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心躍るレイヤースカート

僕の趣味はバイクや自転車といういかにも男の子が好きそうなものなのですが、それらをカスタムする際に、自分だけの特別なパーツを一つだけ作ると、それを「ワンオフ」と言います。これは自身のためだけに作った特別感があり、趣味の世界では憧れの一つです。しかし僕の好きなビルダー(カスタムを手がける人)が、「ワンオフはそう難しくない」「難しいのは量産できるようにすることだ」と言っている。僕も洋服の生産現場を見ていると、実に同じことを思います。ちょっとしたデザイン性のある仕様が、「量産できない」「うちでは縫えない」「仕様変更してくれないか?」と言って生産を断られることに繋がるケースは少なくない。ここで重要になるのは「どう妥協するか」で、つまり前向きな妥協であり、工夫である。工場の職人さんの作業や全体の効率を下げることなく、デザイナーのイメージを形にするにはどうしたらいいかを生産現場にいる全員で考える。これが量産工場で作ることの難しさだと思います。だから、「とにかく1点だけ最高なものを作ればいいワンオフは、さほど難しくはない」という考えになる。今日ご紹介する「DDUD(ディーディーユーディー)」というブランドは、そんな既製服が持つ生産背景を考慮し、どうしたら今まで諦めていたものを形にできるかを手探りしながら進んでいるブランドです。

<通信販売はこちら>

DDUD ポリエステルライトタフタ製品染レイヤースカート ¥40,700(税込)

DDUD(ディーディーユーディー)とは「The delivery date is undecided(納期不定)」の頭文字をとって名付けられたブランド名です。デザイナーはNO CONTROL AIRやFIRMUMを手がける米永至さん。DDUDは、2年ほど前にNO CONTROL AIRの中で実験的にこの素材を用いたシリーズを少量で作り始めたのが最初で、シリーズから抜け出してブランドとしてスタートした。やりたいけど「通常の量産には入れられない」理由のあるものがひしめき合っている。このシワシワシリーズはNO CONTROL AIR時代にも経験を積んでいるので、わりとスムーズに生産が出来るようです。もう3年ほど前になりますが、annabelleでも常連のお客様を中心に販売もしていました。パンツ、ジャケット、シャツ、コート。自分でも3ピースで購入してものすごくよく愛用しています。今回はレディースに向けたスカートのご紹介です。

ウェストはゴムと紐になります。

ポケットは両サイドに。

お洋服をたくさん購入してきた方の中にはよくご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、ポリエステルという素材は、通常染まりません。染め直しなどをした際に、縫製糸だけが白く残った姿などをご覧になった経験があるかもしれませんが、あれは縫製用の糸がたいてい切れにくいポリエステルを使用しているからです。ではこちらのポリエステルはなぜ染まっているのか?それは特殊技術があるおかげです。日本にはできる会社が1社だけと聞いておりましたが、どうやら2社あるようです。しかし2社しかない。その2社で海外ブランドの仕事も請け負っている。

通常100℃までしか上がらない水を130℃まで高温に上げて、なおかつ圧力を十分にかけることで染色しています。このシワはその際についた自然なシワで、この面白い雰囲気をそのままに製品として完成としています。シワはパーマネント加工を施してはいませんが、僕が何度も洗濯を繰り返して2年ほど着た感触では、洗いざらしで着ていたらシワは良い感じに残ります。

そしてこのシワ感をより楽しんでいただこうとブランド側が考えたのがこの納品方式。網布を四角にカットして風呂敷状に包んだ状態です。いかにも実験的。

スカートは同素材が3重になったレイヤースカートですが、前は同寸で後ろに行くにつれて着丈が段々に短くなったデザインです。一番下の布が一番長く、外側が一番短い。

裾端の縫製はロックになっています。最も丈夫で解けにくいから適任です。

よくよく見ると、一番下の布の前側にはスリットがあり足捌きもいい。

色はディープグレーとミッドナイトの2色です。ディープグレーはチャコールよりはっきりとしたグレーで、室内で見るとチャコールっぽく濃色に見えたりします。落ち着きがありながらも濃くなりすぎない濃いめの中間色といったところでしょうか。ミッドナイトはブラックに限りなく近いながらも青みを帯びた柔らかい濃色です。黒と並べないと全く気が付かない程度に濃紺な感じ。

