annabelle

「皮から革へ」

annabelle年内最後の展示は同じビルで活動している「sonor」さんとの展示です。sonorの園田さんがannabelleにお客様としてご来店されたのはたぶん2012年だったと思います。1年くらいコンスタントにお買い物に来てくださって、顔を合わせたら「どうも」というくらいの時に、近所のメガネ屋、LOCALさんの1周年イベントに招かれて行ったらそこに園田さんがいた。LOCALの1周年だからそれが2014年。そこで「あ、どうも」となって初めて作家だと知った。そのおよそ1年後に初めてannabelleでsonorの展示を行いました。あれからさらに10年が経とうとしています。今展ではアナベル別注のsonoを経て、もう少しannabelleのオリジナリティを追求した特注を「ISALITO」というブランド名で販売していきます。今回は4種類のISALITOをご用意いたしました。sonorのラインナップとともにぜひご覧いただければと思います。

「sonorとannabelleの10年とこれから展」

会期:12月20日(sat) – 23日(tue)
時間:11:00 – 19:00
at annabelle304

洋服屋として働いているほとんどの人がレザーは「牛」がメインで豚革は靴やお財布の裏側にスウェードで使われる印象を持っていると思います。僕もそう思っていたし、それは一つの角度から見た紛れもない事実です。やっぱりきめの細かいパーンと張ったあの高級感は豚革にはない良さだろうと思う。しかしsonorのバッグを長年使う中で、正直もう牛革のバッグには戻れないかもしれない、、というほどの快適性を覚えてしまったのです。

そんな時に、ある話を耳にしました。それはsonorさんが長年お付き合いをしている豚革の鞣し屋(皮を革に加工する職人)さんと、世界的に有名でおそらく世界の誰もが知っているトップメゾンが契約をし、有名なバッグの材料として使われることとなったという話でした。それを聞いた時、バッグの裏側に使われたのかな?と思ってしまったのですがそうではないと言う。たしかにsonorさんの扱う豚革はかなりの特級品だとは思いますが、それにしてもあのバッグにメインで使われることがあるのかという驚きと、いったい「良い革ってどんな革?」なのか、、という疑問が頭から離れなくなりました。そこで今回の展示の打ち合わせを兼ねて、sonorさんと下町の鞣し屋さんを訪れたのです。

久しぶりにお会いして直球にその質問をすると「ですよね。そう疑問に思いますよね」と言ってから、世界のトップブランドとのやりとりを交えながら、様々な話をしてくれた。

まず先に答えらしきことをお伝えすると、「本来、動物の皮に特性はあっても商品的価値の優劣はないと思う」というのが長年鞣しをやってきた立場から思うことだと言う。そして「皮から革へ」と加工することと、その土地の食文化と水には深い関わりがあり、むしろ食文化や水によってその土地の「革」は生まれてくるものだとも言う。だから世界中で平均的に食される「牛肉」の副産物として、世界中で当たり前のように「牛革」が使われるようになり、さまざまなデザイナーや作り手に応えるように鞣しの技術や加工も成熟し、様々な牛革が誕生し、世界的なデザイナーにも重宝され、価値を不動のものにした。また牛革は大きさもちょうど良く、加工もしやすかったため、使い勝手の良さからも流通に乗りやすかったのだと言う。

一方で豚さんはどうかというと、日本とアメリカは多くの豚肉を食すので、家畜も多くその副産物としての豚革も多く鞣されてきたそうだ。ではヨーロッパはどうか?僕が疑問を持っていた部分の一つに、日本やアメリカの靴の裏側には豚革が多く使われるのに対して、ヨーロッパの靴には日本では高級な印象のある「馬革」をよく使っていると言うものがある。それをそのまま鞣し屋の社長さんに聞いてみた。すると「それも食と関係してるんです」と言って教えてくれたのは、ヨーロッパは日本やアメリカほど家畜としての豚は多くはないが、いることはいるし、彼らも豚はよく食べるのだそうだ。しかし異なるのは、彼らは豚を皮まで食として消化するため、豚の皮が副産物として残ることが少ないそうだ。よって希少性がある。だから、日本の高い技術で鞣された上質な豚革があの誰もが知るブランドのバッグに使用されることになったのだ。彼らは地産地消の尊さを十分に理解し、そうでないものにはほとんど興味を示さないそうだ。それが品質に繋がるのだという哲学を持っている。

