マティスのエスカルゴ
annabelleでは「quitan (キタン)」というブランドを数年前にセレクトするようになりました。一部大手セレクトショップでもお取り扱いがあるブランドになりますので、annabelleでの取り扱いをする意味合いまで考えて、最初に展示会のご案内を頂いてからちょうど1年、検討してからのセレクトでした。最終的に「やっぱり気になる!」となった理由は、デザイナーがとっても幅広い感性の中で、洋服好き特有の自由な感覚を楽しんでいるように感じたからです。デザイナー本人もインタビューで答えている通り、一つのジャンルにとどまらず、世界のあらゆる衣服や文化に興味を持ち、自分のなかに透過していく感覚。優秀なデザイナーはきっと皆んなそうなのかもしれませんが、わかりやすく興味が滲み出ている感じが伝わってきたのが、展示会に行こうって思えた理由でした。今日ご紹介する2つも、そんなデザイナーの感性が炸裂したお洋服です。

quitan バルーンスカート ¥55,000(税込) エスカルゴ
アンリ・マティスの傑作切り絵、「エスカルゴ」からインスピレーションを得たシリーズで、色合いはモノトーンで表現しています。そして注目したいのはこの柄を表現した手法です。プリントでも刺繍でもなくジャガードでもありません。

基布に使用された綾織の生地はヘンプ100%です。そこに優しい印象のペールイエローやライトベージュなどが自由に重なり合って一つの生地になっているわけですが、こちらはニードルパンチの手法を用いて表現されています。ウールを針で刺していくことで柄を作っているというわけです。しかもアパレルには珍しく(というか見たことがない)リピートがない柄だそうで、自由なコラージュ作品を反物で作って、それをオーダーの入った分だけ洋服にしています。だからどこを裁断するかで柄が異なります。

ベージュと薄いイエローとチャコールグレーがあることだけは共通ですが、その組み合わせやニードルパンチのパーツの大きさは、まさにマティスの切り絵のようにまちまちです。色合いが同じですので、1着づつ印象が変わるようなことはないと思うのですが、気になる方は他店の情報もご覧になってみてください。annabelleはベストとスカート1点づつのお取り扱いです。

スカートのシルエットはバルーンのロングで、後ろにスリットがあります。幅広な見返しがなんとも贅沢な感じ。

裏地はコットン100%です。ニードルパンチの部分はウールで少しふわふわした感じではありますが、ベースの生地はヘンプ100%で、麻のようなタッチです。裏地付きのスカートですから、8月や9月のような真夏には着用しないと思いますが、今すぐに取り入れて梅雨あたりまでは穿いていただける感触です。特に今から3月いっぱいの、寒気の残る季節には、とってもおしゃれな印象のあるスカートです。

quitan フライトベスト ¥58,300(税込) エスカルゴ
フライトベストと命名されたこのベストは、そろそろブランドを象徴するものになりつつある。。あたりでなくなるというパターンもありますが、僕も実はすごく気に入っているベストのデザインです。もう3回目のご紹介で、毎回素材が全く異なります。名前の通り、英国空軍で採用されていたレザーのベストがデザインソースではありますが、仕様の重厚さや丁寧さ、トラディショナルな衣服への愛情とリスペクトは感じさせつつも、全く元ネタを感じさせない仕上がりが素敵です。

長めの着丈であるため、サイドスリットが開いています。フロントのポケットは片側に。

身幅はそう広くないのですが、アームホールはたっぷりとしていて、けっこうゆったりした袖のお洋服でも合わせられるベストです。

総裏の仕様です。

内ポケは左側にあり、玉縁布がウールのイエローになっています。

こちらが背面です。今回ベストはセットアップだけでのご紹介となりますが、機会があれば別なお洋服とのコーディネートも紹介したいと思います。

klauseのシャツにセットアップで重ねて。前を開けて羽織感覚で。

前を全て閉めて。おしゃれだなーと思う人って、アンバランスをモノにしている感じの方が多いですよね。これもそういうバランスかもしれません。

様々な角度で素敵なセットアップ。もちろんそれぞれでも楽しんでもらいたい。

今度はこんなショート丈のパーカーに合わせてみよう。


少し生地の分量感のあるパーカーの上からですので、前は閉まりません。こちらも羽織る感覚で。

トップスにNativeVillageのニットベストを重ねて。すごく相性抜群でした。きっと下に着ているシャツを何に変えても素敵でしょう。季節に合わせて変化させて楽しみたい。

今は一番下にカシミアのインナーを着て、klauseのシャツ、その上にフレンチスリーブのニットベスト、そして裏地付きのコート。今日くらいの(10℃ちょっと)気温ならもうそれでちょうどいいと思います。実際、僕もこの1週間ほどで見える部分にはウールを着ないようになりました。今こそ温かいインナーが活躍しますね。
洋服としてはもちろん、布地としても見応えのある1着ですよ。