こちらがディープグレーをカジュアルにセーターに合わせて。店頭ではすでに購入していただいているお客様もいらっしゃいますが、タイツを合わせたら冬でも着るチャンスは十分にあるような素材です。静電気が気になるところですが、僕が2重のパンツを穿いている感触では、多少静電気はあるものの、同じ生地が二重になっているからか、肌にくっついている感触が裏であっても、1枚目の布地は全くへばりつかないため、シルエットには影響が全く出ない感じです。このスカートも同じような意見をいただいております。ヘビーに活躍し始めるのは春先かと思います。一枚一枚の布地の性質はやや春夏向きで、甘い平織ですから、サラッとして通気性もある清涼でドライタッチな生地ですから。3枚重なることで夏場は穿かなくなるでしょうが、それ以外のほとんどの季節で穿いてもらえると思います。

この後ろに向かって段々と短くなる裾がとっても素敵。迫力のあるスカートです。これにライダースとかコンパクトめのブルゾンもかっこいいし、こんな風にゆったりしたニットもいい。今ならざっくり手編みセーターも似合いそう。

こちらもディープグレーですが、トップスを変えてちょっと綺麗めなジャケットスタイルに。3月あたりから始まる式典シーズンにも活躍しそうです。いわゆるフォーマルよりも、普段着にもなる洋服をお探しの方には起点になるスカートです。トップスにそれらしい綺麗めのジャケットなどを合わせればいかようにもなる。

NO CONTROL AIRのスタンダードなノーカラージャケットを合わせるとこんなバランス。

ミッドナイトは以前に製作したannabelleオリジナルのジャケットを合わせて式典用にスタイリング。入学や卒業くらいの式典ならこれでも十分だと思います。

本当にこの横姿が最高にかっこいい。そしてシワシワでかっこいいから最高に楽。

ミッドナイトをカジュアルにセーターでコーディネート。

シンプルに何を合わせてもスタイリングが成立しやすいスカートです。もう何度もお伝えはしておりますが、一番スタイリングが難しいのは着ているもの全てがシンプルすぎる場合です。やっぱりテンションの上がる山場がないとスタイリングも映えにくい。ただし、様々な洋服を着こなしてきて、自身の世界を確立して持っていて、雰囲気をすでに持ってらっしゃる方は全身シンプルでも良いと思います。しかしそういう方にもお勧めできるスカートではありますが。

最後は以前に販売していたNO CONTROL AIR時代の同じ生地のシリーズのシャツを合わせてみました。こちらのシャツも2重の、しかも全く同じ型紙でシャツ2枚分を裁断して付き合わせて縫製した無双仕立てです。色はブラック。実は私がメンズで持っているものと同じデザインのシャツなのですが、レディースサイズが2点だけまだございます。色はブラック。2重になったシャツですから、こちらは自分でも春先〜春、また秋から冬という感じで着用しています。どちらかと言うと秋冬向きのシャツでしょう。

ブラックと比較するとミッドナイトの色がわかりやすいですよね。単体で見ているとブラックにしか見えませんが、自然光でブラックと並べて初めてちょっと濃紺ぽい感じがします。

コットンのジャケットを重ねると、春らしいちょっと綺麗めなカジュアルさ。気温に応じてブーツを脱ぎ、短靴やスニーカーを穿いて、タイツを脱ぎカラフルなソックスに変え、トップスをカットソーとブルゾンにして、春っぽいストールでも巻いたらどうでしょう?ちょっと気が早いですが、3月後半あたりはそんな感じで穿いて欲しい。

ワンピースに重ねたらどうだろう?タックインもカッコよかろう。想像しただけで心躍るスカートです。DDUDは5月に初めてannabelleでも展示受注会を開催しましたが、今までのブランドと生産体制が異なるのもこのブランドの特徴です。商品ラインナップがほとんど全てシーズンごとに入れ変わる他のブランドと異なり、展示で巡回しながらオーダーを取り、それをある程度時間をかけて作り、長期販売をし、工場にもストレスのかかる少しややこしいものを作ってもらう反面、「納期不定」にすることで断られがちな生産を可能にしている。一度作った商品は年単位で継続させることで縫製職人も難しいながら手がなれる。そしてこのやり方の一番のメリットは余る在庫がほとんどないということ。このスカートはannabelleでは初めましてですが、おそらく販売が開始されてもう1年以上が経ったモデルです。次回からのphase3にあるかどうかは来月のバイヤー向け展示会で明らかになるでしょう。

明日の撮影日では同素材のパンツを撮影します。二重になったシワシワパンツです。こんな段々になったデザインではありませんが、パンツスタイルの方が安心感があると言う人にはそちらもお勧めです。ポリエステルは軽やかなふんわり感が出やすい素材ですから、パンツもシワシワでふんわりして可愛いし、かっこいい。そちらも楽しみにお待ちください。スカートは年始から2週間店頭販売もいたしましたので、本日通販にも掲載します。在庫が多少減っておりますので、すぐに完売してしまう可能性もございますがご了承ください。

 

 

 

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