思い出のワンピース
2012年の9月、その翌年の春に並ぶ
ゴーシュの展示会に出かけた。
軽さや汎用性、そしてわかりやすいトレンドを
重要視するレディースのアパレル業界において、
ゴーシュの繰り出すアンチテーゼな
剛速球にあこがれた。
カンカンに打ち込みのあるウールや、
くるっと小さな半円を描く、
他では見かけないクルーネック。
時代に翻弄されることなく、
彼ら独自の美意識の中、
数々のデザインを生み出してきた。
2013年春の展示会、、
ゴーシュのワンピースは今から思えば
いつも通りなのだろうか、、
プルオーバー、、
かぶるタイプばかりだった。
「何でですか?」って何の気なしに聞いた僕に、
なかなか強い口調で、こう言った。
「何にしても、、らしいのが好きなんです。」
「ワンピースはワンピースらしく。」
そんな話を、まだ当時始まったばかりだった、
雑誌「nid」の連載に書いたのを覚えている。
この時のワンピースが、
久しぶりに襟付きで登場した。
僕にとっては、ゴーシュというブランドに、
よりいっそうの興味を抱いたきっかけともなった
ワンピース。
ゴ――シュ
コットンリネンダンプ プルオーバーワンピース
ブルー
¥28,000(税抜)
ダンプ素材は、綾と平があるが、
こちらは平織りのダンプ素材。
打ち込みが良く、しっかりしながらも
しっとりと柔らかい。
着応えのある素材です。
グレー
ヨコ糸が綿麻の混紡糸であるため、
近くで見ると、わずかにヨコムラを感じる。
光沢もある。
シルバーのようなきれいな澄んだグレー。
ネイビー
ネイビーは、いつも通りの濃紺です。
クラックがないと黒にも見えるような、、、
でも今回は、黒もございます。
ブラック
この金具の付いたベルトでウェスト回りを
調整できる。
写真を見ながら思い出す。
2年前のnidの撮影もたしかこんなブルーだった。
変わらないゴーシュの力強さにほっとする。
実は今回、、たぶん初めて、
ゴーシュのワンピースにパンツを合わせてみた。
クールな柔らかさのあるグレーに、
チャコールグレーのピンストライプ。
白い靴。白黒のカバン。
シルバーグレーを基調とした、
明るめのモノトーンスタイル。
夏から秋に、すんなり移行できそうな
カラーリング。
ブラックは、真っ黒にしてみました。。
白いボタンが際立ちます。
インナーに同じくゴーシュのカシミア混の
タートルネックを合わせれば、
コートを重ねて冬を迎えられます。
このワンピースが、「初ゴーシュ」となった
アナベルのお客様も多いはず。。
そのくらいお勧めしていた。
そして、今でも着てくださっている。
2年経って、襟が付いて登場したこのワンピースを
見ていると、ゴーシュのお二人の
力強い言葉の数々が頭をよぎる。
「ワンピースはそれらしく着てほしい。」
「現時点で完成されているものを
むやみやたらにいじれない。」
「このT-シャツの型紙の完成には、
1年半を費やした。」
シーズンを追うごとに、
劇的な変化を起こすわけではないのだが、
確実に僕らの中で、特別さを増している。
やっぱり好きということでしょう。