現在世界に流通する本革のレザーのおよそ90%が「クロム鞣し」で、sonorなどの一部のデザイナーや作家が用いる「天然鞣し」のレザーは10%程度しか流通していないそうだ。自分の周りだけを見渡すと信じがたいが、実際はそうらしい。天然鞣しにこだわる社長からしたら、もっともっと広めたい気持ちは強いのだが、なかなか現実は厳しいとのこと。しかし世界のトップメゾンの生産管理の方々とセッションを重ねる中で、良い気づきがたくさんあり、それがこれからの財産になると言う。彼らはものすごいレベルの要求をし、それを実現できる職人とだけお付き合いをし、そして大切にしてくれるそうだ。100枚の革を鞣し、その中から3〜4枚を厳選して選び、他は使わないと言う。しかしその100枚のセッションでより感覚を磨き、技術が高まり、その中から今迄になかった豚革の可能性を形にすることに成功している。

今回、annabelleのオリジナルブランドである「ISALITO」では豚革の持つ様々な角度からの魅力を見ていただこうと、本来家畜としての豚さんに当然あるべき皮膚の傷が残った状態の「ナチュラル」から、そのナチュラルを元に最大限製品としての価値を高めようと技術を駆使した高級な豚革「CERDO(セルド)」まで、様々な表情を見て頂きたく素材のバリエーションを多く揃えました。

ISALITO ear bag スエード ¥13,000+税

裏表を両方スエード加工することで、とても柔らかい仕上げになった新しいレザーです。皮を鞣す立場から良い皮ってなんだろうかと考えると、それはその動物の皮が持つ特徴を生かした鞣し方をしているかどうかだと言っていた。それはまさにデザイナーが材料を見て何を作るかを考えるようなものだ。発色が良くと薄手で柔らかいこちらのスエードでは折り畳み、持ち運びがしやすいバッグを作りました。

デザイン的には持ち手の長さとカーブにこだわっています。

小さく収納されるバッグも可愛らしい。旅行バッグや普段使いのトートやリュックに忍ばせて、様々な場面で使い道を見つけてください。

販売は小さな収納バッグに入れた状態で販売します。また小さなバッグの細い紐の取手は色を揃えておりませんで、、アソートとさせてください。左上から、レッド、マスタード、グリーン、左下がキャメル、チョコブラウン、ブラック。スエードってスタイリングに使うと映えるんです。ブラックでも映えるから不思議。ぜひ年間通して使ってほしいバッグです。

ISALITO POOL BAG ¥11,000+税

こちらは小さめだけど長財布がしっかり入る少し縦長なバランスの巾着バッグ。昔肩からかけてプールに行く時持った経験のあるあの丸底のバッグ。あれからの、これです。斜めにぷらーんと手持ちにしたり、肩から掛けたり。持つ人の自由さで持ち方はいくつか考えられる。

こちらは通常sonorが使用している「natural」という最もシンプルなレザーの傷が多いものを使用しています。ナチュラルはその名の通り天然鞣しで仕上げて、無加工の状態です。豚革本来の軽やかさや柔らかさがあり、傷もところどころにございます。傷の量などはコントロールできないため、傷の雰囲気なども詳しく見てから購入したいと言う方は、通信販売ではなく実際に見てからご購入ください。通信販売では全てを撮影してその差を見せることが不可能かと思われますので、ある程度傷が入っていることを了承していただける方に販売します。

ISALITO POOL BAG WAX LETHER ¥14,000+税

こちらが同じ形の素材違い。ただし、この革は在庫限り。廃盤の革になりますので、個人的には気に入ってsonorの別注でも使用していたのですが、残念です。おそらく今回の生産分でなくなるかどうか。。時間の問題です。そして色もブラックしかありません。こちらもナチュラルほどではありませんが、小さな傷が目立たない程度に見られます。

