシリーズからたくさんの

新作も展示いたします。

「森の小さな鏡」 西別府久幸 作

ご存じの方も多いと思いますが、彼の作品には

つながりのある不思議な物語がセットで存在します。

今日は最初の物語をここで紹介したいと思います。

ゆっくり、楽しくご拝読頂けますと幸いです。

「小さな森」   

作品 西別府久幸(花屋西別府商店) 
物語 佐藤克耶(はいいろオオカミ)
小さな森
どうしてこんなことになってしまったのだろう。
私は未だ見ぬ植物に憧れを抱いて、
志を同じくする学者と共に航海へ出ただけなのに・・。
転覆した船から投げ出された、無数の植物の残骸と、
ただひとり辿り着いた孤島で、私はここ数日の出来事を回想していた。
私は幼少の頃から植物、殊に原始的なものや野草が好きで、
将来は植物を研究する学者になることを夢見ていた。
だからこそ、世界の情勢がますます不安定になる中で、
この調査団に同行できることになったときは心の底から喜んだものだった。
しかし、実際は植物の調査というのは建前で、
現地では略奪まがいの行為や、植物とはおよそ関係ないと思われる
任務に就く時間の方が長かった。そんな生活に疑問を抱く中、
同じくただ植物に触れることを求めて調査団に加わった数人の仲間とともに
あの「森」を見つけたのだった。
そこには私たちが見たこともない植物が溢れており、
任務の合間を縫っては採集を続ける日々を過ごしていたが、
残念ながらその幸福は長く続くものではなかった。
そして、あの日、私はいつもの様に任務を終えて「森」に向かっていると、
遠くに重機を稼働させている音が聞こえた。
通い慣れた道を急ぎ足に近づいて見ると貴重な植物の宝庫である
その「森」が今まさに薙ぎ払われている姿を私は目の当たりにしたのだった。
私たちの活動は見逃されていたのでも、見過ごされていたのでもなく、
常に見張られていたことに、その時初めて気付かされた。
それからの出来事は私自身も朦朧としていて、あまり記憶は定かでは無い。
一緒に採集に励んだ仲間たちと数人で、夜明けの前に調査団を抜け出し、
追われる身となりながらも命からがらに船を駆り大海へと抜けだした。
本国に残してきた家族や植物を愛する者たちにあの「森」で採集した植物を届けたい。
その一心で一か八かの賭けに出たのだった。
そして、私はただひとり残された。
これから私はあの「森」で採集された植物の断片を
テラリウムに詰めて海へ放とうと思う。
誰か植物への愛情を持った人の手に渡ることを願い、、
Сохраните этот маленький лес (この小さな森を大切にしてください)」というメッセージも一緒に詰めた。

どうか、私のこの願いとあの失われた「森」が
人々の元へ届きますように。
親愛なる「私が見ることの出来ないあなたへ」


————————————–


これは私の曾曾祖父が世に残した一通の手紙。
心ある人の手に渡り、私たち家族の元に帰ってきたという。
植物のテラリウムは長い間、海を渡ったせいで
すっかり乾涸びてしまったけれど、
貴重な研究材料になったものもあるらしい。
その無数の標本は、我が家の不思議な「遺産」とともに
今も静かに納屋に仕舞われている。

Sense of wonder -不思議の家系の物語-
「小さな森」より




今回の展示では、西別府さんの作品に添えられた

4つの不思議な物語から連想させる「空想世界」を

空間として再現してほしいという僕の願いがありました。

西別府さんの作品には、洗練され過ぎると失ってしまう、

驚くほどの純朴さが感じられます。

相棒である、はいいろオオカミの佐藤さんが作る、

作品に添えられた物語は、その純朴さがうかがえる、

素敵なストーリーとなっています。

ぜひ、作品と合わせてご覧ください。

会期:2020年9月12日~22日 ※16日(水)は店休日です。

営業時間:11:00~19:00 在廊日:9/12,13,19,20
場所:annabelle304
神奈川県横浜市青葉区美しが丘2-20-1 美しが丘アレービル304
TEL 045-482-4026
20日(日)には、作り上げた空間の中で、「花屋西別府商店」を
開店いたします。作品だけでなく、ロシアの骨董ゴルショークに
囲まれながら、ご予算に合わせて花束をお作りいたします。

ロシアの骨董ゴルショークは、もともとはヤギのミルクを

保存するために使われていた陶器です。
西別府商店では、スタンダードな花器として販売もされています。
今回は、ちょうどロシアからの船便が到着した最高のタイミングでの
展示となります。花束に合わせて、ゴルショークもいかがでしょうか。
皆様のご来店を心よりお待ち申し上げます。

Other blog

  • 2024.11.18想像は霧の中more
  • 2024.11.14軽量おしゃれコートmore
  • 2024.11.12セレクトの妙more
  • 2024.11.08あのバランスのベストmore
  • 2024.11.07大人コートmore
  • 2024.11.02NO CONTROL AIRmore