annabelle

社長コート

ファッションは今後どんな存在になっていくのでしょうね。妻は何年も前から「モノが多すぎる」という言葉をよく口にしています。お店をやっている立場からすると耳が痛いのですが、ストレートで確信を突いた純粋な評価であることは間違いないのだと思います。だからセレクトはよりタイトに、より研ぎ澄ませていかなければいけないのだと考えています。

数年前に何度か訪れたFACTORYさんの足利にあるお店やアトリエには、1977年に現社長が運営していたアトリエブティックの写真や当時のスタッフの方達と撮ったのであろう写真が並んでおりました。白黒の写真からも伝わってくるキラキラしたムードや勢いを感じる写真ばかりで、変な話だけど「あー、自分もここに居たかった」というのがそれらの写真を見た時の率直な感想でした。僕は残念ながらモノづくりをする立場にはならなかったけど、セレクトする時はいつも自分だったら今、どんなものを作るか?は想像しながらバイイングしています。今日はFACTORYさんから同じ素材のスカートとコートをご紹介します。

<通信販売はこちら>

FACTORY ウールオーバーコート ¥62,700(税込) ベージュ

昔はよくこのコートを高密度なコットン素材で秋冬に作っていたFACTORYさん。いつからか少しディテールを変化させつつ、オリジナルのウール素材で軽く一重のこちらを作るようになった。僕はこのコートのファンで、少ないけど必ずオーダーしています。昨年はレザー風の染色を切り替えにしたデザインでしたが、今シーズンはまたシンプルなデザインに戻りました。

タブボタンをつけることでスタンドカラーになる雰囲気のあるコートです。縫製糸が配色になっているのもさりげなく素敵です。

大きな身頃にちょこんと付いた袖。

比翼仕立てで身頃のボタンは見えません。

シンプルな箱ポケット

一重で軽やかな仕上がりです。綺麗なパイピング始末や裾に施したテープの手まつりが美しい。

ブラック

ブラックは1977年当時の社長を連想させる雰囲気です。今もかっこいいけど、当時はもっとすごい迫力だったんだろうと想像してしまう。ブティックを経営しながら、仕入れてくるだけでなくて、お店の裏に小さなアトリエを作ってそこでオリジナルの洋服を作ってはお店に並べて販売していたらしい。「あーー、そこに居たかった!」絶対面白いはず。

もう何度もご紹介しているコートだから、見たことのある方も多いかもしれませんね。今年はFIRMUMのあのツイードのパンツに合わせてコーディネートしています。可愛らしくなるかと思いきや、やっぱりかっこいい。

ブラックは気がつけばいくつか撮っていた。こちらはFIRMUMのツイードテーパーパンツに合わせたスタイリング。ダークグレーにホワイトのタートルセーターを合わせたもの。

こちらは完売したYUIさんのコーデュロイパンツに合わせたもの。だいぶメンズライクに自分好みの色合わせと雰囲気でまとめております。見えないけどインナーのセーターは赤です。

こちらはなんとなく、FACTORYの社長をイメージしてコーディネートしたスタイリングです。実は全身FACTORYなのです。

スカートはこちらを穿いています。同素材のタイト気味のロングスカート。

FACTORY ウールスカート ¥35,200(税込)

色違いはコートと同じくベージュ。

中はこんなスタイリング。

今の社長はパンツスタイルばかりだけど、あの年齢で今もサルエルパンツをありえないくらいオシャレにカッコよく穿いている。このスカートもきっと素敵に穿くはずです。

こんな風にモノトーンに合わせるのもかっこいい。

ベージュはこんな風にオリーブミックスのツイードを合わせて。妻は黒ばっかり着る傾向にあるけど、僕自身はこんな色合わせが大好きで、たぶん昔から変わらないかもしれません。ちなみに革靴は9:1くらいの割合で茶系ばかり。しかしながら妻にブラウンの靴を履かせると、どうにも見慣れないせいかイマイチな気がしてしまって、、撮影のコーディネートで使うのはブラックの靴ばかりになってしまいます。皆さんも靴や小物ってそういう偏りありますよね?

これはお客様にいただいた僕の宝物。たまに眺めてひとりでニヤついている。これを僕にと持ってきてくださったお客様はたぶんFACTORYの社長と同年代の方。この写真は1982年のコムデギャルソンのショップカタログの1ページで、カタログは顧客様向けに配っていたものらしい。パリコレにデビューした翌年のもので、「黒の衝撃」の真っ只中。僕は歴史としてしか知らないけど、FACTORYの社長さん達の昔の写真は、ようするにこんな雰囲気を醸していた。そして42年も前のコレクションが、今なお神々しいのがすごい。時代を作ってきたデザイナーの凄みというものか。僕はこの写真にそうとう影響を受けているので、どことなく昔からオーバーサイズのスタイリングが好きなのです。特に今回ご紹介しているFACTORYのコートは、もちろん別物なんですが、とても重なる感触がある。それはおそらくFACTORY社長の存在や雰囲気があってのことだろうと思っています。今は社長の監修のもと、3人兄弟の妹さんがデザインとパターンを担当して出来上がった素敵なコートなわけですが、どうしても社長のインパクトが強い。僕は本当にひそかに、、このコートのブラックは「社長コート」と思って発注をしている。これをFACTORYさんが作らなくなったら寂しいな。。作り続けてもらいたいコートです。

 

 

 

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