ISALITO POOL BAG ¥16,000+税

そしてこちらが今回あらたに登場したレザーで、「CERDO(セルド)」というシリーズ。個人的にはめちゃくちゃ気に入りましたが、正直レザーの価格は豚革としては最高級ランクです。しかし本当にいい。豚革の毛穴が気になると言う方にはすごくおすすめです。馴染んだ感触も素晴らしい。

こちらがカーボン(ブラックより鈍色です)

こちらがダークブラウン

右がナチュラル、真中がCERDO、左がWAXです。CERDOは「豚革だよ」って言われなければわからないかもしれません。素晴らしい鞣し技術だと感じました。

ISALITO ヤマフラップショルダー ¥12,000+税

こちらは個人的にこのくらいの小さなショルダー欲しいな、、なんて個人的興味で作り始めて商品化したので、最も男性的要素が含まれているかもしれません。こちらのレザーはナチュラルで、ちょうど右側の色は最も傷がたくさんあるタイプです。

僕は模様みたいで好きなんですが、ここまで傷の多いタイプは店頭販売に徹します。通販で傷多めがご希望な方はお申し付けください。基本的に傷があるので、「傷が少ないもの」というリクエストには応えられないのですが、「傷多め」には答えられそうです。

しかしブラックのようになんでこれが傷多めに配属されたの?と言うくらいほぼ無傷な子もたまにいます。

ISALITO マヤフラップショルダー ¥20,000+税

急にお値段上がった感じがいたしますが、ナチュラルと比較するとこのくらいの差がどうしてもできてしまうほど高級な革です。雰囲気、感触、色合い、艶感、大好きです。

金具や仕様も相談しまくって下町をウロチョロして選びました。気に入ってます。

今回久しぶりに訪れた鞣し工場はちょうど10年前に初めての展示をする際にも訪れている。その時も先代から受け継いだ特別な技術を引き継ぎ、それをブランド化して広めていこうと懸命に活動されていた。通常業務の忙しい合間を縫って、我々のようなアパレル産業の人たちを相手に見学会や勉強会を開いたり、商業展示会に自ら出展して豚革が主役になる可能性をお披露目したり、地方のマタギさんと多く繋がりを持ち、「皮から革へ」を合言葉に豚以外の皮を鞣すことにも挑戦したりと、僕が見聞きしているだけでも相当な活動をされている。それがどこかで世界のトップメゾンの目にとまり、先代から引き継いだ「天然鞣しRUSSETY(ラセッテー)」が世界に認められた。ちなみに「皮から革へ」という言葉は今では様々な媒体で当たり前に使われているが、その言葉を初めて使ったのが先代の社長だそうだ。今回お話を聞く中で、現社長はこうも言っている。豚革にも牛革に負けない良さがあり、それをしっかりとブランド化していく必要がある。平たく言えば良さを広めることなのだが、それには多くの障壁があるという。それは高い技術を高く評価して買ってくれるトップメゾンがある一方で、「なんでこんなに高いのか?」と見た目の似たものを他で安く作る業界人も多いと言う。「豚革=安価」という固定概念から抜け出せないのだ。

今回ISALITOでは、傷の多いナチュラルは傷を柄と捉えて育てていただこうと思っている。また正反対に豚革とは思えない表情を表現したCERDOでは高級感を味わって頂きたい。またカラフルでキャッチーなスエードでは、ファッションらしさを全面に出してみたかった。この鞣し屋さんのレザーと社長の姿勢に惚れて長年モノ作りをしているsonorさんに習い、最前線で販売するものとして、この豚革の良さを出来るだけ広めていきたいと思います。そんなわけで今回の展示では、豚革の種類にも注目してご覧ください。

そして実はもう一つISALITOで作っているものがあるのですが、そちらは撮影が追いついていないのでまた次回。明日かな?お楽しみに!

 

 

 

 

 

 

 

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