いといとし
ゴーシュのお二人に、
恐るおそる、聞いたことがある。
「デザインする時に、一番時間をかける
部分ってどこですか?」
「全部です。」って1秒くらいで返ってきた。
それはそうだろう。
一年の3分の1くらいは、
朝方までパターンをひき続ける彼らだ。。
その丁寧な姿勢は、洋服ににじみ出ている。
一番最初に取り組むのは何ですか?
って聞いてみた。
二人で顔を見合わせて、
「糸、、、生地ですね。」
展示会で、彼等ほど糸の話をする
デザイナーもいないだろう。
今シーズン、彼らの糸への愛情を
あらためて感じた素材です。
ゴーーシュ
コットンリリアンワンピース
ブラック ¥35,000(税抜)
一見、ワッフルのような印象だ。
触ってみると凹凸とともに、フワフワした
感触がある。
よーく見ると、太い糸に細い糸が絡まり合って、
一つの生地になっている。
「リリアン編みの糸を細い糸でからむように、
ジャカード織をした生地です。」
表情があるにもほどがある。
少し、レトロで、洗練された上品さがうかがえる。
裏地は総裏でキュプラが入る。
着用した時に、生地の特徴であるふくらみが、
十分に感じられる。
インナーには、白やネイビーはもちろん合うけど、
何となく、この生地の雰囲気で、懐かしさを感じる
サックスブルーを合わせてみた。
コットンってこんなにしなやかだっけ?
と思うくらいにしなやかだ。
上から、同じくゴーシュの和紙とコットンで作った、
ミラノリブのジャケットを羽織ってみる。
軽くて、しっかりしている。
ジャケットの襟は、ラペルを返しても
いいのだろうが、アナベルでは、
2人一致で、返さない方がかっこいい、
という意見で、この着方でご紹介することにした。
あまりに、「かっこいい」を連発するので、、
妻もその気になってくる。
客観的に人を見た時に、印象に対する
洋服の影響力は計り知れない。
こういう服を日常着に取り入れ始めた時、
そのカジュアルスタイルは、成熟したものになるのだろう。
このジャケットをArteporvera の加工チノに合わせたら
かっこいいだろうな。。
このワンピースをT-シャツと真っ白なスニーカーで合わせたら
かっこいいに違いない。。
糸の話を夢中になってするゴーシュのお二人(特にご主人)は、
糸から生地を創造して、生地からパターンを創造して、
パターンから洋服を創造して、、
ゴミから色を創造したりする。。
ちょっと偏った人じゃないと、
デザイナーなどというものは、勤まらないのかもしれません。