「感じる服 考える服」
ファッションの役割はなんだろう?いつもと違う美味しい料理を楽しむことや、旅に出ていつもと違う絶景に癒されること、ペットを飼って休日に愛犬と戯れること、そんなことのように日常に潤いをもたらすようなことができれば、役割の一部を果たしたことになると思います。洋服は着ないわけにはいきませんから、昔から「衣食住」の中にもあるわけですが、僕らがセレクトしてお店に並べるものは、必需としての洋服とは区別をする必要があるものだと思います。だから必要のない人もたくさんいるはずです。そう考えると、切なくなる瞬間もたくさんあるのですが、そんな時は「感じる服 考える服」という本にある、お気に入りの一節を思い出します。「0.1%の共感者がいればいい」という言葉です。有名なブランドのデザイナーが、たしか、、ブランドの理念とトレンドの関係性について問われた返答の一部だったと記憶していますが、トレンドは取り入れるために情報を得るのではなく、トレンドを作ってしまわないように確認の意味で見る。それをやり抜くには、強いファンを獲得しなければならないが、それは0.1%で十分なんだと、そう説明されていた。たしかにそう考えると勇気が湧いてくる。僕らのお店などは、0.01%でも十分に違いない。今日もそのくらいの方々に向けてご紹介します。
Native Village モヘアニット ¥52,800(税込) オフホワイト
モヘアというと毛足の長いものを想像しますが、これはそうではなく、この植物モチーフの凹凸がしっかりと浮かび上がるような編地の変化やモヘアと羊毛に加えて30%含まれるナイロンがいい弾力というかしなやかさを出していて、セーター特有の柔らかさに加えて、少しシャキッとした印象も感じることができるのがとても気に入りました。
ネックのデザインもかっこよく、小さめのボトルネックです。緩めのハイネックと言ってもいいのかもしれません。
袖はペタッと置いてみるとこんないびつに見えますが、着ていただくととっても素敵です。
裾はレースモチーフのような編みになっていて、柄もあって少し甘さを感じさせそうな印象を受けるかもしれませんが、そんなことはないんです。やはり先ほどの「素材感」がとても重要なんだと思っています。モフモフさせたら甘く感じたかもしれませんが、なんだか弾力があってシャキッとした印象で、それが着用しても感じられるセーターです。
こちらはヌードピンクというお色。セーターでコートの下などに着る色として、とても気分のあがる色だと思います。
オフホワイトはYUIのコーデュロイパンツに合わせて。袖は品よく膨らみを持って、甘いどころかかなりエッジの効いたかっこいいセーターとして着ることができます。
柄が透かした部分もあるので、インナーにはナチュラルカラーやライトグレー、オフホワイトなどを着ていただければと思います。
ヌードピンクは昨日ご紹介したパンツに合わせて。かなり薄い小豆色のようなイメージで、濃色にも淡色にも合わせやすい印象でした。
上から着たコートもNative Villageのもの。
ヌードピンクはゴーシュのスカートにも合わせています。ウールのブラックです。
ブーツでもカッコ良さそうなスタイルです。上に着るアウターはロングでもショートブルゾンでも似合いそうですが、今回はこちらに。
ゴーシュのニューダウン。こういったカジュアルユースのアウターを合わせると、よりシューズは幅広い選択肢が出てきますよね。ブラックのナイキのスニーカーとか履いてもカッコ良さそうですし、シルバーのキラキラしたスニーカーもいいかも。
冒頭でお話しした「感じる服 考える服」という本は、annabelleがオープンして数年、悪戦苦闘している僕を見て、センスのいい大変オシャレな自分の母親くらいの年齢のお客様が、「この本はあなたが持っていた方がいい」と言って持ってきてくれたものでした。2010年当時、注目されていたクリエイター10名にかなり深く掘り下げたインタビューを行なっているなかなか読み応えのある一冊です。ぼくらもあらためて、トレンドとは異なる、ある種異質で独自性のある提案をしていかなければと感じるこの頃です。